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第1542話 帰宅。(新人に刺激を与えましょう。)

エルヴィス伯爵邸の玄関。

「ただいま戻りました。」

武雄が玄関に入ってくる。

「キタミザト様、おかえりなさいませ。」

メイドが出迎えてくれる。

「ええ、少し飲んできました。

 夕飯は結構です。」

「畏まりました。

 伯爵様やアリス様方は客間でお茶をしております。」

「そうですか。

 なら私も行きます。」

「はい。」

メイドが先導して客間に向かうのだった。

・・

エルヴィス伯爵邸の客間の扉前。

メイドがノックをすると客間から「どうぞ」と許可が下りたので扉を開ける。

「失礼します。

 キタミザト様がお戻りになりました。」

「ただいま戻りました。」

「うむ、タケオ、おかえり。」

「タケオ様、おかえりなさい。」

「タケオさん、おかえりなさい。」

「あ~。」

「きゅ。」

「主、おかえりなさい。」

客間に居たエルヴィス爺さん、アリス、エリカ、ビエラにクゥにミアが挨拶してくる。

カサンドラは会釈のみだ。

「軽く飲んできました。」

「うむ、タケオ、初雪が先に帰って来て聞いておるぞ。

 今日はどうじゃったかの?」

「特には・・・うちの新人4名をエルヴィス家の兵士訓練に1か月程度参加させて欲しいと依頼されました。」

「ふむ、わしは構わないと思うがの。

 フレデリック、どう思うかの?」

「兵士長と話さないといけないでしょうが、特段問題はないかと思われます。

 明日にでも私の方で打ち合わせをしてまいります。」

「すみませんが、よろしくお願いします。」

武雄がフレデリックに頭を下げるのだった。

「そう言えばアリス殿、小耳に挟んだのですけど、兵士達と大規模演習を前にしたのですってね。」

エリカがアリスに聞いてくる。

「あれ?誰から聞きましたか?」

「・・・小耳に挟みました。」

「・・・誰に聞きましたか?」

「・・・」

エリカが明後日の方を向く。

「・・・はぁ・・・誰に聞いたかで大規模演習の印象が違うはずなんですよ。」

アリスがため息をつきながら言う。

「アリス殿が出る大規模演習では結果として新兵の動きが良くなったと聞いたのですけど・・・

 1回見てみたいなぁと思ってですね。」

「ん?エリカさん、見たいのですか?」

「はい!名高い鮮紅の戦場を見てみたいです。

 前に第2騎士団とやりあったのは聞きましたが、目にしてませんし!」

「ん~・・・タケオ様、どう思いますか?」

「あ~・・・うちの研究所だとマイヤーさんとアンダーセンさんはアリスの戦いは見た事はありますけど、他は微妙ですよね。

 1対1のオーガやオークは見たでしょうけど・・・多人数戦闘時のアリスは一度見せておいた方が良いかもしれないですね。」

「ならするかの?」

「兵士長がやってくれるのかですけど・・・」

武雄が目線を逸らせながら言う。

「フレデリック、頼むの。」

エルヴィス爺さんがお茶を飲みながら言う。

「はい、前回は『強力魔物の束縛』という名の『戦争の序盤模擬訓練』でしたね。

 今回も各村警備・巡回をしている25小隊を除く街勤務の17小隊の内、犯罪捜査専門の第1から第3小隊、事務の第4小隊以外の第5小隊から第17新兵小隊より180名を用意をさせましょう。」

フレデリックが言う。

「ふむ・・・第16新兵小隊、第17新兵小隊は強制じゃな。」

「当然でしょう。

 それと前回実施するまでアリス様、タケオ様を軽んじていた魔法師小隊である第10小隊と第15小隊も強制です。」

「となると・・・アリスに2振り程度で吹き飛ばされる小隊をどこにするかじゃの?」

「お爺さま、何て言い草ですか。」

アリスが呆れる。

「本当の事じゃ。」

エルヴィス爺さんが悪びれもせずに頷く。

「ふむ・・・確かにそれだと前回と同様ですか・・・兵士達の士気を考えると多少は状況を変えないといけないでしょうかね。

 タケオ様、どう思いますか?」

「私としては前回と同じで良いかと。

 勝つ負けるではなく、戦場の雰囲気が出せて、その場を経験させる事が重要だと思います。

 前回も前々回もその目的は達成しています。

 だからこそ襲撃に対して皆が迅速に動けたのだと思います。」

「うむ・・・そうじゃの。

 じゃが、フレデリックの考える通り、毎回負けになってしまう兵士達の士気も気にかけないといけないのじゃがの。」

「・・・さらに圧倒的な敵を用意しますか?」

武雄がニヤリと笑う。

「「うん?」」

エルヴィス爺さんとフレデリックが首を傾げる。

「あ~・・・タケオさん、流石に成獣状態のビエラ殿投入は過剰じゃないですかね。」

武雄の考えがわかったエリカが止めにかかる。

「あー!」

「主、ビエラが『やるー』とのことです。」

ミアが通訳する。

「ダメじゃ!それは過剰戦力というより無条件降伏案件じゃ!」

エルヴィス爺さんが拒否する。

「あ~?」

「伯爵様、ビエラが『ならこの獣人のままならどう?』と言っていますよ。」

ミアが通訳する。

「む・・・獣人だと逆にアリスの足をひっぱりそうじゃのぉ。」

「まぁ確かにビエラちゃんは個人戦闘向きですし剣も本格的に誰かに習っている訳でもないので戦力としては若干難しいというのは確かです・・・

 それに私も誰かとというよりタケオ様としか出来ないのですけどね。」

「ふむ、確かにアリスも兵士として集団での戦いよりも1個人で倒していく方が強いからの。」

「ビエラなら固いですから私の近くに居れば大した怪我もしないでしょう。」

武雄が頷く。

「ふむ・・・ならしてみるのも良いのかの?」

「参加人数は兵士長と話をします。

 タケオ様、研究所の試験小隊の4名の出向についても同時に話してきます。」

「はい、よろしくお願いします。」

武雄が再度頭を下げるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 伯爵の「無条件降伏案件じゃ」に爆笑しました。 ビエラさん殺る気満々。 言語学習にもやる気投入お願いします。
[一言] 楽しい演習が始まるっと。 街の衆にも話してお祭りっと。 屋台出店激増です。 伯爵とことタケオのとこも稼ぐんですよ。
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