第1540話 居残り組。(さっさと散歩に行こう。)
家族がある者達は早々に帰させて居残り組はと言うと。
「さーて、家族団らんやお酒に弱い者達は帰しましたが・・・
アーキンさん、ブルックさん、なぜに居ます?」
「「え?」」
武雄の言葉にアーキンとブルックが不思議そうな顔を向ける。
「だって・・・家族持ちだけでしょう?
あ、アスセナ殿とヴィクター殿も居ない。」
ブルックがキョロキョロしながら言う。
「アスセナさんにウォルトウィスキーの残り2本を持たせたのでヴィクターに送らせました。」
「送り狼ですか?」
「・・・確かにヴィクターは狼に変身出来ますからその言葉で正解ですね。」
武雄が首を傾げながら言う。
「・・・からかえないのですね。」
「あの2人の事は勝手にすれば良いですよ。
ヴィクターも大人、アスセナさんも大人、くっつくならくっつけば良いし、上司と部下で行くならそれも良いです。
社内恋愛自体、アーキンさんとブルックさんが居る時点で研究所としては黙認しますよ。
仕事に支障がないなら何も言いません」
「寛大な判断ありがとうございます!」
ブルックが挙手の敬礼をしながら言う。
「ですが、給料分の仕事はしっかりさせますからね。
で、なんで居るのですか?」
「「ん?」」
アーキンとブルックが不思議そうな顔をさせる。
「アニータとミルコは1時間程度預かりますから。
さっさと2人はデートに行きなさい。」
「あ、そういう事で・・・アーキン?」
「いや・・・公然と上司からデートして来いと言われたことが初めてだから変な感覚です。」
「うん、そう、私も同じ感じ。」
「はぁ・・・アニータ、ミルコ、鈴音をステノ技研に送るついでに散歩でもしますか。」
「「はーい。」」
「武雄さん、私子供じゃないんですけど?」
アニータとミルコは返事をし、鈴音は抗議してくる。
「初日から朝まで飲ませる上司なんていません。
一旦、家に送ります、その後は自己責任です、好きにしなさい。
店員さーん、お会計!」
武雄が店員を呼ぶのだった。
・・
・
店前でアーキンとブルックと別れて武雄達はステノ技研を目指す。
「あ~・・・この時間に戻るの初めてかも。」
「鈴音・・・結構飲めるのですね。」
「武雄さんは飲まないんですか?
社会人って飲むイメージです。」
「飲み会自体は好きですが・・・酔うというのが好きじゃないんですよね。」
「???よくわからないんですけど。」
「飲みニケーションという言葉があるのですけどね。
これは普段聞けない話も酒が入ると聞けたりもしますし、普段話さない人とも話せたりしますから部署内の意思疎通にある一程度の効果があるのは認めます。」
「へぇ~・・・飲みニケーション。」
「ですが、個人としては酒で酔うというのが好きではありません。
適量なら思考速度が上がるし、楽しいのですけどね・・・酔いが覚め始めると頭痛だったり体調不良だったりがあるのであまり飲み過ぎないようにしているのですよ。
グラス2杯程度なら楽しんで飲みますよ。
あとはお茶を飲んで体内から排除してやります。」
「タケオ、酒は毒と同等と見なしてケアで回復可能ですよ。」
チビパナが武雄の肩に乗りながら言う。
「最悪はそれで対処ですかね。」
「武雄さんは飲めないのですか?」
「さぁ・・・次の日が休みならば飲み会で多少は飲んだりしますけど・・・あまり多くは飲めないですね。
焼酎水割り6杯くらいが関の山ですし、ビールだと・・・8杯くらいでしょうか?
5杯目くらいから胃がガポガポで飲む気にならないのもあるのですけど。
ワインだと1.5本くらいしか飲めませんかね。」
「十分飲めるじゃないですか!」
「飲めないとは言っていません、好きじゃないだけです。
酒は不思議な物で飲んでいくとどんどん飲める量が増えるんですよ。
あ~・・・今だとそこまで飲めないかもしれませんね。
それに私は食前酒で1杯か2杯くらい飲んで後は美味しい料理を食べた方が幸せなんですよ。
ですが、他人が飲むのを規制するつもりはありません。
本人達が飲みたいように飲めば良いのです。
・・・次の日に残していたら怒ったり呆れたりしますけど。」
武雄が鈴音に言う。
「んん~・・・」
「鈴音は飲むのですか?」
「ワイン1本空けられるかどうかですね。」
「十分強いですね・・・まぁ体壊さないようにね。」
「はーい。」
鈴音が良い返事をするのだった。
「お姉ちゃん、お酒飲まなくても怒られないんだって。」
「そうじゃないわよ。
所長と同じ2杯くらいは飲めるようにしようという事でしょう?」
「2杯かぁ・・・お姉ちゃん、ちなみにお酒美味しい?」
「ん~・・・ジュースの方が良いかな。」
「だよね~。
次の時はオレンジも用意して貰おうね。」
「事前に言わないとないよね。
もしくは言っておいた方が良いのかな?」
「でもいつ行くかはわからないよね。」
「ん~・・・オレンジとリンゴが常備されている酒場に連れて行って貰うしかないかな?」
「んん~・・・」
武雄と鈴音の後を歩くアニータとミルコはジュース派になりそうなのだった。
武雄は歩きながらお会計の際に貰った簡易内訳の紙をポケットから取り出し確認する。
「あ~・・・何度見ても酔いが覚める金額だな。」
ボソッと呟くのだった。
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