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第1467話 馬車と船の打ち合わせ。2(組み合せ滑車を上手く使うには。)

「えーっと・・・積み荷は1600㎏を想定っと・・・」

クローイが図面に書いている。

「で、このクレーンで1600㎏を吊るのですが・・・これ耐えられるのですか?」

「「!・・・」」

ダンとクローイが一生懸命に図面を見て考える。

「・・・無理でしょうか?」

ダンが言ってくる。

「それをこっちに聞かないでくださいね。

 まぁ私は難しいとは思いますが、保つというなら私は構いません。

 実際の製作はキャロルさんとローチさんでしょうけど。

 どう思いますか?」

武雄が2人に聞く。

「スズネとトレーシーさんが吊る荷重は2000㎏と想定していましたが、キタミザト様の計算では少し低いのですね。

 それにスズネもクレーンの素材の心配はしていました。」

キャロルが言ってくる。

「??・・・ん~・・・ヴィクター、議事録にコンテナの重量等々の内容はないですよね?」

武雄が議事録を捲りながら中身を確認する。

「はい、私も今聞き及びました。

 キャロル様、その話はいつされましたか?」

「あ~・・・会議が終わってテイラーとスズネ、トレーシーさんで話をしました。

 その時だったかと。」

キャロルが悪びれもなく言う。

「・・・相談がないという事は鈴音が考えているんでしょうね。

 もしくはこれから相談に来るのかも・・・まぁそこは後で聞きましょう。

 それにしても2000㎏かぁ・・・悪くはないですよね。」

武雄が腕を組んで考えている。

「キタミザト様、どういうことでしょうか?」

「いや、紐1本で2000㎏を吊り上げるのは現状では何かしらの装置(・・・・・・・)を使用しての引っ張り荷重の軽減処置が必要でしょう。

 でないと巻取り側で2000㎏を引っ張るなんて普通なら出来るわけないですからね。

 となるとクレーンで吊り下げる紐のどこかに装置を付けると考えられるのですが・・・まぁ400㎏もかかるとは思いませんが、それなりの重さの装置がぶら下がるわけです。

 なので安全値を見込んで総重量が2000㎏とするのは良い考えでしょうね。」

武雄が頷くが、キャロルが驚いていた。

「ん?キャロルさん、どうしましたか?」

「いえ・・・こちらがスズネとの契約書になります。」

キャロルが懐から書面を取り出し、武雄の前に置く。

「・・・吊り滑車?・・・あぁ、なるほど、10組並列の組み合せ滑車とは考えましたね。」

武雄が契約書を見ながら言う。

「いかがでしょうか?」

「・・・2本でしょうか。」

「え!?」

「この構造だと滑車装置の片面から紐が出てきます。

 まぁ真ん中に持ってくるという手もありますが、1系統目と2系統目を左右に対称に設置すれば紐が中央で上げ下げが出来るようになりバランスも良くなるでしょう。

 なので基本は2組で作る事をお勧めします。

 それに2本で引っ張れれば1本に使う滑車の量が減らせられますからね。

 まぁ個数についてはこの場では言及出来ませんけども・・・

 もちろん1本の紐が切れたりした際は、残りの1本で積み荷が落下しないように耐えられるようにしないといけませんが。

 巻取りは1か所で行うので巻取りに必要な力は変わりませんけどね。」

「はっ・・・では、それも考えさせて貰います。」

「ええ、お願いします。

 と、吊り側は問題ないとして・・・今はクレーンの支柱の構造かぁ・・・

 2000㎏を吊り支えるとなると・・・ん~・・・

 やっぱり鉄製が理想ですよね。」

「まぁ材料的にはそうなります。

 ですが、鉄板をどのように加工しますか?」

「ん~・・・その前に。

 ダンさん、クローイさん。」

「「はい!」」

武雄が若干置いてけぼりになっていた2人に声をかける。

「・・・緊張しなくて良いですよ?

 私は理想論しか言っていませんのでここから検討や実施計画は皆さんにして貰いますから出来ない事は出来ないと言って貰わないといけないですからね。」

「はぁ・・・」

「わかりました・・・」

2人があいまいな返事をする。

「まぁその辺もキャロルさん達にお願いしますか。」

「教育はお任せください。」

キャロルがそう答え、ローチも頷く。

「さて、エルヴィス家の文官達の港湾施設の図面は見ましたね?

 船着き場の図面では幌馬車と輸送船の荷台の高さはいくつでしたか?」

「え?えーっと・・・」

「確認しておいてください。

 キャロルさん、ローチさん。」

「「はい。」」

「前に話したのは荷台の高さからコンテナをスライドさせて船に乗せる。

 この考えでしたね?」

「はい、その通りです。」

ローチが返事をする。

「今回クレーンを使う方法がこの2人から提言されほぼ了承されたようです。

 ならクレーンの使用方法では無理なくそして安全にと考える必要があります。」

「はい、その通りかと・・・ですが、船の積み降ろしを頻繁にしているであろうテンプル伯爵領ですら導入を検討する段階の話なのです。

 この2人から提言されたクレーンを使って荷台から船に安全に運ぶか・・・実績がないですね。」

キャロルが答える。

「実績がないのはコンテナも一緒です。

 さて私が言いたいのは発想を変えましょうという事です。

 クレーンは新しい技術となるようですが、要はただの上げ下ろしのみの装置と定義すると結構安全に使用が出来ると思っています。

 さてどうやって物を船に・・・いや、船の直上に(・・・・・)持ってこれるかという事なんですよ。

 私達が以前話し合った事を含めて考えてくれますか?」

「以前・・・」

「話し合った・・・」

武雄が言いたい事をキャロルとローチが考えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] うーむ。 馬車と港湾の技術者は、かなりレベル低いな。。。
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