第1462話 ベルテ一家訪問。2(子供達に教育を。)
「才能か・・・」
フローラが机の上の氷の花を見て嘆いている。
「・・・ボーナお母さん、フローラさんに見せない方が良かったのですか?」
「いえ、そうではないのですが・・・」
武雄が心配そうに言うがボーナは苦笑している。
「ニルデ、凄いわね。
凍らせる事も出来たんだね。」
エンマがニルデに言う。
「いえ、凍らせたのはキタミザト様です。
私はあの花を作っただけです。」
「あ、そうなんだ。
いや、ニルデがいつの間にか氷の魔法も出来るのかと驚いたわ。
ジルダはキタミザト様に白いファイアは見せたの?」
「うん!褒められた!」
「そうかぁ、やったね。」
「うん。ニルデも褒められたの?」
「私も褒められました。」
ニルデもドヤ顔をエンマに向ける。
「そうかぁ。」
エンマがにこやかに頷く。
「エンマもキタミザト様に褒めて欲しいの?」
ニルデが聞いてくる。
「いやぁ~・・・ん~・・・褒めて欲しいのは確かだけ」
「キタミザト様!エンマが褒めて欲しいって!」
ニルデが報告する。
「こらー!!言わないでー!」
エンマが慌てる。
「ん?ニルデ、エンマが褒めて欲しいと聞こえましたよ?」
武雄がやってくる。
「はい。」
ニルデが頷く。
「いや!あの!私は!」
エンマが顔を真っ赤にさせてワタワタしている。
「はいはい。
エンマさんも毎日頑張っています。
ご苦労様です。」
武雄がエンマの頭を撫でながら言う。
「うぅぅ・・・・」
エンマが大人しく頭を撫でられる。
「よし、ついでにフローラさんも撫でてくるか。」
武雄が落ち込んでいるフローラに向かっていくのだった。
・・
・
皆が食堂の席について打ち合わせを始めていた。
「「・・・」」
エンマとフローラは照れながら座っている。
「というわけで、タンポポ茶はダンディ茶として出荷しますからね。
これを商品名として浸透させましょう。」
「ダンディ茶・・・わかりました。」
ボーナが頷く。
「畑の方は先ほどドナートさんに聞きましたが、ニルデとジルダの方はどうでしょうか?」
「耕す方は終わってこちらも種まきなのですが、タンポポの種が売られておりませんので現状では持ち込んだ種を使用しようかと思います。
あとは野生の物をと。」
「まぁ・・・私達以外にはタンポポは商品価値がないでしょうからね。」
武雄が腕を組んで言う。
「ええ、これを商品にするというのは・・・前代未聞ですね。」
ドナートが言う。
「『無価値なものを価値あるものに』、『低原価で高付加価値を』。
これが商売の根底ですからね。
あとは販路をしっかりと作っておく事が重要というところではありますけど。
25年間は手を出させないと王家には約束させましたが、他の地域や他国で生産される可能性は残っています。
しっかりとした品質を維持出来るように作成方法の文章化をお願いします。」
「はい、畏まりました。
ちなみになのですが、キタミザト様。
ニルデとジルダに読み書きを今教えているのですが。」
ボーナが言ってくる。
「うん、とても良い事ですね。
それで?」
「はい、どの程度まで教えれば良いかと。」
「ん~・・・日常生活が出来るぐらいまでは最低限必要ですけど・・・
私では程度がわからないですね。
任せます。」
「わかりました。
ちなみにキタミザト様は?」
ボーナが聞いてくる。
「・・・これ読めますか?」
武雄がその辺にあった紙に鉛筆を懐から取り出して文字を書くとボーナ達に見せる。
「「?」」
ドナートとボーナが首を傾げる。
「私は書けませんが読めはします。」
「それでよろしいのですか?」
ドナートが微妙な顔をさせながら言う。
「んん~・・・良くはないですね。
まぁこの年で文字を覚えるのもね・・・貴族の中で書けないのは私ぐらいですかね。
あ、ちなみに名前ぐらいしか書けませんが、この言葉では書けますので、お二人にはテイラー店長の所でメガネを買って来てください。
そうすれば私の書いた文字が読めますよ。」
武雄が文字を書いた紙をヒラヒラさせながら言う。
「「??」」
ドナートとボーナがさらに首を傾げる。
「まぁ・・・私は独特なのですよ。
なのでメガネをかけないで読める内容の指示書ないし文章が私の方から来たら連名されているはずです。
私の名のみしかなかった場合は無視して即刻報告をしなさい。」
「はい、わかりました。」
ドナートが頷くと他の皆も頷く。
「それと私の名を騙る者もいるかもしれませんが、貴方達に伝言をするなら顔見知りにしかお願いしません。
街行く人に伝言は頼みませんので留意してください。」
「「はい。」」
「主、アスセナにさせますか?」
ヴィクターが言う。
「ん~・・・アスセナさんが主になるかもしれませんが、時と場合によりけりでしょう。
深夜とかだとアスセナさんは帰宅しているでしょうしね。
緊急事態なら一度エルヴィス家で話し合いをしますから、ヴィクターが屋敷に来て私の指示を仰ぐでしょう。
他には、もしかしたら試験小隊の誰かとかもありますからね。
そこは顔見知りとしか言えませんが、少なくともキタミザト家の者か研究所の者を行かせるでしょう。
今はそう思っていてもらって構いません。」
「はい、わかりました。」
ドナート達が再び頷く。
「あ、そうだ。
今日来た用件は米を持っていく事ですからね。」
「はい、平気です。
どのくらいでしょうか?」
「とりあえず1袋持っていきます。
元々半数は作付け用に購入した物です。
半数まではいくらでも使ってください。」
「畏まりました。
持っていくという事は調理に使うのですか?」
「明日辺りに作ろうかとも思っています。
具体的に決まったら連絡しますが・・・出来ても夕食用でしょうね。
一応ベルテ一家にも食べて貰いますので来る準備はしておいてください。」
「はい、わかりました。」
「よし、じゃあ、進捗も聞けたし米を持って帰りましょうか。」
「「はい。」」
ヴィクターとアスセナが返事をするのだった。
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