第1555話 ジーナとスミスの訓練。1(2人とも一生懸命に訓練に励もう。)
王都の王都守備隊の訓練場。
今日は王立学院の授業が早く終わっている為、ジーナとスミスは念願(?)の王都守備隊との訓練をしていた。
「はぁぁ!」
「くッ!」
体操服姿のジーナの木剣の一撃を同じく木剣で受け止めた女性隊員が後ろに2、3歩下がる。
「っ!せいっ!」
「せやっ!」
ジーナがすぐに追撃に行き、下から木剣を振り上げるが女性隊員が柄の部分でジーナの木剣を打ち付ける。
「!?」
ジーナは驚いて女性隊員から距離を取る。
「まさか柄を使うとは思いませんでした。」
「剣同士を打ち合うというのに慣れるとそういう反応ですね。
下からの攻撃には避けるのが通常ですが、間に合わないなら剣自体の力を削ぎ致命傷を受けないようにします。
ですが、私達は小手も付けていますから多少は受けても問題はありません。
それに例え添えている左手が犠牲になってもケアですぐ治せますからね。
もう少し速かったら危なかったかもしれませんが。」
「・・・右手は?」
「これを使うなら右手はしっかりと剣を握っておかないといけません。
なので相殺出来なかった場合は意図的に左手方向に剣が行くように打ち付けるのです。
・・・今ジーナ殿はすぐに引きましたが、反応が遅ければ右手一本ででも相手を切る事を優先させるからです。」
「んん~・・・これは困りました。
マリに教えられた剣術では防がれる可能性があるのですか。」
ジーナが本当に困ったような顔をさせる。
「というかですね・・・ジーナ殿。
今のままでも十分に通用しますよ?
上段からの振り抜きから下段からの振り上げへの判断・・・防がれた際の引き際の判断も早くて大変結構です。」
「でも有効打が与えられていません。」
「それは欲という物ですね。
私のこれ、そんなに万人が出来る物ではありませんよ?」
「となると・・・それを破るだけの速さが必要なのですね!」
「うん!違います!」
「もう1本お願いします!」
「え?・・・ジーナ殿・・・休憩しましょうよ・・・」
「はぁぁ!!」
「あ!また速くなった!
ちくしょう!!!」
ジーナと女性隊員の模擬戦は続く。
一方のスミスはというと。
「・・・エルヴィス殿・・・お付きの方が頑張っておいでですよ。
姉上もああいった時は引かないと思われますが。」
「・・・規格外な姉と部下を私の比較に使わないでください。
はぁはぁはぁ・・・よし!お願いします。」
木剣を杖代わりに息を切らせていたが、剣を構える。
「はい、それでこそ次期当主殿。
どうぞ!」
「せいや!」
スミスも男性隊員に打ち込んでいく。
こっちはまだまだのようだった。
「ふむ・・・ジーナは良い感じですが主はまだまだでしょうか。」
「・・・厳しい採点ね。
スミスもあの年齢なら充分な動きだと思うけど?」
「マリ・・・私の槍の練習はどうするの?」
マリ、アル、パラスがチビ状態でお茶をしながらジーナとスミスの模擬戦闘を見ている。
「・・・パラスのは誰に教えて貰うの?」
「エルヴィス家に居る時はニオですけど。
今はマリが見ています。
最近はチビ状態でマリと稽古なんですけど・・・・」
「ふむ、パラスはまだ人前ではしない方が良いだろう。
どんな敵が居るかわからないのだしな。」
「そうね。
ある程度人払いはして貰っているんだろうけど、精霊として他の者に戦闘時の風景は見せるべきではないかもね。」
マリとアルが言ってくる。
「・・・マリとニオやテトはエルヴィス家でしていましたよね?」
パラスがジト目でマリを見る。
「槍の演武だな。
あれは外敵等は見ていない可能性の方が高かったからな。
それに槍の普及を勘案しての演武だ。
個々の能力がわかる物ではない。」
「・・・テトは本気だったような・・・」
「テトはな。」
「テトはねぇ・・・本気だったとしも問題ないんじゃないかな?」
マリとアルが苦笑しながら呟く。
「?・・・アルはテトとニオ、マリの戦闘は見ていませんよね?」
「見ていなくてもなんとなくわかるわ。
テトが大剣振り回して真正面から突っ込む様子がわかるわよ。」
「正解です。
アルはテトと同じ出典でしたか。」
「そうね。
戦士としてあの子は優秀よ。
何者が相手でも正面から打ち倒す、善神の戦い方を良く体現しているわ。」
「???他の者達に見られられても問題ないのですか?」
「・・・」
パラスの言葉にマリがそっぽを向く。
「あの子あれしか出来ないもの、真正面から相手を潰すしかね。
だからこそ、あの子は強いんだけどね。」
「???」
パラスは首を傾げる。
「まぁ気にしないで。
パラスの槍はまだ未熟だからね・・・やられちゃったんでしょう?」
「想定外の事が起きましたからね。」
「まぁ戦いは運もあるし・・・それに槍は良い面も悪い面もあるからね。
まずはじっくりとマリに教えを請いなさいよ。
マリは一級の武神だからね。」
「刀特化でしたか?」
「違うわよ。
好きなのが刀というだけで槍もマリはいける口よ。
まぁ西洋の槍と東洋の槍では若干違うかもしれないけどね。」
「西洋にない槍の使い方、物にすれば戦いに有利になりますよね?」
「なるわよ。
両方を学び、パラスがどんな槍使いになるか楽しみだわ。」
「ジーナに負けないようにします。」
「あれに?・・・伸びしろが大きすぎて怖いぐらいだわ。」
アルが呆れるのだった。
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