第1451話 エルヴィス伯爵に報告。6(研究所の開所日は近い。)
「ジェシーの方はどうであったかの?」
「お姉様は元気でしたよ。
体調も良いようで毎日屋敷内を歩いて運動しているそうです。」
「元気じゃの。
良く食べておったかの?」
「はい、食欲も落ちないみたいです。
あ、ただオリーブオイルがちょっとダメみたいでタケオ様がサラダのソースを作っていましたよ。
お姉様も私も美味しく食べましたから問題ないですね。」
「ふむ、それはわしらも今度食べさせて貰おうかの。
ジェシーには元気な子を産んでくれたらそれだけで良いのじゃがの。
まぁ、わしらよりゴドウィン家の方が心配か。」
「どこに行くにも誰かしら付いてくるから気苦労が大変そうでした。
最近の趣味は政治関係の本を読む事らしいですよ。
お姉様、本好きですから良いのでしょうけど・・・あまり出歩かないのも心配です。」
「まぁ誰かが付いてくるのは仕方がないの。
身籠っているのは跡取りじゃからジェシーも無理は出来んじゃろうし。」
「そこはそうなのですが・・・」
「主、アリス様、そこはゴドウィン伯爵家の皆様やジェシー様やゴドウィン伯爵様を信じないといけません。
これから何十年過ごすのですから何とかされると思われます。」
フレデリックが言う。
「そうじゃの。」
「向こうは向こうでなんとかするんですかね。」
エルヴィス爺さんとアリスが渋々納得するのだった。
「ゴドウィン伯爵家での滞在はあの子達と関以外はないですね。」
「ふむ、魔王国の方はタケオからの報告書とヴィクターとエリカ殿から聞いておる。
タケオ、他に何かあるかの?」
「あ~・・・子供達を連れて来た業者を魔王国に戻した際に先んじてビエラにヴァレーリ陛下に状況を説明する報告書を持って行ってもらいました。」
「ふむ・・・ヴァレーリ陛下はそれに対して何か行動をしておったかの?」
「情報の対価を頂いて終わっています。」
「ふむ・・・なら問題ないじゃろう。
あとは向こうで何かしらするのかもしれぬし、しないかもしれぬ。
わしらではどうも出来んから考えても仕方ないのじゃ。
それにタケオにも考えがあるのじゃろう?」
「ええ、5年後のウィリプ連合国との戦争の為の噂の確証を上げる伏線です。
ビエラ、問題ないのですよね?」
「あ?・・・あ~。」
ビエラが考えながら言う。
「主、ビエラは『向こうの考えはわからないなぁ』との事です。」
ミアが通訳をする。
「まぁなるようにしかなりませんか。
上手く行けばこちらが動きやすくなる程度ですからね。
ダメなら今と変わらないのですから大したことではありませんね。」
「うむ、タケオ、ご苦労じゃったの。
あとは米を食べさせて欲しいのじゃが?」
「明日・・・明後日ぐらいですね。
料理人達に作り方を教えないといけませんし。」
「準備に時間がかかるのかの?」
「はい、こればっかりは時間がかかります。
朝からやって夕食に出すのが精一杯です。」
「ふむ・・・タケオに秘策はあるかの?」
「準備の全体工程はわかっていますからあとは各工程を一元化もしくは時間短縮方法を考えれば良いのでこれからという所ですね。」
「タケオの中で考えているのなら問題ないの。
期待しておる。」
「ええ、まぁとりあえず明日は挨拶回りをして・・・ヴィクター、米はどこに保管していますか?」
武雄がヴィクターを見る。
「ベルテ一家の所に保管しております。」
「わかりました。
なら明日は関係各所を回ってから最後にベルテ一家の所に行き、米を持ってきます。」
「はい、畏まりました。」
「それと研究所の方ですが、建物は完成しています。
今はハワース商会が各事務机等々備品の搬入をしております。
また喫茶店ですが、料理長達が毎日見に行き、厨房の器具や食器の選定等を終え、こちらも搬入が始まっています。
工程通り4月15日開所になります。」
「ヴィクター、今日は何日ですか?」
「12日になります。
主、予定通り間に合いましたね。」
「そうですね・・・ヴィクター、いろいろありがとうございます。」
「いえ、問題はございません。
明日は試験小隊の方々にお知らせしに行きますが、当日というか開所日より試験小隊および研究所職員は皆制服でよろしいのですね。」
「はい、前に決めた通りで結構です。」
「わかりました。
では私達家令および事務員は事務処理では男性はエルヴィス家と同じ執事服、女性はエルヴィス家と同じメイド服とします。
研究所の職員については通常は制服とし、訓練や任務内容によって作業服を着用するものとし、判断については部隊長に一任します。」
「はい、その通りで構いません。
マイヤーさん達に知らせる際に再度確認しておいてください。」
「畏まりました。
4月15日の開所日の集合時間と場所はどうしましょうか。」
「・・・明日の協力業者への挨拶の前に研究所を見に行きます。
一応集合場所は会議室を予定していますが・・・見てから最終決定しましょう。」
「畏まりました、マイヤー様達にはそのように伝えておきます。」
武雄の提案にヴィクターが頷くのだった。
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