第1534話 試験小隊からと所長からの依頼。2(週休1日制度。)
「・・・所長、そんな制度初めて聞きましたが・・・」
「そんなに休んだら研究が滞ってしまうのでは?」
「訓練も1日空けると勘が鈍ると思うのですが?」
3人が難色を示す。
「ダメです!所長命令です!
週に5日間全力で仕事をして1日完全に休養とします。
体力を回復させ、気分一新して次の5日に全力で仕事に取り組みなさい。
研究が滞る?研究は根を詰めれば良いという物ではないです。
心の休養も大切です。
それに時間が1日分足らないなら、無駄な事をしないように効率を考え、時間をやりくりさせなさい。
ちなみに余程の事がない限り、残業は認めませんからね。
それと1日空けてしまうと勘が鈍るような中途半端な訓練はしない事、しっかりと体に覚えさせなければいざという時に役に立ちません。
何を覚えさせたいのか、その訓練が体に馴染むまでどうすれば良いのか。
訓練内容を精査し再考しなさい。」
「「「・・・はぃ・・・」」」
3人が武雄の言葉に力なく頷く。
「休日は多くなっても給料は変えません。
ですが仕事内容も軽減はさせません。
時間がないから出来ない等の泣き言も聞きません。
時間は有限、納期もしっかりある、時間の使い方をもう一度考えなさい。
そして休みには自身の趣味や家族との時間を大切にしなさい。
こんな勤務だと今まで家族へ何もしてないのでしょう?
しっかりと家族の時間を作り、個人の趣味を持ち、精神を安定させなさい。
良いですね?」
「「「・・・はぃ・・・」」」
「返事が小さい。
良いですね!?」
「「「はい!わかりました!」」」
「よし、3人共1階の試験小隊詰め所に行って全員に説明してきなさい。
そして端的に言って休日は増やすけど仕事は熟せと言ってきなさい。
反論は認めません、上司たるもの部下の溜飲を下げて貰わなければいけません。
以上、鈴音、所長室でお茶をしましょう。」
「はい、武雄さん。
失礼しました。」
武雄と鈴音が総監室を退出していく。
「はぁ・・・とんでもない事になった。」
マイヤーが項垂れる。
「考えようによっては休日が増えた事は良い事ですよ?
家族と過ごす時間が増えるので子供の世話も出来ますし。」
トレーシーが乾いた笑いをしながら言う。
「だが、仕事内容は変わらないんだろう?
むしろ時間が少ないが今の基準を維持する方法を見つけないといけない。
まぁ少ない人員だから出来そうではあるが・・・
うちら試験小隊は訓練内容を絞り込んで体を鍛える方法を見つけるが、研究室大丈夫か?」
「やるしかないよ~・・・」
アンダーセンの言葉にトレーシーが乾いた笑いを返す。
「2人とも頼むぞ・・・所長がああ言うんだ、納期は延ばさないだろう・・・
武器の試験も訓練も内容を見つめなおせ、研究室も工程管理を徹底的にしていくしかない。
良いな。」
マイヤーが腕を組みながら厳しい顔つきで言ってくる。
「「はい。」」
2人が返事をする。
「よし・・・皆に説明に行こう。
多分賛否両論になる。」
「そうですね・・・」
「アンダーセン、頑張って。」
「お前も助力してくれよ。」
3人が席を立つのだった。
------------------------
研究所の3階 所長室。
「武雄さん、週休制度は何でないんですかね?」
鈴音がソファに座りながら武雄に質問している。
「基本的に休むとその分利益が落ちるという考えからですね。
というより鈴音、日本も昔は週休制はなかったのですよ?」
「そうなのですか?
週休2日が当たり前でした。」
「あ~・・・鈴音は週休2日が当たり前の学校生活でしたか。
学校でいうなら私は高校までは週休1日で土曜日は半ドンと言って午前中の授業でしたよ。」
「え!?そんな時代があったのですか?」
「あったんですね~・・・はぁ・・・悲しい。
で、学校が週休2日制になった際に教育現場は混乱したんですよね。
良くTVで報道されていました。」
「そうなのですか?
休みが多くなって教師も生徒も楽になったのではないですか?」
「そんなわけないですよ。
喜んだのは生徒だけですよ。
教師も親も反対が多かった感じですね。」
「理由はなんですか?」
「まぁ簡単に言えば、教師陣からは授業のコマ数は減らして、内容は今まで通りという通達だったからですし、親からすれば子供が半日でも家に居ると大変だからですけどね。」
「・・・ん?」
鈴音が首を傾げる。
「結果的にはほぼ週休2日制が定着した感じですけどね。
確かその時の報道で一番目にした名目は家族の時間を取って貰い、生活の質を上げるとかなんとかだったと記憶していますね。
まぁ今になって振り返ると実際は政治的に何かあったというのが本当の所でしょうけども。
ま、それはさておき、私は週休1日は絶対にしますからね。」
「・・・武雄さんの本心は?」
「連続で働きたくもない。
休みがあるから平日頑張れるのです。
週に1日は絶対に休んでみせます。」
「毎日はキツイですよね。」
「鈴音も休日は体を休めたり趣味に使いなさい。
心と体を休めるのが大事ですよ。」
「はい、わかりました。」
鈴音が頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




