第1457話 研究所視察。2(2階と3階。)
「ここが隣の建物とをつなぐ通路・・・渡り廊下ですか。」
武雄が扉を開けて確認する。
「こちらの受付は研究室がされるのですね。」
マイヤーが呟く。
ちなみに試験小隊の面々は1階の自分達の部屋に行き、机の配置を検討をするようで、研究所の2人も一緒に1階に下りて行った。
「正確には用件を聞いて、3階にいる者達を呼んでくるとなるでしょうね。
それは試験小隊の所の受付も同じです。
まぁ開所後に練習をしましょうか。」
「わかりました。」
マイヤーが頷く。
「文書保管所も3階部分の施工ですか。」
武雄が向かいの建物を見ながら言う。
「向こうは出来次第司書の訓練を始めるそうです。」
「司書・・・大変そうですね。」
ヴィクターの説明にマイヤーが難しい顔をさせる。
「まぁ手探りで始めるのですから多々失敗はするでしょうね。
前例を作る為の仕事ですからね。」
武雄が楽しそうに言う。
「では、書庫を見てから3階に参りましょう。」
ヴィクターが先導して皆を誘導する。
・・
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所長室には執務机と応接用のソファセット、壁面は本棚が置かれていた。
エルヴィス伯爵邸の書斎の拡張版となっていた。
「・・・ヴィクター・・・違和感が凄いです。」
武雄が自身の執務机に座っているのだが、広すぎて落ち着かないようだ。
「主、すぐに慣れます。
それとこちらの部屋には金庫がありますが、説明はまた後日とします。」
「入れる物ないですしね。」
「主の知識を入れます。
と、マイヤー様の方を見に行きましょう。」
・・
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総監室にも所長室と同じように執務机と応接用のソファセット、壁面は本棚が置かれていたが、一回り小さい物が置かれていた。
「ふむ・・・ヴィクター、これが貫禄ですか。」
「主も風格はありましたよ?」
武雄とヴィクターが、執務机に座っているマイヤーの姿を扉の所から見ながら言う。
「所長・・・何を言っているのですか?」
マイヤーが呆れながら聞き返してくる。
「いや・・・似合っているなぁと思いましてね。
失礼します。」
武雄が入って来てソファの下座に座る。
「・・・所長、逆では?」
「この部屋はマイヤーさんのですからね。
私が下座。
はぁ・・・落ち着く。」
武雄が伸びをしながら言う。
「はぁ・・・で、所長。ヴィクター殿が先ほど家令達の事務机に置いたのは何ですか?」
マイヤーが聞いてくる。
「あぁ、ブルックさんにも聞かれたのですが、机の上に置く保護用の板を作ろうかと思ってですね。
サイズはこのくらいです。」
武雄が手を広げて言う。
「わかりません。」
「でしょうね。
ほら、黒スライムの体液で板を作ったじゃないですか。
あれを薄く作って机の上に置けば机が傷つかなくて良く、板が傷ついたら板を取り換えれば良いと思ってですね。」
「黒スライムの板・・・あの固さのをですか?」
「いえ、流石に黒だけだと鉄板を敷いた感じになりますのでペン先とかの傷みが早いと思うので・・・白を追加してみようかと思います!」
「所長・・・試作したのですか?」
「え?これから試作ですよ。」
「はぁ・・・・まぁ良いです。
とりあえず作るのですね?」
「はい、それなりに強度がある板が出来れば良いのでね。
さ、ヴィクター、所長室で試作しますよ。」
「はい、アスセナ、準備をしましょう。」
「はい、畏まりました。」
武雄達が所長室に行くのだった。
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1階の試験小隊の部屋。
「あ~・・・こりゃ、武具といっても剣とか胸当てとか簡単な物をしまえるようにしたんだな。」
「ん~・・・」
「おい!こっちの階段下に人数分のロッカーがあるぞ。」
「あ、そっちが私物入れか?」
「いや、制服と作業服を畳んで入れるくらいしか出来ないぞ。」
「んん~・・・なら大物は訓練場に保管だな。」
試験小隊の大人達があっちこっち見て評価をしている。
「えーっと・・・私達は新人小隊として区分けされるだろうから・・・
ん~・・・こっちの島か。」
ブルックが即席で打ち合わせをした机の配置を書いた紙を見ながら確認している。
「ブルック、移動して平気か?」
「うん!傷つけないようにね。
アーキンが小隊長候補だから上座で対面が私、アニータミルコ、対面にケードとコーエンと。
こんなんじゃない?」
「了解、ダメならまた変えれば良いんだしな。」
「とりあえず配置を決めておこう。
私達の方が終わったら、アンダーセン隊長達の方も整頓しないとね。
ほら、2人1組で机持って来て。」
「「「「はい!」」」」
新人4名がブルックの合図で机を持って移動し始める。
「失礼しま・・・もう配置換えですか?」
アスセナがグレーの板を持って入ってくる。
「アスセナさん、お疲れ様です。」
「アスセナ殿、言ってくれれば取りに行きましたよ。」
受付の横で打ち合わせ場所から持ってきた椅子に座って試験小隊を見ていた鈴音とトレーシーが言い返す。
「はい、ありがとうございます。
机の上に置く板が出来ましたのでまずは2枚お持ちしたのですが・・・移動中でしたか。」
アスセナが若干困る。
「机の上に置く板・・・あ!なるほど!シートみたいな物ですか。
確かに必要ですよね。」
鈴音が武雄の意図に気が付きうんうん頷く。
「なら、あっちの道路側の打ち合わせ用の机に置きましょう。
ブルックさん!机の上に置く板をとりあえず2枚あっちの机に置いておきますね!」
「はい!すみません!
こっちも配置終わったら運ぶの手伝います!」
ブルックが4人を指揮しながら鈴音に答える。
「アスセナさん、置いたら私達も運ぶの手伝いますよ。」
「はい、わかりました。
キタミザト様がサクサク作っているので、すぐに人数分が出来ると思いますから助かります。」
アスセナが頷くのだった。
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