第1461話 ベルテ一家訪問。1(これから始まる農業生活。)
武雄とヴィクター、アスセナ、初雪の4人はマイヤー達と研究所で別れて次に向かう事にした。
「アスセナさん、仕事は大丈夫ですか?」
「はい。今は各協力業者方に会いに行って、いろいろお話を聞いています。」
「次はどこに何を依頼しに行きましょうかね?」
「あの・・・キタミザト様、各協力業者の方々は今は精一杯のご様子でして。」
アスセナが申し訳なさそう言ってくる。
「アスセナ、その続きは私達が言ってなりませんよ。
各協力業者の方々が主に言う事です。」
ヴィクターがアスセナを諌める。
「・・・はい、畏まりました。」
アスセナが頷く。
「・・・ふむ・・・精一杯だから・・・か。
まだ余裕はありますかね。」
「「・・・」」
武雄の言葉に部下2名が微妙な顔をさせる。
「あ~・・・ある程度考えて自重はします。」
武雄は2人の顔を見て諦めながら言う。
「「はい、お願いします。」」
武雄の呟きに2人が頷く。
「次はベルテ一家ですね。」
ヴィクターが言ってくる。
「そうですね。
確かヴィクターの報告によると、魔法は使えるようになったんでしたかね?」
「はい。皆さんファイア、アクア、ケアは出来ていると伺っております。
あとは個人的な適性がある物を嗜んでいると伺っております。」
「・・・ベルテ一家はわかるんですけど、ニルデとジルダは獣人でしたよね?」
「はい、私もアスセナも発動出来ません。
もしかしたら混血という所が発動できる所以なのかもしれません。」
「ふむ・・・まぁあの2人にとっては気にする事ではなさそうですね。
むしろ出来た事を楽しんでいそうですが。」
「はい。あの2人は農作業を終えてからテイラー様の言われた練習を地道にしています。」
「素直な子達ですね。
大人から見れば良い事ですが・・・楽しそうにしていましたか?」
「そこは間違いなく。周りを水浸しにして、ボーナさんに何度か叱られているのを見ました。」
「叱られるくらい楽しんでいるのなら問題ないでしょう。
あとは練習して『自分に合った魔法の使い方』を覚えれば良いですね。」
「はい。テイラー様も数日に1度、様子を見に来てくれているようです。」
「まぁテイラー店長はベルテ一家の魔法の先生みたいなものですしね。
皆が気にかけてくれているなら問題ないでしょう。」
「はい。」
武雄達はのんびりとベルテ一家の家を目指すのだった。
・・
・
ベルテ一家にて。
「・・・とりあえず予定の面積は耕せたな。」
庭の机に広げたこの土地の地図を見ながらドナートが言った。
「そうね。
文官の方も都度見に来てくれているけど・・・はい、予定のトマトの種。」
ボーナが机の上に手持ちの種が入った袋を机に乗せる。
「えーっと・・・こっちがウィリプ連合国で買ったトマト。
こっちがこの地のトマトだな。」
「ええ、エンマが印を付けてくれています。」
「高性能肥料についても要望通りの区分けは済んでいる・・・
よし・・・やれるな。」
「ええ、エンマ達呼んでくる?」
「ああ、明日の種まきの段取りを話し合おう。」
「わかったわ。」
ボーナが子供達を呼びに畑に向かう。
「おや?ドナートさんのみですか?」
武雄達がひょこっと顔を出す。
「キタミザト様!
お戻りでしたか!」
「はい、出張から戻りましたよ。
畑は順調ですか?」
「はい。明日にはトマトの種植えを行う予定を今していました。」
「うん、良い事です。
あ、今日は米を取りに来たんですよ。
ヴィクターが魔王国経由で仕入れたブリアーニ王国産の米を持ってきたでしょう?」
「はい、しまってあります。
・・・キタミザト様、美味しかったですか?」
「はい、美味しかったですよ。
良い仕事していますよ。
あの味なら問題ないでしょう。
期待出来ますね!」
武雄が楽しそうに行く。
「美味しい・・・ですか?」
ドナートが首を捻りながら呟く。
「あ~・・・そういえば食べ方が違いましたか。
あ、受け渡しの時にブリアーニ王国の方にも食べて貰いましたが喜んでおりましたよ?
『こんなに美味しいなんて!』と。
今頃向こうに戻って試行錯誤されているでしょうね。」
「ブリアーニ王国の者がそう言ったのですか?・・・これは本当に美味しかったのでしょうね・・・」
「あ~・・・ヴィクター、これは食べさせた方が良いですね。」
「はい、認識が共有されておりません。
あの食べ応えのある米を作られるのです。」
「食べ応え・・・ん~・・・」
ドナートが首を捻る。
「あ!キタミザト様!」
「おかえりなさいー!」
ニルデとジルダが走って武雄の下に行く。
「はい、戻ってきましたよ。
2人とも元気ですか?」
「はい。」
「うん!
あ!キタミザト様見て!」
とジルダが掌に手のひらサイズのファイアを行い白色の炎を出す。
「お♪出来ましたか。
偉いですね~♪
よく頑張りました!」
武雄がジルダの頭を撫でる。
「やった♪褒められた。
ニルデ、褒められた。」
「うん、キタミザト様、私はこれです。」
と両手にアクアを溜めてそこから小さな花を一輪咲かせる。
「おお♪これは凄い!
ニルデもやりますね。
これは綺麗だ・・・ニルデ、そのままにしてくださいね。」
「はい。」
武雄はニルデが作り出した水の花を手で包み込むように囲み、フロストをかけて固まらせていく。
武雄的に×30くらいかけて一気に冷やしていく。
「おおお♪」
「凍っていくー♪」
ニルデとジルダが目を煌めかせる。
「・・・こんな感じですかね。
ニルデ机の上に置いてみましょう。」
「はい。」
ニルデがゆっくりと凍った花を机に置く。
「おっと・・・地図や種をどかしますね。」
ドナートが机の上にあった物を片付けるのだった。
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