第1500話 そう言えばあの人達なにしてるの?5(ドローレス国と大統領府。)
ウィリプ連合国 ドローレス国 領主邸の領主の執務室にて。
「・・・これが4年後までにかかる費用か。
さらにここから移動費と戦争時の経費・・・はぁ・・・まったく・・・」
ドローレス国 領主のエスタバン・ドローレスが執務机で書類を見ながらため息をつく。
「父様、戦争なのです。
費用がかかるのはわかっていたはずですが。」
娘のエマが机の前のソファに座りお茶を飲みながら言ってくる。
「わかっているがな・・・
あまり我が家に利がない戦争でここまでかかるというのもな。」
「アズパール王国の貴族領地に攻め込むのでしたよね。
どこかの町を我が家で落とせば相当な対価を頂けるのでは?」
「あ~・・・それは面倒だ。
町を落とすとそこの住民やらを当分の間統治しなくてはならない。
面倒だ・・・村程度ならしても良いがな。
私なら初戦のアズパール王国の関を落とす事だけに戦力を集中したいものだな。
一番犠牲が出る可能性があるが、だからこそ高評価につながる。
その後の向こうに攻めるのは戦争を娯楽と考える馬鹿どもにさせれば良いんだ。」
「そういう物なのですか?
どうせ向こうの住民は奴隷落ちでしょう?
それを使えば良いじゃないですか。」
「エマ、まだまだだな。
むしろ異種族の奴隷に慣れ過ぎていると捉えるべきか?
まぁどうでも良いが、私から言わせれば人間を奴隷にしても大した効果はないな。
貧弱過ぎてなんの役にも立ちはしない。」
「自分達の種族になんて言い分なのでしょう。」
「事実だからな。
それに向こうの国に攻め入っては戻るに戻れない可能性もある。
我らは関を落として皆の道を作り、ある程度、関の運営をしてからさっさと領地に帰るのが一番だな。」
「??・・・うちが1000から1500、ウィリプ連合国としては総勢10000から12000ですよ?
向こうは3500程度、私達が負ける理由はないと思いますが。
早々に帰るのですか?」
「・・・エマ、その数はどこから出た?」
「大統領府の情報提供者からですが?
父様も見ている書類です。」
「・・・あ~・・・あれか、あの数は想定というだけだろう?
まぁ、信じるとして相手が3500、多くて4000と見積もった場合、我が家は1000から1500程度を要請され、主力は大統領府が・・・倍は用意をするだろう・・・となるとどう攻めるか、いやどの順で・・・あっ・・・ん?もしかして人数割りを調整をすれば今後の・・・ふふっこれは大統領府が好きそうな筋書きが出来てしまうな。
この筋書き通りに演じても良いが・・・エマ、やはり金がかかりそうだな。」
少し考えたあとエスタバンがニヤリと笑いながら言ってくる。
「戦争ですから。」
「そうじゃない。
今回は主力は持って行かない事にしよう。
死んでも惜しくない奴隷部隊を作る。
そして直訴してでも初戦の関攻略を我が家がしてみせよう。」
「で、攻略後すぐに帰宅を?」
「あぁ!相応の対価を貰うと約束させてな。
我が家の役割はそんな物で十分だろう。」
「はぁ・・・」
エマが自分の父親が何を考えているのかわからず生返事を返すのだった。
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ウィリプ連合国 大統領府特務隊兵舎。
「将軍、各国の戦争での出兵数が幹部会で決まったようで通知の素案が来ました。」
「はいはーい。
ま、戦争は俺達の特務隊は出ないからね~・・・流し読みで十分でしょ。」
ルイ・セイジョウがタンポポ茶を飲みながら書類を受け取る。
「・・・はぁ・・・なになに・・・
バンデラス国とファルケ国、大統領府が2500名、他の4家が1000名、合計11500名。
それに各貴族の荷駄や料理人等々で随行が4200名。」
「総勢15700名となっています。」
「ほぼ前に聞いた通りの数ではあるが・・・馬も荷台も食料も大量に必要になるね。」
「はい、大統領府は早々に買い込みに走るとの事です。」
「だろうね~・・・それにしてもドローレス国が1000名ね・・・」
「将軍?」
「いやいや、潤沢な資金を持っていて尚且つ一番奴隷を買いやすい所が1000名とはね。」
「あの国は潤沢な資金が用意されているのでしょうから精強な兵士達が揃いそうですね。
それに資金面で言えば西側の農耕地帯を多く持つ豊かな国も1000名ですね。」
部下が言ってくる。
「カトランダ帝国とアズパール王国に面している所が2500か・・・」
「領土が増えた際に任されるからではないでしょうか?」
「一番敵と面している所が・・・ん~・・・ま、大統領達が考えた事だ、異議はないよ。
それにしてもバンデラス国は人間至上主義派、ファルケ国は共存穏健派。
・・・程度の差はあっても結局はどちらも奴隷を使って国を回していると。」
「我が連合国は奴隷で成り立っている国家群ですからね。
将軍は奴隷は共存穏健派でしたね?」
「奴隷とか関係ないと考えているよ。
どっちかといえば穏健派なんだろうけど、俺的には能力主義といった所だね。
うちの特務隊は俺の意思が反映されているから良いんだけど。
外を歩く時は迷惑をかけているな。
まだ奴隷が入れない店も多いしね。」
「皆、そこはわかっていますよ。
それに特務隊は能力主義、ええ、そうですね。
潜入や調査が得意な者達の集まりです。
そこに種族は関係ありません。」
「他の所よりかは皆が楽しそうにしてくれて何よりだよ。
と・・・次の仕事はなんだっけ?」
「漏れ聞こえる感じでは、1か月後にカトランダ帝国だそうです。
詳細は後日来るような話になっています。」
「・・・前回失敗しているんだよね。」
「帳消しにしたい物ですね。
ま、今回はお使いだそうですよ。」
「はぁ・・・そう、わかった。
詳細が来てから考えようか。」
「ええ。」
セイジョウが窓の外を見ながらタンポポ茶を飲むのだった。
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