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第1481話 運送屋の密会。3(逃避行・・・開始。)

イグノトを先頭に護衛3名は来た道を全速力で走っていた。

「イグノト殿!なぜこんな事を?」

「さっきのは手切れみたいなもんでね!

 関係がなくなれば用済みでしょ?あいつらの性格なら追手が来ますよ!

 こっからは時間が勝負なんでね!

 とりあえず街まで戻れれば一安心なんで!走りますよ!」

「「「ええええ・・・」」」

イグノトの言葉に3人は引いているような声を出すが顔は大真面目だ。

そして最後尾を走る者が手を振っていた。


------------------------

会合をしていた広間。

男達が全員騎乗して帰り支度をしていた。

「・・・金貨223枚か。

 まぁこの金で客先への補填は出来るだろう。

 よし、俺は仕事に戻る。

 これから仕入れ業者と最終打ち合わせだ。」

「では、後は我々が。」

「そこに俺は関与しない。

 俺の元部下は俺と手を切ったんだからな。

 生きる希望は与えた、その後に生きるも死ぬも俺は関知しない。」

「これは過去よりの通例です。

 どの経路を通るにしても領主もしくは国主の街まで追跡を躱せれば放免、ダメならそこまで。

 過去に放免になったのは2例程ですが。

 簡単に抜けられると思われたら抜ける者が続出するかもしれませんからね。」

「そこまで悪い職場じゃないんだが・・・ま、あとはあいつの運任せだ。

 じゃ、俺は戻る。

 次の会合は2週間後だ。デムーロ国向け(いつも)の運送になるだろう。」

「次は短距離の運送がいいのですが・・・長丁場だったら嫌ですね。

 おっと・・・手を抜くわけにはいかないですね。

 そろそろ追撃を行かせます。」

「では、なっ!?」

老人が広場を去ろうとした時に気が付けばこの広場の入り口に数名の者達が立っているのに気が付いた。

それと同時にその場に居た面々も異常事態に気が付く。

その者達は異常だった。

装備も冒険者の物ではなくしっかりとしていて、そもそもエルフでない(・・・・・・)


「失礼します。

 お話を聞かせて頂きたいのですが?」

その内の1人が歩み寄ってくる。

「イグノトが裏切ったのか!?」

「俺らを売るなら奴は来ないだろうよ。」

「泳がされたのか!?」

「くっそ!」

広場に居た男達が騎乗したまままとまり、剣を抜く。

「おや?・・・あぁ、ご抵抗をなさらなくても平気です。

 私どもは話を聞きたいだけなのです。

 ですが。」

話しかけてきた者がそう言うと対峙しているのとは反対側の広場の隅でガシャッという音が聞こえ、先ほどまで居なかった数名の者達が気を失った状態で倒れていた。

「こういった潜んでいる者達は危ないですので無力化させていただきました。

 あぁ、命は取ったりはしていませんよ?

 我々は命の重さは重々承知していますから。

 もちろんその価値もね。」

「くっ・・・何が目的だ!?」

老人が少し大声で話しかけてくる男に向かって言う。

「目的・・・話が聞きたいと言ったのですが・・・

 そうですね・・・では、選択をさせてあげましょうか。」

「な・・・なに!?選択?」

「ええ、1つ目、この場で我々の意思に従い同行する。

 2つ目、戦闘を試み、痛い思いをして同行する。

 3つ目、逃亡を試み、捕まって同行する。

 あ、この場合も痛い思いをさせてしまうと思いますがご容赦ください。

 では、お選びください。」

「どれも同行するという事か!」

「はい、申し訳ありませんが、我々も仕事です。

 あ~・・・では30数える間、お待ちします。

 皆さんで選んでください。」

話しかけてきた者が指折りしながら数えていく。


「どこが人数が少ない?」

「あっちの小道だな。」

「この人数なら突破できるだろうか?」

「明らかに向こうは少人数、突破できるだろう。」

「装備は冒険者よりも良いがそれでもこの人数差でこっちは馬だ。

 突破すれば追いつけないだろう。」

「ならやるか?」

男達が間違った選択をし始める。

だが、老人だけは仲間内の話に加わらず、話しかけてきた人物を見ていた。

「俺は残る、皆は行け。」

「「「!?」」」

「それはいけない、貴方は捕まってはいけない。

 残すわけにもいかない、行くなら皆で。」

「・・・わかった、皆の意見だ・・・付いて行こう。」

「なら・・・皆で。」

老人と男達が頷く。


「さて・・・どうしますか?」

「答えは・・・こうだ!はっ!」

男達が一斉に動き出す。

狙うは人数が一番少ない小道。

「あ~・・・3つ目ですか。」

話しかけてきた者が男達を見送る。

「では・・・ヴァレーリ陛下の命令を遂行します。

 諸君仕事だ!

 総員抜刀!即時対象を捕縛せよ!」

話しかけてきた者が剣を抜き男達に向かって軽く振る。

次の瞬間、男達に向かって森の中から多くの兵士達が襲い掛かるのだった。


「おーい。」

話しかけてきた者が手をぐるぐる回してどこへ向かってなのかわからないが声を上げる。

すると上空からワイバーンが2体降りてくる。

「特殊作戦中隊長殿!参りました!」

「ご苦労。

 第4軍指揮官殿に連絡、対象一味は捕縛終了、これから空路にて帰投するが帰投先を指示願う。

 それと捕縛した者が『仕入れ業者』、『打ち合わせ』という単語を言っていたので出来るだけ直ぐの指示をとな。

 彼の者に同行している班には追撃の可能性は小さくなったが警戒は怠らぬようにと連絡を。

 ヴァレーリ陛下は・・・王城か集合拠点の町か?」

「いえ、今朝方ブリアーニ王国の王城に入城されたとの連絡が来ております。

 同時に第2軍と第4軍の指揮官殿方と交代要員も随行しているとの事です。」

「・・・そうか、なら報告は1回で済むな。

 陛下への報告と同行している班に最優先で報告を。

 あとこの後の指示を貰って来てくれ、輸送するにしても追跡するにしても・・・それまでに準備をしておく。

 はぁ・・・兵士達は交代しているのに私は交代なしとか・・・ないなぁ・・・

 せっかく上司が気を利かせて拠点作ってくれても結局前線で指揮だしなぁ・・・」

「そう言えば昇進の噂が出ていますが?」

「よし!頑張ろっ!

 以上!よろしく!」

「はっ!」

ワイバーンが2体飛んでいく。

「はぁ・・・おーい、終わったか?

 傷を負わしたなら縛ったのちに回復させておけよ。」

中隊長が皆に指示を出すのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] これでイグノトは生き延び、奴隷売買組織の元締め側への情報ゲットと。 魔国頑張れ~
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