第1550話 伯爵に報告。(さぁどんどん情報を手に入れよう。)
エルヴィス伯爵の執務室。
武雄が冒険者組合での打ち合わせ内容を報告していた。
「ふむ・・・一応、冒険者組合には了承を取れたということじゃな?」
エルヴィス爺さんが執務机に肘をついて手を組み、顎を乗せ言ってくる。
「はい、ちょっとこちらの情報を出し過ぎてしまったでしょうか?」
執務机の前に武雄が立ち報告している。
「いや・・・肝心の所は話していないからの。
それに冒険者組合はヴィクターやベルテ一家の事は調べてあるじゃろう。
まぁヴィクターが元伯爵という所はわからなくても首輪等で異種族という所はわかっているじゃろうからの。
そこから情報を入手したとでも考えていそうじゃ。
・・・タケオの言う通り、夕霧達に町の内側での情報網の間隔を狭くして貰って細やかな監視体制を作らないとの。」
「ん、伯爵、タケオ、問題ない。
間隔はどのくらいにする?」
「そうじゃのぉ・・・まずは1km毎でどうじゃ?」
「・・・フレデリックさん、地図はありますか?」
「はい、一旦失礼します。」
フレデリックが退出していく。
・・
・
フレデリックが持ってきた地図の上に夕霧達が魔物の分布等を描いた図面を広げて武雄達が覗いている。
「・・・えーっと・・・前に書いたように円を書いていくとして・・・
西町までは早朝に出れば1日で行けますし、東町までは1日ですよね。
・・・ここが東町、こっちが西町、北町、南町・・・
間隔はある程度はスライム達の裁量に任せるとして・・・こんな感じか。」
エルヴィス伯爵邸がある街を中心に一番近い町まで5㎜程度の間隔で円を描いていく。
「ふむ・・・こう見ると細かいの。」
「これはあくまで適当に書いただけですよ。
実際は60個か70個程度の円になっても不思議ではありませんよ。」
「それは多いの・・・2㎞毎にした方が良いかの・・・
スライム達が監視していて定期的、緊急時にすぐスライム専用道路に入れるようにと思ったのじゃが。」
エルヴィス爺さんが顎に手をやり首を捻る。
「ん、伯爵、実施自体には問題はないです。」
「ん~・・・夕霧がエルヴィス伯爵邸で仕事をしながら全スライムの情報管理をしていて、時雨が街周辺の森の管理と領内の魔物の分布調査、初雪が私の下で事務と地図の作成。
大まかな役割はこうですよね。」
武雄が地図を見ながら夕霧に確認する。
「ん、そのとおりです。」
「ここにミア団との連絡係が必要でしょうか。
夕霧、例の3体の状態はどうですか?」
武雄の言葉にエルヴィス爺さんとフレデリック、ヴィクターが目線のみ夕霧と武雄に向けている。
「ん、森の中でのんびり過ごしている。
ただいつエルダームーンスライムに成るかはわからないです。
前にも言ったように長い間エルダースライムなのでそこまで長い時間はかからないと予想しています。」
「・・・無理を言ってもなんともならないでしょうか・・・
当面は時雨にお願いしますか。
夕霧、エルダームーンスライムが新たに誕生したら時雨の下でミア団の動きを確認する役目を与えましょう。」
「ん、了解です。」
「ミア、鷲一家と狼一家2つに連絡。
寿命等で亡骸が出たら家族で弔いが終わったらエルダースライムに吸収して貰います。
彩雲系の鳥型と浜風系の狼型2体のエルダームーンスライムを用意して貰います。
鳥型が出来たら紫雲が鷲一家に狼型が出来たら互いの一家と行動を共にし、我々の連絡係をして貰います。」
「はい、3家には連絡しておきます。」
「ん、エルダースライムはあと15体居ますから問題ないです。」
ミアと夕霧が返事をする。
「・・・ちょっと待ってください。
夕霧、エルダームーンスライムに成る前のエルダースライムがあと15体も居るのですか?」
「ん、15体。」
夕霧が若干ドヤ顔ぽい顔を武雄に向ける。
「・・・夕霧、良く集めました!
頑張りましたね。」
「ん。」
武雄が夕霧の頭を撫でる。
「・・・ちなみになんで増やさなかったのですか?」
「ん、ハツユキがエルダームーンスライムになったのでハツユキの成長が最優先で他のエルダームーンスライムを増やそうとは考えてなかったです。
正確にはタケオに会うまでは3体しかいませんでした。
領内や王都で探索したら・・・いつのまにか集まりました。
皆、森でのんびりとしています。」
「ふむ・・・夕霧、タケオ、エルダースライム達は大切に育てないといけないの。」
「ん。」
「そうですね、集まったのは結果として良い事でしょう。
新たなエルダースライムの保護とエルダームーンスライムの育成を上手くしていかないといけないでしょう。」
「そうじゃの。
そこはタケオと夕霧に任せるのじゃ。」
「はい。
さて、夕霧は時雨と一緒に無理のない範囲でスライム達を使って町までの情報網の構築を実施しましょう。
多分最初は町までの全範囲の監視は出来ないでしょう。
情報網を作っている間にどういう風に監視が出来るかを考え、試験していきましょうね。」
「ん。」
「コラ達にはまずは東と南西の北側の街道沿いを目視での確認と監視の実施をしていきましょう。
当分は自分の森での生活と近隣街道付近の魔物の観察を実施していく事。
夕霧達の情報は与えますが、自分達で判断するよう努力しないといけませんね。
それと人間それも冒険者に遭遇すると戦闘を仕掛けてくる輩が居る可能性もありますからね。
人間に見つからないように監視をする方法を模索しなさい。」
「はい。」
武雄が夕霧とミアに指示を出すのだった。
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