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第1478話 仕立て屋での話。4(武雄達のその後。)

武雄達が入った喫茶店の奥まった場所。

店員が気を利かせて周りには誰も居ない。


「こうやって外でお茶をするのも良いですね。」

「「はい。」」

武雄達は出されたお茶と菓子を食べながらのほほんとしている。

「・・・キタミザト様、先ほどのラルフ様とのやりとりなのですが。」

「うんうん、どうしましたか?」

アスセナが恐々聞いてくるのだが、武雄は楽しそうに続きを促す。

「はい・・・あの交渉はキタミザト様の予定通りなのですか?」

「予定通りかと言われると違いますね。

 ですが、私としては製品が出来れば(・・・・・・・)どこでも良いので(・・・・・・・・)問題ないですよ。」

「キタミザト様の意のままに布の生産が出来る事を望まれたのではないですか?」

アスセナが意を決して聞いてくる。

「・・・素材を意のままに・・・か。」

武雄がお茶の水面を見ながら考える。

「あ!出過ぎた事を!」

アスセナが武雄が考え始めたので慌てて謝る。

「ん?別に怒っていませんよ。

 アスセナさん、こういった質問はありがたいのですよ。

 疑問に思ったら質問をして良いですからね?

 そうすれば間違いがあった場合は反省が出来ますし、その後の展開も考えられますからね。

 ヴィクターも。」

「は・・・はい。」

「畏まりました。」

アスセナとヴィクターが頷く。

「さて、確かに製造元に依頼するというのは、どこに卸すのかとか価格を決められるから便利ですよね。

 敵対的な工房に卸させるわけにはいきませんし、領外向けの輸出にも直接指示が出せますからね。

 でも、今回のラルフ店長との話合いでは、直に生産工房に支援するのは難しいというのがわかりました。

 全ての業種の生産工房がとはならないでしょうが、少なくとも私が欲しい布に対しては私が考えた生産工房に依頼する事よりもラルフ店長が提案してくれた工場を利用した方が動きやすいというのはわかりましたね。」

「キタミザト様はそれでよろしいと?」

「ええ、知己のラルフ店長の所に注文するだけですからね。

 一から説明の手間が無いだけ楽です。」

「はぁ・・・キタミザト様がそう言われるのでしたら・・・」

アスセナが頷く。

「・・・ヴィクター?」

武雄がヴィクターを見て「アスセナさん、どうしたの?」と首を傾げる。

「えーっと、アスセナはですね。

 交渉において主がラルフ様に負けたのではないかと考えております。

 こちらの提案がラルフ様の提案でなくされましたので、キタミザト家として想定よりも不利益になったのではと危惧しているのです。」

「???・・・ん~・・・不利益???」

武雄が首を捻る。

「ヴィクター様!そこまでは言っていません!

 ですが、交渉ごとにおいて向こうの提案が我が家より上回ったのです。

 なので、本来はキタミザト家にあった利益がラルフ様に相当移ったのではないかと!」

「あ~・・・そういう事ですか。

 アスセナさん、今回のこの布の話で結果としてどうなりましたか?」

「ラルフ様の工場で生産する事が決まりました。」

「うん、そうですね。

 ヴィクター、私達が生産工房へ直接契約する場合とラルフ店長の所に依頼する場合。

 この2つを見比べた場合、どのくらいの不利益が出ますか?」

「・・・仕入れ値が少し高くなる程度でしょうか。

 ですが、主は元々試験小隊向けには特注をする意気込みでしたので結果としては特には影響がないと言えます。

 それにラルフ様が動いて頂けるのであれば、エルヴィス家経由での支援をしなくても良い可能性がございます。」

ヴィクターが説明する。

「それについては未定ですね。

 あとは・・・ラルフ店長なら契約してくるでしょうね。」

「でしょうね・・・ですが、それは生地の生産方法という所ですね。

 どういった契約にするかは話が来た後に話合いをしてきます。

 あとエルヴィス家の文官に配合をお売りするか(・・・・・・・・・)はわかりませんので未回答といたします。」

「配合ですか?」

アスセナがヴィクターに聞く。

「はい、アスセナ、黒スライムの体液に熱を加えた際の実施後の形状は主が何度も見せていますね?」

「はい。」

「あれはいくら薄くしても『板』としての性能が確約されているのみで布としての柔軟性についてはない物と見受けられます。」

「・・・なるほど。

 ならば性能的に服にも使えるように何かしらを混ぜないといけないのですね?」

「そうなります。

 主はこの部分の研究をされるでしょう。」

ヴィクターが武雄を見て言う。

「研究か・・・パナ。」

「はい、タケオ。

 その部分の性能評価と施工評価ですね?」

チビパナが武雄の肩に実体化して言う。

「ええ、まぁローチさんやキャロルさんには焼くとしか言っていませんけどね。

 各ブロック毎に作ったパーツを繋ぎ合わせた際に出来る隙間埋めは浸した布を当て熱で硬化させる方法が便利だと思います。

 その為には・・・液体の性能もある程度知っていないといけないでしょうけど、何を混ぜるかの確認をしてください。

 エルヴィスさん達と話した内容とは違ってきますが、それはそれ。

 布以外でも混ぜられるなら混ぜたいですしね。

 またその一環で薄く塗膜を作れば柔軟性が発揮出来る配合の試験もお願いします。」

「了解しました。」

そういってパナが姿を消す。

「研究は何とかさせますよ。

 あとは・・・夕霧達と文官達とでの液体の供給体制の協議でしょうね。

 まぁこれも試作品が出来てから見せて売り上げがどれだけありそうか検討してからどのくらいの原料が作れるのか確認する必要がありますかね。

 その時になればまた忙しくなるでしょう。

 ヴィクター、アスセナさん、用意だけはしておく必要がありそうですね。」

「「はい、わかりました。」」



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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