第1464話 ハワース商会との打ち合わせ。(仕切板の件。)
「こんにちは~。」
武雄とアスセナが店に入っていく。
「あ!キタミザト様!いらっしゃいませ!」
店員が元気に挨拶してくる。
「モニカさん達は居ますか?」
「はい!すぐにお呼びします。
おーい、キタミザト様が来たから頭取達を呼んできてくれー。
キタミザト様、応接室でお待ちください。」
「はい、お願いします。」
店員に案内され武雄とアスセナが奥に向かうのだった。
・・
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「キタミザト様!戻られたのですか!」
モニカが勢い良く応接室に入ってくる。
「はーい、モニカさん、戻りましたよ。」
武雄がにこやかに言ってくる。
「おい、モニカ、流石にキタミザト様に失礼だ。
キタミザト様、ご無事のお戻り社員一同安堵しております。」
モニカの父親が後ろからモニカに怒ってから武雄に頭を下げる。
「はい、ありがとうございます。
研究所の備品は無理を言ったようですね。
納期厳守、ありがとうございました。」
武雄が礼を言う。
「いえ、問題ございませんでしたし、あの数を一気に製作出来た事で皆にも良い経験になりました。
前を失礼します。」
モニカの父親とモニカが武雄達の前に座る。
「研究所の方は見に行かれましたか?」
「はい、先ほど皆で見に行きましたが、皆喜んでおりました。
私は机の大きさに驚きましたけども。」
「貴族や大きな商いをして皆を率いている者達はあのくらいが普通なのではないでしょうか。
ちなみにキタミザト様は伯爵様のを元に製作しております。」
「まぁ使っていくうちに慣れるんでしょうね。」
「はい。
何か不備があれば言ってください。」
「不備はないのですけど、机の表面が傷まないように黒スライムの体液でこんな物を作ってみました。」
武雄がリュックからさっき作った板を取り出す。
「おお・・・薄いですね。
重さも十分ですか。」
モニカの父親が一通り眺めてからモニカに渡す。
「・・・」
モニカは目つきを鋭くさせて物を見ている。
「・・・これの量産を?」
モニカの父親が聞いてくる。
「いえ、作る気はありませんが・・・一応契約書を作っておきますか?」
武雄が聞いてくる。
「そうですね・・・これの材料はなんですか?」
「黒スライムと白スライムの体液を同量混ぜ、一気に焼きました。」
「ほぉ・・・とりあえずカタログに入れてみましょうか。
製作方法は後ほどメモをください。」
「わかりました。」
武雄が頷く。
「耐火板はどうなりましたか?」
武雄が言うとモニカがビクッとする。
「あ~・・・実はですね。
娘婿が今日建て方の親方連中に説明に向かっています。
例の内装壁とそれに貼り付ける内装の紙・・・壁紙と命名したのですが、そちらの説明と意見確認なんです。」
モニカの父親が言ってくる。
「現状での手応えは?」
「・・・半々と見込んでいます。」
モニカの父親がそう言うとモニカが暗い顔をさせる。
「ふむ・・・事業としての採算がどの程度かはわかりませんが・・・
現状で半々なら好感触でしょうか・・・あとは実際に使われてみないといけないでしょう。
壁紙の手配の方は?」
「試作は完了しています。
貼り付けの方法もほぼ固まっています。
今日は親方連中にどういった壁紙の種類が欲しいかの意見集約ですが・・・」
「とりあえず研究所の方では4月15日に開所日を迎え、その後に研究員達で区分けを考えます。
長い時間待たせず仕切板の発注はする見込みです。
1m×1mを標準規格として、2枚上下に付けられるようにして高さ2mの壁を作ってください。
もちろん自立は必須です。
まぁ考えるのは端から20㎝の所に足を作って倒れないようにするのが早そうですね。」
武雄がその辺の紙に落書きをしながら言う。
「なるほど・・・L字の足を両脇からにすれば貫通させて両脇で挟み込めますね。
これなら仕切板に負担はかからなそうですね。
それと2枚を上下に付ける方法とその方法を1組として個室が出来るような繋ぎ方を考えれば良いのですね。」
「1つは板の周りを鉄とは言わないですが、何かで囲み、囲み同士を繋げられるようにするという方法や囲みは使わずに板同士を直接繋ぐ方法がありますが・・・
製作、施工上の良し悪しがあるでしょうからハワース商会に任せます。
それと研究員に支給する机ですが、机の天板の上にこの耐火板を取り付けて貰います。」
「木の天板の上にですか?」
「ええ、小さいでしょうが火を使う研究も想定しています。
なので机の上が耐火性能を有しているというのはありがたいです。」
「ふむふむ・・・面白い事を言いますね。
モニカ、厨房内の机は石造りが多かったな?」
「ええ、確かに耐火板を表面に張り付けた机を用意すればいきなり変わらないかもしれないが、少しずつ買い手がありそうね。
内装壁と壁紙とは別に同素材で厚さや硬度を変えて・・・キタミザト様、先ほどの板ですが。」
「はい、なんでしょうか?」
「あれは黒スライムと白スライムの体液でしたよね?」
「はい、同量を混ぜて焼いた物です。
作り方としては白スライムだけで作る耐火板と同じです。」
「・・・なるほど・・・
キタミザト様、耐火板は白スライムだけなのですよね?」
「ええ、ですが私もさっきの机の表面保護用の板を作った時に『これも耐火板では?』とは薄々思っていました。
まぁその辺は軽さとか施工のしやすさを確認しないといけないのでどちらが良いとは言えませんが。」
「そうですね。
ならその2つはこちらで一度作って検討してみます。
あとさっき言った仕切板の接続方法も考えます。」
「はい、お願いします。」
武雄が頭を下げるのだった。
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