第1508話 169日目 懇願。(あっさりと許可。)
朝食後のエルヴィス家の玄関にて。
「所長!おはようございます!」
ブルックが満面の笑みで挙手の敬礼をしながら挨拶をしていた。
隣にはヴィクターとアスセナが我関せずで立っている。
その時点で緊急事ではないと武雄は察する。
「あ~・・・深刻な話ではなさそうですね。
なら、お茶を飲みながら聞きますか。
場所は・・・執務室で良いですか?」
「はい!所長!」
「あれ?ブルックさん?
どうされたのですか?」
アリスが玄関を通りかかる。
「はっ!奥様!おはようございます!
折り入って所長にお願いの儀があって参りました。」
「お、奥さ・・えへへ♪
んんっ!タケオ様、皆で聞きましょう。
ブルックさんも客間に。」
「はい!」
アリスがブルックを連れて客間に行ってしまう。
「あの笑顔はなんだろうね~・・・
ヴィクター、アスセナさん、行きますよ。」
「「はい。」」
武雄達も客間に移動するのだった。
・・
・
「わしは構わないぞ?」
「なら今日の試食会への出席は問題ないですね、それにしても他の方々が言ってなかったのですね。」
「はい、皆からはちゃんと受け取ったとしか聞いていません。
報告書も作られましたが米については何も。」
ブルックが言ってくる。
「ん~・・・タケオ様、その報告書は見たのですか?」
「まだ手元に来ていません。
それにマイヤーさん達のゴドウィン伯爵家への立ち寄りの内容も添付されてでしょうからね。
開所式後だと思っていましたよ。
ヴィクター、アスセナさん、試験小隊の・・・ブルックさん、誰が参加するんですか?」
「え?・・・ん~・・・行ってない組は絶対ですが・・・」
ブルックがそこまで考えていなかったようでその場で考える。
「・・・全員参加の可能性もあるという事ですか・・・
ならブルックさんは戻って参加人数を集計してきてください。
どうせ全員でしょうけども。」
「はい、所長!参加者を集計してきます。」
「ええ、わかったらヴィクターに伝えてください。
多分この屋敷に居ますから。」
「はい!失礼しました。」
ブルックが皆に会釈をしてから客間を退出していく。
「ヴィクターとアスセナさんは料理長に伝えて最大人数分で足りるかの確認を。
米が足らないならベルテ一家に行って取ってきてください。
それと料理の食材が足りるかの確認を。」
「「畏まりました。」」
ヴィクターとアスセナが客間を退出していく。
「今日の夕食も賑やかそうじゃの。」
エルヴィス爺さんが頷く。
「タケオ様、結局今日の夕食はなんなのですか?」
アリスが聞いてくる。
「今日は・・・ちなみにアリス、エリカさん、2日続けて鶏肉の揚げ物は嫌ですか?」
「平気ですよ。」
「大丈夫です。」
アリスとエリカが即答する。
「・・・元気だなぁ。
エルヴィスさんはどうですか?」
「わしも問題ないの。
フレデリックはどうじゃ?」
「私も問題なく。
ですが、2日続けてとなるとサラダはあっさりでお願いします。」
エルヴィス爺さんとフレデリックも頷く。
「ふむ・・・想定通りの答えと・・・問題ないですね。
あ、そうそう今日のサラダのソースはゴドウィン伯爵家で試したレモン系ですよ。
タマ達も食べれるように違うのも1つ用意しますからね。」
武雄が言う。
「で?何が出るのですか?」
アリスが聞いてくる。
「食べやすい物を作りますよ。」
「いや、だから何を作るのですか?」
エリカが聞いてくる。
「鶏肉です。」
「そこはわかります。
具体的には?」
アリスが聞いてくる。
「揚げます。」
「だけですか?」
エリカが聞く。
「手を加えます。」
「どうやってですか?」
アリスが聞く。
「出来上がりを楽しみにしてください。
ちょっとした事ですよ。
特に珍しい物ではありません。」
「タケオ、それは期待して良いのかの?」
エルヴィス爺さんが聞いてくる。
「多分平気ですよ。」
「うむ、では期待しようかの。
アリスもエリカ殿も待つ時は待つものじゃぞ?」
「はい、わかりました。」
「はい。」
アリスもエリカも大人しく引き下がる。
「さてと・・・私は玄米の作業をする場を作ってきますかね。
その後は料理人達と打ち合わせをしてきます。」
「うむ、作業の時にはわしらもちょくちょく見に行くからの。」
「私とエリカさんは客間か裏庭に居ます。
エリカさんの魔法の確認をしてきます。」
「わかりました。
コノハ、パナ。」
「はいはーい。」
「はい。」
チビコノハとチビパナがアリスと武雄の肩に現れる。
「2人共チェンジです。」
「「了解~。」」
2人がアリスと武雄の肩に乗り換える。
ちなみにコノハが武雄と料理をしている時はパナがアリスの近くで見守っていたりする。
「ミア達はどうしますか?」
「あ~・・・昨日、コラ達と今後の話をしたのでその続きを話してきます。
領内の区分けの打ち合わせなんですよ。
ビエラとクゥとタマで行ってきます。」
ミアが言ってくる。
「ミア、ビエラ、クゥ、タマ、気を付けてね。
お昼はどうしますか?」
「ビエラ、どうしますか?」
「あ!」
「きゅ?」
「ニャ?」
「あ!」
「えーっと・・・ベッドフォード様の所で食べます。」
ミアが言ってくる。
「・・・うん、ビエラ、後でお金渡しておきますから大将に渡してください。」
「はい!」
「あ、なら手紙は私がすぐに書きます。」
アリスがその辺のメモにサラサラっと書いていくのだった。
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