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第1499話 魔王国の本気。4(監視する者とされる者。)

オリーヴが小道から離れた森の中の小屋に入っていく。

少し離れて小屋の窓から見えない位置で様子を見守る者達が居た。

「・・・怪しいですね。」

「そう思わせて誘われているのかも。」

「地下道がある可能性は?」

「否めないが、踏み込んだら罠だったとか洒落にならんな。

 他の追跡班は?」

班長がメンバーに聞きながら思案している。

「えーっと・・・4班程来てますね。

 あ、手連絡がきましたね。」

そう言いながら兵士が手で合図を送っている。

「・・・向こうも思案しているみたいです。

 集まったのはちょうど1小隊分ですね。」

「この人物が最大の獲物という認識だから下手は打てないが・・・」

「ネグラに素直に帰ってくれれば良いものを。」

「ここが会談場所でしょうかね?」

「あくまでも今回はあの者の屋敷を特定する事が重要で次に会談相手となるだろうな。

 我々は当初の目的通り、会談の可能性を考慮して監視をするしかないが・・・」

「会談相手が来たら紐を付けないといけませんね。

 他の班と協議しますか?」

「そうだな。

 一度集合をかけようか。」

「あ、あっちで集合の合図がありました。」

「皆考える事は一緒か。

 良し、俺も集合場所に行こうかな。

 あ、お前とお前は対象の監視をしておいてくれ。

 他は周辺の観察。行ってくる。」

「はい~。」

「監視続行です。」

班長がその場を後にするのだった。


------------------------

小屋の窓からオリーヴが身を隠しながら外を覗いている。

「・・・見た感じは居ないな・・・はぁ・・・ここまでは追手は居なかったか・・・

 本当に無能な現場指揮官で助かった。

 だが、魔王国軍となると味方を騙して他の隊で距離を空けての追跡はしている可能性はある。

 ・・・だが、用があるならこの時点で突入してくるのではないか。

 ・・・ああ!くそっ!・・・考えても埒が明かないか・・・

 誰も合流してこないとなるとあの後指揮官が戻って来た可能性もある。

 くそっ!捕まったやつらの尋問にはまだ時間はあるだろうが、会合場所も仕分場所も全部変える必要があるな。」

オリーヴがイラつきながら窓の外を見ているが、実際は思案する方が勝っているので注意力は散漫だ。

「・・・とりあえずいつも休憩している小屋に来たが・・・客先と打ち合わせの時を考えると屋敷に戻る時間はない、かといって流石に丸腰で打ち合わせに参加は出来ん・・・

 物置に何かあったか?」

オリーヴが窓際を離れて小屋内の物置に向かうのだった。


------------------------

皆の所に他の班長達と打ち合わせを終えた班長が戻ってくる。

「班長、対象の動きなし。」

「周囲異常ありません。」

「・・・ふむ・・・

 明かりは点かないか?」

「はい、一瞬たりともありません。

 窓から見える範囲にはどの班も居ませんが、室内からは外は見やすいでしょう。

 注意は払っています。」

「で?各班長の意見は?」

「突入2、監視3。

 他の班が周囲の確認をして50m範囲で地下道等の抜け道はないのは確認済み。

 なのでここへは休息で立ち寄ったと考え、何とかこの場は監視で意見を統一させたが・・・長引くと突入したがる班が増えるかもしれない。」

「一応いつまで?」

「朝だ。

 1人しかいないといくら手練れでも深夜の移動は難しい。よって移動開始は朝と睨んでいる。

 また移動しないとしたら超法規的措置で身柄を確保し、意識を奪う事になった。」

「よく朝まで延ばせたと労った方が良いですか?」

「いや、労いはいらん、今回の場合は突入も監視も取れる手段として正しいと思っている。

 だが、今回は監視の方が説得力があっただけだし、陛下の意向もある。

 それに例のリストがあるからな。

 ここで無理強いするよりも泳がせて接触する者を増やさせたり、リストの対象者からこの爺さんの居所を聞き出してからもう一度監視をすれば良いだけだしな。

 まぁ陛下には怒られるだろうが、俺らがと言うより中隊長か大隊長辺りがだな。

 班長や兵士達は何も言われないだろうよ。」

「了解です。

 精々上が困らない成果をあげましょう。」

「そうだな。

 朝まで交代しながら監視を続行、仮眠は小まめに取らせるからな。」

「「はい。」」

各班が監視を始めるのだった。


------------------------

小屋のオリーヴ、ベッドではなく食堂っぽい所の机の下に毛布を敷いてごろ寝していた。

「碌な物がないな。

 干し肉だけか。

 明日の日の出とともに移動すれば打ち合わせに間に合うか・・・ 

 あ、エサはないが馬の水をやってから寝るか。」

オリーブは一応周囲を確認しながら小屋の外に出るのだった。


------------------------

監視中の班はというと。

「・・・何で爺さん出て来たんですかね?」

「ん~・・・」

「あのまま中に居た方が追跡している者達が中の様子がわからなくて焦れると思うんですけど。」

「ん~・・・」

「「くぅ・・・」」

休憩2名を他所に監視している2名と班長が首を捻りながら考えている。

「・・・馬に水を?エサはやらないようです。」

「飲ませるという事は移動を?

 今だとすぐに夜になってしまわないか?」

「些かゆったり気味だし、身支度も緩い。

 すぐには出なさそうだな。」

「監視続行ですね。」

「あぁ、油断はしたくないがするものだ・・・今は交代を小まめにするか。

 後で他の班長達と話して監視方法を検討しよう。

 それまでは怠るなよ。」

「「了解。」」

監視が続いていく。



ここまで読んで下さりありがとうございます。


5年目に突入です。

研究所が開設されれば1日で出来る量は限りがありますからね。

なので今年こそは話が進む・・・はずです。

今年もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 連載5年目突入おめでとうございます。 自分が読み始めたのは武雄が初めて王都に行く前だった気がしますが…以来毎朝の楽しみです。 今後も無理なく頑張って下さい。
[一言] 5年目おめでとう。 これからも楽しい話をお願いします。
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