第1448話 エルヴィス伯爵に報告。3(魔物の話。)
「フレッドの所との領境がの・・・」
「確かに巡回が行くのは村まででしたね。」
「国は違えど魔王国でも確かに領地の境は魔物は多いですね。」
武雄の「領地の境に魔物が多い」と報告を受けてエルヴィス爺さん、フレデリック、ヴィクターが考え込んでいた。
「今回はミアにこのネックレスを付けさせて呼び込みましたが、その場にいなければそもそも来ないのです。
なので、相当数が生息しているようです。」
武雄がエルヴィス爺さんの前にアスセナが付けていたネックレスを置く。
「ふむ・・・そうじゃの。
じゃが、討伐で領境にまで行かせるのは・・・どうなのじゃろうの?」
「そうですね・・・行くだけなら問題はないのですけど。
戦闘ともなると費用も掛かりますし・・・」
「巡回ではなく派遣となると日数的には往復で2週間程度でしょうか。」
「巡回から範囲を広げるとなると追加で1週間くらいですね。」
ヴィクターとフレデリックが考えを巡らしている。
「主達がした討伐を鑑みると・・・オーガとオークの混成部隊との遭遇もあり得ますね。」
「そうですね・・・
南下する際はオークのみが頻繁に出没しましたが、帰還の時はオークもオーガも居ましたね。
最初からオークとオーガ、ついでにゴブリンが居ても不思議ではないですね。」
「・・・冒険者組合に頼むかの?」
「該当地の巡回だけでは依頼は出しづらいですね。
虚偽の報告を見抜けませんし・・・確認されてからの該当地の討伐依頼が基本なのですが・・・
討伐の依頼自体は常に出していますので・・・冒険者組合に確認の要請を出す程度でしか出来ませんね。」
「強制は出来んしの。
難しい物じゃの。」
「はい、あくまで冒険者組合に確認の要請をする程度でしょう。
ですが、村からもある程度距離がある為、食料や装備を揃えるのも難しいですからね。
実行はあまりされないでしょうか。」
エルヴィス爺さんとフレデリックがため息をつく。
「まぁ今回はネックレスで呼び込みましたが・・・普通なら遭遇はしないのかもしれませんね。」
「ふむ・・・じゃがそれなりの数が生息している事は確かめられたからの・・・
放ってもおけんしの。」
「年に数回兵士方の訓練としてネックレスを持って討伐させますか?」
武雄がエルヴィス爺さんに聞く。
「そうじゃのぉ・・・」
「出没する数が数十から数体と幅があり過ぎです。
数十が一気に来た場合を想定すると3小隊ぐらいは必要でしょう。
数十出るのなら採算は取れそうではありますが、少なかった場合は・・・ん~・・・」
エルヴィス爺さんとフレデリックが悩む。
「・・・主、コラ殿達は使えそうですか?」
「「あ!」」
ヴィクターの提案にエルヴィス爺さんとフレデリックが今思い立ったかのように顔を上げる。
「鷲で定期的に確認させますか・・・夕霧。」
「ん、タケオ、呼んだ?」
夕霧達が武雄の横に行く。
「夕霧達に領内全域の魔物の分布の確認をお願いしましたね?」
「ん、情報収集中です。
今は、タケオの指示でジェシー達の所も始めました。」
「順調そうですね。
ちなみに特定の地域の情報を常に監視する事は可能ですか?」
「ん、問題ない。
でも通路を作る必要があるのですぐには出来なさそうです。」
「問題ないですよ。
領内で魔力溜まりが頻発する箇所の確認もお願いしていましたよね。
・・・夕霧、時雨と初雪と一緒に現状での魔物の分布と魔力溜まりの場所を記載できますか?」
「ん、多分平気です。
シグレ、ハツユキ、平気?」
「問題ないっスよ。」
「まだ正確ではないけど、タケオ平気?」
「全然構いませんよ。
フレデリックさん、この机くらいの領内地図ありますか?
出来れば落書き可の物を。」
「すぐに用意いたしましょう。
用意を。」
「「すぐにお持ちします。」」
執事が2名退出していく。
「あ、私も夕霧達用に鉛筆と赤鉛筆持ってきます。」
武雄が席を立つのだった。
一方のアリスとエリカは。
「外観が煌びやかなお城ですか?」
「そうですよ。
日中は白で統一された外壁で太陽の光に照らされ、夜は松明等で下から明るく照らすんです。
アリス殿、かっこいいと思いませんか?」
「えー???
目立ちませんか?」
「目立つから良いんじゃないですか。
お城は目立って当たり前ですし、夜も皆から見えるのであれば町の名物になると思うんですよ。」
「ん~・・・まぁ・・・エリカさんが言っている事は想像出来ますが・・・
目立つ方が良いのかなぁ?」
アリスが腕を組んで首を傾げる。
「お城は町の象徴になる建物です。
それも領地の端の町ですよ?領外から来た者や魔王国から来た者に『お、これは』と思われないといけないんですよ。
目立つべきです。」
「確かに王家の領地という事で目立つ方が良いというのはわかります・・・わかりますが・・・
私ではなんとも言えないですね。
タケオ様に・・・あれ?居ない。」
「本当ですね。
白熱しちゃいましたね。
どこに行ったのでしょうかね?」
アリスとエリカが2人してキョロキョロしているのだった。
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