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第1498話 魔王国の本気。3(各隊が動いている。)

魔王国王城内の一室では男達の取り調べが実施されている。

だが、室内の声はもちろん音すら目の前の廊下に漏れてない。

王城は全体的に見れば今日も静かだった。


魔王国 王城 第1軍指揮官執務室。

「・・・はぁぁぁぁぁぁ・・・」

第1軍指揮官フレッディは深いため息をついていた。

「ため息は幸せが逃げると聞いた事があります。」

指揮官補佐が書類をまとめながら呟く。

「それは誰からだ?」

「・・・旅人だったかも・・・詳しくは覚えていませんが、酒場で誰かが言っていたのが耳に残っていました。

 陛下、ご無事だったのですね。」

「至って元気なんだろうな。

 戻ってくれば我が軍の訓練に参加すると表明している。

 なんとしても早急に捕縛した者達から情報を聞き出さなくては。

 ・・・成果により手心具合が変わるぞ。」

「大隊各位が必死になるわけですね。

 でも・・・これより有益な情報なんてあるんですかね?」

指揮官補佐が今回手に入れたリストを見ながら言う。

「・・・はぁぁぁぁぁ・・・」

「さっきまであんなにリラックスしてたのに。

 あ、そういえば第4軍からの報告はいつ手に入るのですか?」

「さて・・・今頃作成してくれているとは思うが。」

「・・・そういえば第4軍の者も立ち会っているのですよね?」

「ああ、補助してくれている。

 成果はまだ来ないがな。」

「そう易々とは吐かないでしょう。

 なら・・・先んじて近くの内偵を始めますか・・・へぇ、パーニ伯爵領ですか。」

「そこはダメだ。」

フレッディが即答する。

「そうなのですか?」

「あぁ、これは今後の幹部の議論になるだろうが、領地移動の裏名目に使えそうだ。

 内偵は必要だ、だが、まだ早い。

 これは各軍とのすり合わせをしながら慎重にする相手になるだろう。

 他はあるか?」

「こっちは東側の魔王国外ですね。

 ここなら多少は無理は出来ますけど。」

第1軍(我ら)の管轄外だな。

 他にはあるか?」

「そうですね~・・・リストからはないですね。」

「有益な情報かぁ・・・捕縛者の屋敷を捜査した方が良いのか?」

「あれらの潜伏先は国外では?・・・我らに出来るんですかね?」

「手詰まりだぁ・・・」

フレッディが落ち込むのだった。


------------------------

ブリアーニ王国の王城がある街の中くらいの宿。

護衛3名の内1名が窓際から外を他の1名が扉に寄り添って外の様子を伺っている。

「イグノト殿、やはり追手がないようですが?

 廊下にも窓の外にもそれらしい者が居ないのです。」

残りの1名がイグノトと机に座り、待機している。

「・・・おかしい・・・撒けたのか?」

「そう捉えるのが普通かと。

 運送業が雇っているのなら私達と同じ冒険者ですよね?」

「いや、ほとんどの者は荷物の護衛も兼ねるから専属の者だ。

 商売上積み荷の守秘義務があるから冒険者は雇わないんだ。

 だが、Cランクと同等が多いはずだ。

 運送業者の元締め達なんかはBランクを囲っていても不思議はない。」

「Bランク・・・兵士でもやっていけるでしょうに。」

「兵士より手当てが良いからな。

 規律も自分達で組めるから自由で良いと聞いた事がある。

 まぁ私のように護衛の費用を賄えない運送業も居るが・・・うえの者達は専属が多いだろう。」

「そうなのですか。

 ちなみに守秘義務がかかる荷物って何ですか?」

「・・・希少価値が高くて雇う費用より売った方が高い鉱石やワインとかいろいろです。

 昔、他の運送業が冒険者を雇ったら殺されて荷物を奪われた事があったので冒険者を雇うというのは基本しません。

 すみませんが、今晩も警護お願いします。

 明日の朝終了という事で。」

「ああ分かった。

 それで契約終了だな。」

「ま、あと1日なら見落としませんよ。」

「ええ。」

「とりあえず、今は寝てくれて構いません。」

「そうですか・・・」

イグノトが席を立ちベッドに向かう。

「なら、今のうちに夕食と朝食の買い出しに行ってきます。

 まだ明るい内なら襲撃の可能性は低いでしょうからね。」

「ええ、お願いします。

 はぁ・・・次はデムーロ国か。」

イグノトがボソッと呟くが、警護者3名は表情は変えず聞こえない振りをするのだった。


------------------------

ブリアーニ王国の王都の入り口。

第2軍の連絡員達が到着していた。

「小・・・隊・・・長!王都に着きましたよ?」

「ふん、撒けたか命拾いしたな。

 ・・・さて・・・ここに居るのか・・

 同行班は良いとして運送業者の方は体力的に限界のはずなんだがな・・・

 早く連絡入れないといけないし、今後の事も少し打ち合わせが必要だよな。」

「とりあえず、腹に何か入れませんか?

 流石に空腹です。」

「そうだな。

 城門に近い所の宿を取ってから腹ごしらえだな。」

「はい、ではすぐに探します。」

「お茶だー!」

「はぁ・・・まぁここまでくれば会えるだろうな。

 えーっと・・・こういった場合の連絡場所はどこだったかな。」

「小隊長!肉食べましょう!

 エルフの街には珍しい肉があるかもしれません!」

小柄な少女が言ってくる。

「小隊長と言うなっ!」

「ぐへぇ・・・小隊長、痛い。」

頭を殴られた小柄な少女が頭を押さえる。

「小隊長は禁止のはずだが?」

「っ!?」

「毎度毎度!いつになったら覚える!?」

「ひゃー?!」

小柄な少女はやっぱり叱られるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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