第1501話 そう言えばあの人達なにしてるの?6(カトランダ帝国では。)
ここはカトランダ帝国 皇城 大会議室。
カトランダ帝国皇帝と第4皇子チコ、各軍の将軍やその補佐官達、文官等々の幹部が集まって会議を実施中。
「以上、東町の進捗になります。」
「そうか。順調か。」
カトランダ帝国皇帝が頷く。
「はい、盾の量産試験が開始されました。
これはある程度の量を作らせ品質が均一になっているかの試験です。
これが終わればウィリプ連合国向けの輸出となるでしょう。」
「・・・期日内には何とかなりそうだな。」
「はっ!」
「陛下、こちらからも報告が。
前に陛下がアズパール王国で食べたというウスターソースについてです。」
第2軍の将軍が席を立ち話し出す。
「おお、どうだ?」
「やっと見つけました。
第1皇子クリフの領内で製造販売がされておりました。」
「輸入はどうだ?」
「結論から言うと・・・無理でした。」
「・・・なぜだ・・・」
カトランダ帝国皇帝がガックリと肩を落とす。
「陛下、そこまで落ち込まないでください。
これはアズパール王国内でもなのですが、生産が追い付かないそうで領内向けで手一杯との事。
まだまだ領外に出せないので輸出はもう少し待って欲しいとの事でした。」
「輸出に対しては問題ないのだな?」
「はい、向こうも輸出出来る物が出来たと言っていたとの事で、ある程度は乗り気なのだと思われます。
また、向こうからは我が国に鉄の鉱石を買えるかの問い合わせがありました。」
「鉱石か・・・
大臣、どうだ?」
「はい・・・輸出には大した問題はないのですが・・・
国外向けの販売単価がありません、国内向けと同等でよろしいでしょうか?」
「・・・対アズパール王国向けは本当にしていないのだな。」
カトランダ帝国皇帝が呆れる。
「第2軍管轄でしたので、今後は少しずつ始めます。
鉱石なら加工は向こうですので国内に出ているよりも少し色を付ければよろしいのでは?」
第2軍将軍が答える。
「陛下、鉱石単価を1割程度増しでどうでしょう。
輸送等の人員費用もかかります。
もしくは対ウィリプ連合国のように加工した物の輸出ではどうでしょうか?
例えば製鉄された物を売るとか・・・これであれば多少値が張っても問題ないと思われます。」
「アズパール王国からは鉱石の輸出依頼だ・・・
我が国はドワーフの王国から輸入していて国内でも産出しているのだったな?」
「はい、陛下。
質の観点で言えばドワーフの王国産でも我が国のでも変わりはありません。」
「他国の為に我が国が逼迫する訳にはいかないが・・・
輸出出来るだけの余剰量はあるのか?」
「はい、それと我が国産とドワーフの王国の単価としてはドワーフ王国の物の方が少し安いです。
国内産の鉱石価格に1割増しでドワーフの王国産のを売ればその分ドワーフの王国から買い付けが出来ます。」
「品質は同じでも国内産よりドワーフの王国の物の方が安いとは・・・なんとも言えないな。
・・・だが、商売とはそういう物なのかもしれないな。
とりあえずアズパール王国にはその国内産の1割増しで買えるかの確認をする方が良いだろう。
また、我が国で製鉄された物も卸せると言った方が良いかもしれないな。
大臣、こちらも国内流通価格の1割増しで良いか?」
「はい、そちらの方が我々としては国内の製鉄工房が回せますので良いですね。
鉱石よりも製鉄された物を売る方に注力して頂きたいと思います。」
「そうか。
第2軍には引き続きアズパール王国との輸出入の販路拡大を勧めよ。
各大臣は第2軍が動きやすいように試算や工房達への相談で協力、実施せよ。」
「はっ!了解しました。」
「「はい、畏まりました。」」
武官、文官共々返事をする。
「第3軍より報告です。
ウィリプ連合国よりの奴隷商を含めた国内での各輸入品の販売実績の報告をご提出します。」
「来たか。」
「はぁ・・・頭痛の種ですね。
今の所目立った混乱はないとの報告は前にありましたが・・・」
出席者たちが配られた書類を見ながら呟いている。
「それについてはこれよりの報告です。
まずは奴隷に関して話をします。8枚目をご覧ください。
流入量は事前打ち合わせの通りの量が入ってきている模様です。
また事前に制定された国内法により奴隷を購入した際の1週間以内の役所への登録制度に漏れはないと考えておりましたが、実際は5件ほど摘発を行っております。」
「少し多いな。」
「いや少ないと見るべきでは?」
第3軍の報告に皆が難しい顔をしている。
「・・・ふむ・・・登録している者については追加調査を実施し、奴隷の待遇等を調べよう。
あまりにも酷い場合は介入だ。」
「はっ!
漏れた5件については登録制度を知らなかったとの事で厳重注意と登録をさせました。
罰金刑も実施しています。」
「今後もあるだろうからな。
監視は怠るな。」
「はっ!
続きまして、ウィリプ連合国よりの穀物等の関を越えた輸入量のご報告です。
2枚目をご覧ください。」
第3軍が報告を続けるのだった。
・・
・
皆が報告を終えていた。
「・・・各軍や大臣達の報告は以上だな?
さて、チコ。」
「はい、父上。」
「皇子妃はどうなった?」
「はい、恙なく。」
「・・・違うそういった事を聞いていない、早く決めてくれという事なんだが。」
「先日、決まりましたよ。」
「おお。そうか」
「「おおお!」」
皆が驚く。
「陛下。
それは私がご説明申し上げます。」
文官が立ち上がる。
「うむ、頼む。」
「はい、先日チコ殿下と話合いを行い、決まりました皇子妃は3名です。
以前、最終候補に残られた方々になります。」
「確か・・・6名の内からとの事だったが、精査した結果なのだな?」
「はい、性格、容姿、家柄、交友関係すべて問題ありません。
またそれとなく同時婚も平気かの確認をしておりますが、3人共問題ないとの回答を頂いております。」
「そうかぁ・・・うんうん。
良し!チコ、挙式だな!」
「はい・・・父上、その前にプロポーズをしに行かないといけないのですが。」
「・・・してないのか?
さっさとして来い。
さぁて、国内も順調で息子の挙式もか。
今年は大忙しだな。」
「はい、陛下。
あ~・・それと国内の招待客は良いのですが、国外はどういたしますか?」
「呼ぶしかないだろう。」
「アズパール王国にもですか?」
「我らは向こうの第1皇子と第2皇子の挙式に参加したんだぞ?
こちらがする場合も招待するべきだろう。」
「ウィリプ連合国にもですね?」
「あぁ、挙式の披露の場がそのまま政治の場になりそうだが・・・しない訳にはいかない。
皆、やるぞ。」
「「「はっ!万全を期します。」」」
皆がやる気な顔で答えるのだった。
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