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第1483話 テイラー達と打ち合わせ。1(削り節器の完成。)

テイラーの魔法具商店。

「エリカさんとアリスが来ていたのですか。」

「はい、指輪を大量にご購入頂きました。」

武雄とテイラーが世間話をしている。

「タケオ、ここが武器屋なのですよね?」

一足先にテイラーの魔法具商店に着いていた初雪が店内を見ている。

「違いますよ。

 武器も魔法具も雑貨も扱っている店です。

 お金を出すと何でも作ってくれますよ。」

武雄がにこやかに言う。

「そう思っているのはキタミザト様だけです。

 あーそうだ、小銃改1の分解を始めたのですが。」

「もうやっているのですね。

 何かありましたか?」

「いえ・・・ボイドさんが初期の魔法刻印を評価してくれましてね。」

「・・・ボイドさん達は前に見ていると思いますけど・・・本格的に見たのは初なのかな?」

武雄が首を傾げて言ってくる。

「そうなのですか?」

「ええ、スコープを取り付ける時に預けましたよ。

 なので中を見ていると思ったのですけど・・・まぁ良いか。

 それで評価はどうでしたか?」

「宝石が大き過ぎで余計な魔力を消費しているのだそうです。」

「へー・・・で?」

「魔法刻印の改修をしますか?」

「あ~・・・いや、小銃改1についてはしなくて良いですね。

 現行性能で十分なので、これはこのままの作り方でお願いします。

 どうせするなら小銃改3を改造してください。」

「小銃改3ですか。」

「ええ、ビエラに撃ったのですけどね。」

「何やっているんですか。」

「・・・撃ったのですけどね。

 傷1つ付かないないんですよ!

 対ドラゴン用にはなりませんね。」

「・・・小銃改3は対城門兵器ではありませんでしたか?」

「それと同時にドラゴンが追い払えるくらいにしたいとも言ったはずです。」

「・・・小銃改3は小銃改1の2倍程度の威力があるのですよ?

 魔法刻印を多少効率化させても無理では?」

「小銃改3は最大威力なのを作るのが仕様ですからね。

 はい、小銃改3です、やってください。」

武雄がリュックから小銃改3を出して机に置く。

「はぁ・・・承りました。

 あ、それとさっきも言いましたが魔法刻印の性能が上がりましたので指輪の交換をお願いします。」

「ええ・・・では、お願いします。」

「簡単ですね。」

「同じ柄のでお願いします。

 あ、ちょっと色が違う方が良いかな?

 そうすれば予備との違いに使えそうですね。」

「・・・同じ色と柄の方が良いと思いますよ?

 指輪の裏にわかるように刻んでおきますから間違いはないかと思いますけど。」

「テイラー店長が言うならそうしますか。

 えーっと・・・こっちの棚でしたよね。」

「あーそこの左の棚です。

 上から4番目ですよ。」

「これですね・・・んん?柄が増えている・・・あれ?エリカさん達が買ったのではないですか?」

武雄が前に見た指輪よりも数が多い事に気が付く。

「ベインズさんとボイドさんがたまに作っているんです。

 アリス様達が買った後に在庫を補充しました。」

「へぇ~・・・

 えーっと・・・これと同じ意匠のはっと・・・」

武雄がそう言いながら同じデザインの指輪を探すのだった。

・・

テイラーが指輪の加工をしている間に。

「武雄さん、どうですか?」

「相変わらず仕事が早いですね。」

鈴音が堅魚節を削るかんなを見せていた。

鉋と言うか・・・箱の上に厚い板(天板)があり、板の中央に横長のノミの刃が出ている。

「・・・鈴音、一応聞いておきましょう。

 これが堅魚節の削り器・・・とりあえず『削り節器』とでも呼びましょう。それなんですね?」

「はい、出来る範囲で最大限に再現されている・・・はずです。」

鈴音が心持ち自信なさげに言う。

「ちなみに鈴音、こっちに来る前に削り節器を使った事は?」

「ありません。」

鈴音がしっかりと答える。

「うん、だと思いました。」

武雄がそう言いながら削り節器を見る。

この削り節器は確かに削った屑が下に落ちるであろう隙間だったりと見事な出来栄えだ。

武雄が簡単に黒板に書いた程度の絵からよくぞここまで酷似させたと褒めたい。

だが!

「鈴音・・・肝心の刃が出過ぎているとは思わないのですか?」

「ん?・・・このくらいなのではないですか?」

鈴音が首を傾げながら言う。

「・・・鈴音さん、あなたは唯一私と同じ物を見聞きし食べている人間ですね?」

「はい。」

「鰹節の薄さを思い出しなさい。」

「・・・あと1/10くらいにしないといけませんね。」

鈴音が削り節器を見ながら言う。

「もっとですよ。

 刃がうっすらと見えるくらいで良いんです。

 それにこんなに出していたら刃が欠けますよ。」

「ん~・・・」

鈴音が悩みながら武雄を見ている。

「武雄さん、試験したいので堅魚節譲ってくれませんか?」

「今持って来ていますよ。」

「・・・用意が良いですね。」

「いや、実はこれを渡そうと思って持ってきたんです。

 試験するにしても実物ないと出来ないでしょう?

 はい、堅魚節。」

武雄がリュックから堅魚節を1つ取り出す。

「・・・ザラっとしていますね・・・」

「それカビですけどね。」

「ええ!マジですか!?」

「女の子がマジとか言わない。」

「・・・本当ですか?」

「鰹節はそもそもカビを利用して作るんですよ。

 なので使う時は綺麗に拭き取ってから使うのですよ。

 これは軽く落とした程度ですから、まだあと数回は拭かないといけないんですけどね。」

「へぇ~・・・パックでしか知りませんでした。」

「あっちが一般的でしょう。

 普通削り節器を使うのは食に拘っているか、そもそもそれで作るのに慣れている家庭だけですよ。

 さて、試食しますか。

 鈴音、小槌を貸してください。あと、濡れ布巾と乾いた布巾の用意も。」

「はい、すぐに用意します。」

鈴音が小走りに奥に行くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 40代の私の感覚としては若い女の子でも友達同士なら「マジ」って単語を使ってる印象なんですが、武雄って36歳にしてはそういう言葉遣いに対して堅いというか厳しいんですね。 目上に対して使う…
[一言] タケオちゃん、食べ物作り出すと女性陣から期待されます。 何か作りましょう。
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