第1506話 協力者達の息抜き。(一部以外順調のようです。)
エルヴィス邸がある街の酒場にて。
「「・・・」」
店内の一角が暗かった。
照明がではなく雰囲気が。
「皆相当やられたようで、ほほほ。」
「皆、大変だなぁ。」
ローとベッドフォードが仲間内を見ながら気軽に酒を飲んでいる。
「・・・ふっ・・・ローさん、なんでそんなに機嫌が良いのですか?
キタミザト様が戻ってくるまでは憤慨していたのに・・・」
「私はキタミザト様と話をして今後の展開の擦り合わせをしただけですからね。
あとはキタミザト様とは別にベッドフォードや文官方と打ち合わせをすれば良いだけですからね。」
ローが笑いながら言う。
「その顔だと想定より楽だったんですね。
はぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~・・・私の所は追加の板の試作だけだったけどさぁ・・・
まぁあっちはもっと大変そう・・・」
モニカがキャロルとローチを見ながらチビっと酒を飲む。
「「・・・」」
ローチとキャロルが机に置かれたグラスの水面をボーっと見ている。
「・・・ん~・・・あれはなんだろうな?」
ベッドフォードがチラッと見ながら酒を飲む。
「相当やられたという事ですね、ほほほ。」
「キタミザト様に何を言われたんだろう?
それと若手2名が来てないわね。」
モニカが周りを見ながら言う。
「忙しいのでしょう、ほほほ。
街中が忙しそうにしているのは活気があって良いですよね。」
「あっちこっち忙しそうですよね。
ラルフさんも夕方走っていましたよね、あれもなに・・・あ、来た。」
モニカが酒場の入り口を見て気が付く。
「おお、皆さん来ていますね。」
「今日も終わりましたね。」
「皆さん、こんばんは~♪」
ラルフとテイラー、鈴音が入店しモニカ達の所に来る。
「あ~、ラルフさん、お疲れ様です。
とりあえず、赤?」
「いきなり酒ではなく、まずは野菜炒めを頂きましょう。
テイラーと鈴音さんはどうしますか?」
「あ、私達夕食は済ませたのでワインで良いです、もちろん白で!」
「私は赤で良いです。」
「んー、了解。
こっちに赤2、白1、野菜炒め2!」
モニカが注文している。
「皆で取分けしますか。
さて、皆さんでなんの話をして・・・何となくわかりますが。」
ラルフがローチとキャロルを見ながら言う。
「ラルフさんの所も?」
「ええ、キタミザト様が来ましてね。
また新しい事をします。」
「夕方走っていましたよね。」
「ははは、見られていましたか。
組合長に報告に行っていました。
今回の提案はまだ先なので覚悟と周りに説明だけという所ですね。
今の所、順調ですよ。」
「仕事が順調なんですね~。
ローさんの所も順調なんですって。」
「私やローさんの所は注文を捌いていく段階ですからね。
全体の工程が掴めればそこまで難しくはないでしょう。」
ラルフが頷く。
「あ、モニカさん、研究所の机お願いします!」
「キタミザト様から聞いたわよ。
スズネちゃん達の机は特注で作るのが決まっているからね。」
「と・・・特注なんですか?
何かカタログを見ながら決めるのかと思ったのですけど。」
「あ~・・・正確にはカタログで選ばれた机にちょっと追加するのよ。
決めてくれればあとはこっちで作るからね。」
「モニカさん、図面台は扱っていますか?」
「図面台?・・・うちじゃないわね。
うちに要請をしてくれれば探しておくわよ。」
「あ、なら頼みます。
机と図面台の大きさってわかりますか?
それに合わせて個別部屋を作ろうと思って。」
「ふむふむ・・・机と図面台ね。
他には要望はある?」
「えーっと・・・個別でするので・・・・
図面台は少し小さめで良いし、机も奥行きがある机が良いだろうし、本や小物も置ける棚も欲しいですし・・・」
鈴音が考えながら話している。
「・・・スズネちゃん、ちょっと待ってね。
まずは区分けした個室の大きさを考えなさい。
そこに合わせて欲しい物を見繕った方が良いわよ。」
「なら明後日から具体的な話合いなのでその時に決めます。」
「うん、お願い。」
鈴音とモニカが頷く。
「テイラーの方はどうですか?
キタミザト様から何か言われましたか?」
「私の方はなんとも。
ステノ技研の方々の方が大変そうですね。」
「あ~、懐中時計ですか。
あれ2か月待ちとか言われましたよ。」
「それもですが、色々とキタミザト様向けに試作をしているので日々忙しそうにしています。
こっちは研究所の方々が買いに来てくれるのでそこそこ売り上げが良くなっています。
ステノ技研からの魔法具も売っていますから品揃えも良くなっています。」
「ほぉ、品揃えが増えるのは良いですよね。」
「はい、ラルフさんの所は増えたのですよね?」
「ええ、短期間で夏物、冬物両方が増えますね。
この間老夫婦が訪ねてきて今年の冬発売予定で店外には発表前のダウンジャケットを聞かれた時は驚きましたが。」
「・・・キタミザト様ですね。」
「ええ、キタミザト様がお勧めしたようでして・・・売りましたが。」
「売ったのですか。」
「ええ、お話を伺って喫茶店をされているそうでダウンベストの方が動きやすいとなりました。
官庁街を抜けた所にある喫茶店だそうです。」
「それ・・・ベルテさん達の所の元地主さんでは?」
「そうなのですか?
あ、ならその時にキタミザト様が説明したのですね。」
「キタミザト様はそうやって何気なく薦めてくるんでしょうね。」
「ええ、そういったお客様は増えるのだろうと思っています。」
ラルフとテイラーが苦笑しながら話し合うのだった。
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