第1494話 エルヴィス伯爵邸に戻ってみると。4(米の準備。)
「こうやって・・・力を入れて・・・」
「うん、そうそう掌で潰す感じで。」
「結構、力を入れて良い物なのですね!
さて1回水を入れ替えるか。」
「ああ!水を捨てるのはもっと丁寧さがあった方が良いぞ。
米は水の流れに乗って流されやすいからな。」
「あ、なるほどね。」
厨房では武雄が1回見本を見せると次々に見よう見まねで料理人達が代わる代わる米を研ぎ始めていた。
2人が米研ぎをし、他の面々が作業を見ながら思案やアドバイスをしていた。
「優秀な料理人達ですね。」
「まったくね~。」
武雄とコノハが全体を見ながらアドバイスをと思ったが皆が皆で学んでいるのでそれを見守る状態になっていた。
「屋敷全体だと何回炊く事になるのかな?」
「さて・・・今日はカレーですよね。」
「あ~・・・ビエラ食べそうよね。
南西の森の一件でビエラとクゥは食べ放題権があったわよね。」
「5合くらいは食べますかね?」
「あの体格でそんな・・・ないとは言えないわね。」
コノハが考えながら言う。
「余ったら余ったで焼きおにぎりで明日食べますかね。」
「醤油完成させないとね。」
「ええ、あ、そうだ。
明日の生産者2つに出す料理を考えないといけませんね。」
「ん~・・・そうねぇ。
この前したシイタケの出汁とシイタケを入れるのは好評だったわよね。」
「そうですね。
シイタケの炊き込みをするとしてメインは・・・魚か肉か。」
「肉かなぁ?
魚も良いけど、パン主食の人達には米が味付けした肉に合う事を知らしめたほうが良いわよね。
ビーフシチューというか赤ワイン煮も合いそうだけど、今日がカレーだものね。」
「2日続けての汁物となるとエルヴィスさん達に悪いですからね。
それに初めての米料理が炒飯というわけにもいきませんしね。」
「そうねぇ。
肉かぁ・・・ローストビーフ。」
「あっさりしすぎではないですか?それだとご飯というよりもパンに合うと思いますね。
ご飯がすすむようなのだと・・・タケノコなしの青椒肉絲か回鍋肉、麻婆ナス・・・」
「タケノコなしの青椒肉絲ってただのピーマンと肉の炒め物じゃない。
回鍋肉は前に作ったかしら?
あと現状で出来そうなのはタケオが東町で作ったリザードマンの肉の干物用に作ったタレに漬けて焼いてみる?
あれも向こうでは好評だったし。」
「漬けですか・・・確かに肉は柔らかくはなりそうですし、味も濃さそうですよね。
一口大にして漬け込んでみましょうか。
これなら作業の手間もそこまでかかりませんしね。」
「そうね。
ん?ヴィクター達が帰って来たね。」
とコノハが厨房の入り口を見る。
「失礼します。
あ、主、こちらでしたか。」
ヴィクターとアスセナが入ってくる。
「おかえりなさい。
こっちで玄米の作成を手伝っていますよ。」
「そうでしたか。
あ、先ほど私が米を取ってくる間にアスセナをステノ技研に行かせ、明日実施すると伝えておきました。
皆さま参加されるとの事です。」
ヴィクターが報告をしてくる。
「はい、ご苦労様。
あ、そうそうアスセナさん、今日の夕飯はどうしますか?」
「はい、終わり次第帰宅となる・・・はずです。」
アスセナがヴィクターをちらりと見てから言う。
「ヴィクターは?」
「契約書等々は今日、明日といった緊急性はございませんので、今日の仕事はありません。
主、何かありますか?」
「ありません。
今日はカレーでしてね。
アスセナさん、今別鍋を用意していますから帰宅時にベルテ一家に持って行って夕飯にして貰いなさい。」
「はい!ありがとうございます!キタミザト様!
カレーは久しぶりです。」
アスセナが嬉しそうに頷く。
「まぁ契約上はエルヴィス家とキタミザト家と直轄店のみなのでね。
あまり食べさせられませんが・・・あ、でも研究所が始まれば1階の喫茶店でも数日に1回は出る可能性はありますよ。
アスセナさん達も昼食はそこで取りましょう。
ベルテ一家は来て頂くしかありませんが・・・日替わりの内容は2週間前には総監部が把握しますから・・・私達も知りたいのでヴィクターかアスセナさんに取りに行って貰いベルテ一家にもお知らせしますかね。」
「皆にも言っておきます!」
「では、今日の仕事終わりに私が鍋を持ってアスセナと帰宅します。」
ヴィクターが言ってくる。
「ええ、転ばずに持って行ってくださいね。」
「はい、では夕食前にもう一度来ます。
これから総監部の方に戻って今日のまとめと喫茶店の食券についての打ち合わせをしてきます。」
「お願いします。」
「「失礼します。」」
ヴィクターとアスセナが挨拶をして厨房を出て行く。
「食費かぁ。」
「コノハは研究所が始まればこっちで昼食でしょう?」
「まぁそうなんだけどね~・・・カレーかぁ・・・」
コノハが腕を組んで悩む。
「アリスと来なさいね。」
「アリスを納得させるのは・・・楽そうね。」
「そういう時に限って夕食もカレーとかありそうですけどね。」
「確かに。
それはそれで味を変えてくれそうだけど。
どう変えるか楽しみね。」
「そうですね。
どんな味になるかは期待するしかないですね。」
「キタミザト様、コノハ殿、玄米の方をご確認いただけますでしょうか。」
「まずは目の前の事かな?」
「ですね、明日の夕飯もその後の事もこの後考えましょう。」
コノハと武雄が笑いながら米の確認をしに行くのだった。
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