第1519話 疑問には答えます。(ボーナス支給。)
子供達が去って。
「あの~・・・キタミザト様、あの子達は?」
ボーナが聞いてくる。
「今回ゴドウィン伯爵領で雇った子供達です。
・・・魔王国かエルフの国のブリアーニ王国からの密入国をしていましてね。
保護したんです。」
「首輪が・・・」
フローラが聞いてくる。
「船に乗る前でしたよ。」
「キタミザト様に拾われたのは不幸中の幸いでしょうが・・・
またエルフですか。」
ドナートが難しい顔をさせる。
「私から言わせればエルフだろうが獣人だろうが魔人であろうと奴隷は微妙で癪に障るという事ですが・・・エルフも多いのかもしれませんね。
ですが、我が国ではこれといって対策はありません。
本来なら魔王国かブリアーニ王国側に送り返す事になっていますからね。
・・・流石にあの子達を元の所にとは・・・今回はたまたま救っただけです。
次回も救うとは限りません。」
武雄が微妙な顔をさせながら言う。
「キタミザト様がギリギリの選択をしているのは存じておりますし、この問題はアズパール王国では何も出来ないというのはわかっております。
ですが、同族が・・・それも幼子がと思うと。」
ドナートが苦渋の顔をさせながら呟く。
「それはそうでしょうね。
私達だって同族が奴隷になっていたら嫌な気持ちにもなります。
ただでさえ我が国は奴隷は基本認めては居ないのですからね。
まぁ・・例外的に私は手元に置いていますし、すぐに解放しないのは政治的で尚且つ私の我が儘ですけど。
そこはベルテさん達にはすまないとは少し思っています。」
「いえ、私達は精神的にも肉体的にもキタミザト様に救って頂いております。
そしてこの安住の地と仕事を与えて頂いております。
ご恩は決して忘れません。」
「「「決して!」」」
ベルテ一家が真面目な顔つきで頷く。
「はは、そこまで意気込まなくても良いですよ。
農家としてしっかりと米や野菜の栽培をしてくれていれば良いですからね。
あとは良く食べて良く寝る。
農業は体が資本です、ケアは出来ても毎日の生活を疎かにしてはいけませんからね。」
「「「「はい。」」」」
ベルテ一家が頷く。
「ニルデもジルダもしっかりとタンポポ茶改めダンディ茶の品質を保つようにしましょう。
ですが、無理はダメですからね。
まずは体が大事です。
良く食べて良く寝て過ごしなさい、何をおいても体が丈夫になる事が重要ですからね。
そして日々農作業をして、ちょっと遊んで、少し勉強をしましょう。
少しずつでも良いから毎日新しい事を覚えていきなさい。」
「「はい!キタミザト様!」」
ニルデとジルダが返事をする。
「さて、えーっと今お土産を用意していますからねもう少し待ってください。
で・・・トレーシーさんは今日はどうしたんですか?」
試験小隊の面々を見ながら武雄が聞く。
「あ~・・・実はですね研究室長・・・筋肉痛でお休みです。」
ブルックが言ってくる。
「ん?筋肉痛ですか?」
「はい、今日の午前中から小隊長直々に体力訓練を・・・こっちに参加しようという気力が湧かなかったようです。
『寝かせてください』と言っておりました。」
ブレアが苦笑しながら言う。
「はぁ・・・アンダーセンさん、初日からやりすぎちゃいけませんよ?」
「いえ、所長、お言葉ですが。
仮にもついこの間まで魔法師専門学院の学院長だったのです。
卒業したての者と同程度・・・いや最低限の事は出来ないといけないのです。
今まで弛んでいた報いです。」
アンダーセンが当然ですと言ってくる。
「まぁ逃げ出さないような内容にしてあげてください。
・・・明日は大丈夫ですかね?」
「這ってでも行かせます。」
「そうですか・・・まぁ大丈夫でしょう。
さて・・・ヴィクター、明日の予定は何時集合ですか?」
「明日の開所式は昼から懐中時計で13時より会議室でとさせて頂きたいと思います。
午前中は会議室の用意をしておりますので3階の会議室は立ち入りは厳禁となります。
所長室、総監室等各部屋は朝8時30分に開けますのでご留意願います。」
「わかりました。」
マイヤーが答え、試験小隊の面々も頷く。
「ご家族と伯爵との挨拶と食事会はどうしますかね・・・」
「「あ~・・・どうしましょう?」」
武雄の呟きに皆が首を傾げる。
「タケオ様、お爺さまの方は何とでもなります。
また今日みたいに食事会でというのが一番でしょうか。」
「それも良いですね。
あまり日を置かない方が良いでしょうけど、今日の明日でという訳にも行きませんし。
食材も事前に用意しないといけないでしょうから1週間後にしますか。
詳しく決まったら書面で通達です。」
「わかりました。」
皆が頷くのだった。
「さてと・・・ビエラ、ミア、マイヤーさん、ベイノンさん。
今回の遠征時の特別報奨です。」
武雄が4名の前に金貨5枚が入った革袋を置く。
「あ~♪」
「はーい。」
「「頂きます。」」
4人が頷く。
「所長~・・・報奨ってなんですか?」
ブルックが聞いてくる。
「今回は子供達関係で小遣いが手に入りましてね。
なので一部を苦労を掛けた部下に配分したのです。
まぁ相当な金額は私が貰いましたけどね。」
「・・・私達は?」
「今日の夕食で満足してください。
今後何かあった際に小遣いが発生したなら参加していた者達には報奨金が発生する・・・・かも?
私の気分次第ですね。」
「ええ~・・・気分なのですか?」
「はい、気分です。
今回は子供達関係で予想以上の金貨を手に入れましてね。
その内から同行した4人に分配しました。
まぁ子供達の件も含めて、帰ってくるまで結構な数の戦闘もしましたしね。」
「ん~・・・気まぐれですね?」
「はい、気まぐれです。
今後も私が仕事を見ていてこれは必要だなと思ったら個人的に出す可能性はあります。
これは経費から出ません、私のお小遣いから出ますので私基準です。
そして基準は毎日変わるというわけですから気にしない事。
以上です。」
武雄が悪びれもせずに答えるのだった。
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