第1552話 研究所に戻って。(戦闘ベストの確認と演習の連絡。)
研究所前。
「あれ?」
武雄は研究所から出てきたラルフと職人を見ている。
「あ、キタミザト様、戻られたのですね。
今、戦闘用ベストとヘルメットの納品に来ていました。
1階の試験小隊に置いておきましたし、アスセナ様に請求書は渡してあります。」
「わかりました。
ありがとうございました。」
「いえ、これからもご贔屓にしてください。
失礼します。」
ラルフ達が研究所を去っていく。
「納品管理と精算処理を進めておきます。」
「ええ、お願いします。」
ヴィクターに先導され武雄が研究所に入るのだった。
・・
・
研究所の1階 試験小隊詰め所。
「ん~・・・」
「なるほどなぁ。」
「・・・ここのポケットには何が入るんだ?」
皆がさっそく作業服に着替え戦闘ベストとヘルメットを付けている。
「あ~・・・どうですか?」
武雄が誰も気が付いてくれないのでとりあえず声をかける。
「あ、所長、おかえりなさい。」
「「「お疲れ様です。」」」
皆が気が付き挙手の敬礼をしてくる。
「はい、お疲れ様です。
戦闘ベストはどうですか?」
「意外と収納が多いですね。
ベストで8か所、作業服に4か所。」
「それに移動時はリュックもあるのでしたよね。」
ベイノンとアーリスが言ってくる。
「ええ、基本的にはリュックも担げるように背中は空けていますけど。
ポケットには水筒や携帯食料、地図、ナイフなんかを入れられるようにしていますけど・・・
たぶん、毎日使っていれば必要な物は限定的になってきますから・・・どう使うかはお任せします。」
「はい、それにしてもナイフかぁ・・・作業用に何か選定した方が良いんでしょうかね。」
「なら一度テイラー殿の魔法具商店に行ってみるか。」
「ナイフぐらいは皆で統一した物にしますか?」
「そうだなぁ。」
ベイノンとアーリスが言ってくる。
「ん~・・・」
ブルックが体をひねったり、肩を回したりして戦闘ベストの着心地を確認しながら1つの動作をする度に首を傾げている。
「ブルックさん、どうしましたか?」
「いえ・・・・動きやすいなぁと。」
ブルックが首を回しながら言ってくる。
「そうなのですか?」
「こういった防具は何かしら違和感があるんですけど・・・動きやすいですね。」
「ラルフさんの仕立て屋だからですかね?」
「あ~・・・確かに防具ですけど、武具屋での製作ではなく、仕立て屋だから着やすいんですかね。」
ブルックが再び首を傾げる。
「「ブルックさん、リュック背負いました。」」
アニータとミルコがヘルメットに戦闘ベストにリュックを背負った状態で立っていた。
「あーなるほど、こうなるのね。
どう?」
ブルックが2人に聞く。
「今は空ですけど、前も後ろも重さがかかるんですよね?」
「そうなるわね。」
「そうなるとあまり重い物は入れられないかもしれないです。」
「ん~・・・入れる物も考えないといけないかなぁ。」
アニータとブルックが話し合っているのを見ながら武雄が場を外す。
「・・・アンダーセンさん。」
「はい、所長、これは楽そうですね。
これにあと小銃ですね。」
「ええ、なので弾丸を入れて置くポケットを決めておいてください。
練習しながら入れる場所は決めて行ってください。」
「わかりました。」
アンダーセンが頷く。
「それと明日はエルヴィス家の大規模演習がありますから城門上で観戦してくださいね。
ベルテ一家も来るでしょうし、色々な方も来るでしょうから大人しくね。」
「大規模演習ですか?」
「ええ、9小隊くらいが出ますよ・・・たぶん。」
「9小隊ですか?・・・180名程度でしょうか。
結構大規模ですね、確かにエルヴィス家の演習は興味がありますが。
・・・どんな事をするのですか?」
「私とアリス、ビエラとの模擬戦です。」
「あぁ・・・私も王都での第2騎士団とのを見ていますのでやりたい事がわかりましたが・・・あれですか。」
「この大規模演習があったから回復戦法が発案されたんですけどね。」
「はぁ・・・新人達には良い刺激でしょうし、ベテラン達も気合を入れるのに十分でしょうけども・・・
大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。
今回はアリスの足枷としてビエラも入れますのでまた違った感じになるでしょうか。」
「見て損はない演習ですね。
それに私達も改めて戦争のやり方を見れるのは良い事ですね。
やはり横一列での接近と戦闘ですか?」
「横一列?・・・まぁ前回はそんな感じでしたかね。」
武雄が若干首を傾げてから頷く。
「違うのですか?」
「いや確かに前進して来る時は横一列でしたけど、半包囲をされた後は・・・後はアリスが対処していましたのであまり横1列での前進は意味ないですかねぇ?」
「まぁ、180名対2名なら包囲しますよね。」
「そこなんですよね・・・やり方変えるのかなぁ?」
「打ち合わせはしていないのですか?」
「しましたよ。
でも私達は兵士達の動きに合わせてアリスを投入するだけですし、兵士達の動きは聞いていませんね。
実施するというのを打ち合わせしただけです。」
「はぁ・・・一体どんな演習になるんでしょうね?」
「さぁ?私とアリスとビエラは寄せてくる兵士を薙ぎ払うお仕事ですしね。」
「・・・ふむ・・・」
武雄の言葉にアンダーセンが少し考えるのだった。
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