第1546話 170日目 帰宅と就寝。(武雄何をした?何をする?)
試験小隊の独身寮・・・下宿先。
「ただいまぁ~。」
ブルックとアーキンが下宿先に戻ってくる。
「はい、おかえり。
ブルックさん、アーキンさん、こっち。」
玄関に入った矢先、2人は大家さんに引っ張られていく。
・・
・
「失礼しました・・・」
しばらくして2人は解放され、大家さん達が居る部屋から出て来る。
「所長・・・挨拶したんだな。」
「まぁ・・・予想はしたけど・・・」
アーキンとブルックが自室に戻りながら呟く。
「あ、おかえりなさい。」
部屋に続く廊下でアニータがポットを持って自室に向かっていた。
「ただいまぁ、あの後どうだった?」
「ステノ技研に行きましたよ。
所長が軽く話していて・・・あ、小銃の納入について話していました。」
「それは予定通りだしね。
どちらかと言うと皆がエルヴィス家へ研修に行っている間に私達が訓練するから・・・
アニータ達が気にする事ではないかな?」
「わかりました。
私達は出向して新人教育に参加なんですよね。
1か月くらいと言っていましたけど、どのくらい行くんですかね?」
「エルヴィス家への新人研修は所長がエルヴィス家との話合いをしてからだからなぁ。
1か月預けるのはこっちからの提案だしね。
2週間になるか2か月になるかは交渉次第だね。」
「・・・2か月ですか?」
アニータが顔を引き攣らせながら聞いてくる。
「うん・・・所長とエルヴィス家の兵士長か騎士団との話合いでしょう?
所長の事だから向こうから提案された事は受け入れそうだしね。
新人教育が1か月って・・・少ないからなぁ。」
ブルックが悩みながら言う。
「少ないのですか?」
アニータが言ってくる。
「少ないわよ。
王都の第1騎士団の時を思うと・・・3か月は必要だったかな・・・
研究所の事も考えると3か月ずっととはいかないかもしれないから2か月と言ったけどね。
まぁその辺の詳しい研修計画は後日だろうね。」
「・・・所長、明日にでも決めてきますかね?」
アニータが考えながら言う。
「そうね。
所長なら明日には決めてくるわよ。
ほら、明日も朝は早いんだからもう寝なさい。」
「はーい。
ブルックさん、アーキンさん、おやすみなさい。」
アニータが自室に入っていく。
「「おやすみ。」」
アーキンとブルックが見送る。
「あ~・・・どうなるんだろうね?」
ブルックがアーキンに顔を向ける。
「さっきの話の通り明日には決めてくるだろう。
俺達は待っているだけだ。」
「そうね。」
2人も自室に向かうのだった。
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エルヴィス伯爵邸の武雄達の寝室。
皆の湯浴みも終わり寝る前ののんびりタイム
夕霧と紫雲が来ていて紫雲は残飯の桶の上で補給している。
「紫雲、これがジーナ向けの手紙です。」
「はい。」
武雄が紫雲に手紙が入った小瓶を渡すと吸収する。
「紫雲は寄宿舎は初めてですね?」
「はい、ですが、イソカゼがジーナと寄宿舎に居て、東の森から寄宿舎に向けてスライム専用道路があるのは知っています。
なので、到着したらイソカゼ向けにスライムを行かせて場所を聞きます。」
「うん、それで良いでしょう。
無理はしなくて良いですからね。」
「はい。」
「シウンは日が昇ったら出立しましょう。
タケオ、アリス、おやすみなさい。」
夕霧が紫雲の乗った桶を持って退出していく。
「・・・夕霧ちゃん、力持ちだったのですね。」
「ですね。
さて・・・今日はいろいろありましたね。」
「初日はどうでしたか?」
「何もありませんでしたよ。
出勤時間を決めて、週休制を決めただけです。」
「週休制?・・・週休制???」
アリスが考えるがわからないようだ。
「出張や戦争等長期外出時以外の研究所での作業では週に1日休みましょうという制度です。
『余った時間で休養や趣味、家族の団らんに使ってね』という考えです。」
「週に一度休みなのは体にとっては楽そうですけど・・・大丈夫なのですか?」
「大丈夫ですよ。
仕事が溜まって大変なのは私ではないですから。」
「ふむ・・・タケオ様は何をするんですか?」
「休日にですか?」
武雄がアリスに聞き返す。
「それもですけど、日中は何をする予定なのですか?」
「皆の報告書を見て何をやっているかの確認と結果の催促ですかね。
他は趣味に没頭出来れば良いなぁと思いながらヴィクターと予算の打ち合わせでしょう。」
「予算・・・」
「やってみてわかったのですけど・・・金貨1750枚・・・ギリギリです。」
「ふむ・・・大半は人員の給与ですよね。」
「人件費だけで金貨1360枚ですけど、所内規定で騎士章持ちは月銀貨5枚減なので金貨110枚程度引くので結果としては金貨1250枚で済ませてあるのですけど・・・」
「研究所費の内7割が人件費ですか・・・」
「ちなみに・・・キタミザト家の固定収入である貴族報酬は年金貨400枚、人件費は金貨427枚、銀貨4枚です。
私の給与は研究所の所長給与の100枚のみですが、そちらをキタミザト家に付ければ・・・問題ないですね。」
「・・・うん・・・キタミザト家、赤字ですね。
子供達と2名の精霊費用が計算外でしたよね。」
アリスが考えながら言う。
「まぁあれは予定外ではありましたが、後悔はしていません。
それに研究所の所長給与を組み込めば赤ではありませんし、トレンチコートやウスターソース等の外部収入は加味していませんからね。
総合的に勘案すれば子供達が成長しての給与増額時には何とかなるでしょう。」
「んん~・・・タケオ様の所長給与を振り替えるのは忍びないですよね。」
「ええ・・・当分は手持ちで何とかしますけど、いつかは動産収入を正式に組み込んだ予算計上が必要なんですけど・・・まだ始まったばかりなので見通しも立たないですね。」
「動産収入はコートとかウィスキー、ソースですよね。」
「これは安定的ではありますが、いかんせん外部の協力業者頼みですからね。
想定よりも収入が低くなっても構わない気持ちでいないといけないでしょうね。」
「やれるのは収入源を数多く持つ事でしょうか?」
「それも1つでしょう。
あとは蒔いた種を根付かせる活動をして少なくても定数が確実に出るようにするですかね。
トレンチコートはどこかの段階で年間の製造数が大幅減になって低推移になる予想です。
ソース系とウィスキーは今根付けば一定の売り上げが毎年、入ってくるでしょう。」
「私達がするならソース等の一般家庭向けですね。」
「今は目新しさで買われていますけど、これを毎週、最低でも3週間に1回購入してくれる程度までに家庭に入り込ませる必要があるでしょう。」
「となると・・・お爺さまに頼んでレシピの公表時期を早める必要がありますね。」
「コロッケやメンチカツ、トリカツがどれだけ普及するかでしょう。」
「養鶏場ですか・・・まずはジャガイモで出来るコロッケの普及でしょうか・・・」
「そこはエルヴィスさんにお任せですけどね。
私はソースの品質を確認しながら普及の推移を見て新たな事を企画していくだけです。
アリスも外に出て食事をする際はウスターソース系に注意してください。
品質が落ちた場合は早急に対応しないといけないのでね。」
「そうですね。
美味しい物の品質は絶対ですね。」
アリスが頷くのだった。
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