第1447話 エルヴィス伯爵に報告。2(エリカとアリスは何を始める気なのか。)
エルヴィス爺さん、フレデリック、ヴィクターに武雄がエルヴィス伯爵領の関、ゴドウィン伯爵領の関の話をしていた。
「ふむ、エルヴィス領側の関関係は順調なのじゃな?」
「はい、問題ないかと思われます。
少なくとも関の両脇の3kmでは簡単には侵入出来ないような作りにはなっていました。
突破できるかもしてみましたが、はしご等が無ければ登れない事を確認しました。」
「ほぉ、説明を聞いてはいましたがそれほどですか。
兵士達にも一度巡回の際にでも見に行かせた方が良いかもしれませんね。」
「そうじゃの。
それも一考じゃの。」
「登る事を試すのなら結構汚れも付きますから着替えも必要ですよ。」
武雄とエルヴィス爺さん、フレデリックが話し合っている。
「アリス殿は試しましたか?」
エリカが隣に座っているアリスに聞いてくる。
「はい、魔眼も発動して試したのですが、登れませんでした。」
「え?魔眼も使ってですか?
なかなかに土塁というのは有効性があるのですね。」
エリカがメモを取りながら頷いている。
「ウィリアム殿下領でもされますか?」
「んん~・・・タケオさんのやり方はスライムが必要ですからね。
人でするとなると作る費用に維持する費用が・・・今はまだ私の中で温めておきます。
でもいつかはやってみたいですね。
アリス殿、お城とか作ってみたくないですか?」
「お城ですか?
面白そうだとは思うんですけど・・・ん~・・・財政がなぁ。
でも今領地を作っている最中のウィリアム殿下領でなら小さなお城くらいは出来そうですよね。」
「ですよね。
ゴドウィン伯爵領との領境の町に小さな兵士の駐留地兼宿屋みたいな形で作ってみようかと提案しようかと思っているんです。
ちょうど中間ぐらいの位置にあってですね。
人の行き来や遠征時に使いそうですし、兵士の巡回の地域拠点としても良いかと思うのです。」
「へぇ~・・・なるほど。
そういう方法もありますよね。」
アリスが感心している。
エルヴィス家の兵士巡回は中央の兵士達が順に各町や村を回っていく方式でエリカが言っているのは基本は中央にいるが、町に簡易拠点を設けそこから担当の村を見に行くような方法だった。
貴族ごとに考えがある為、巡回方法は領主によって違いがあるのだった。
「ちなみにこの案、エルヴィス家の過去の資料が基です。」
「え?そうなのですか?」
「はい、数代前の頃の検討報告を見ていたら今の東町あたりに拠点兼宿を作る検討書があったのです。
平時は宿として使い、侵攻もしくは防御時は兵士の拠点とすると。
ですが、宿の運営を貴族でするのは大変だし、拠点を作ってそれを領民に委託するというのも・・・結局当時は検討したが不採用と結論付けていたんです。」
「そうなのですか。
貴族が宿をですか・・・価格とかでしょうか・・・」
「ん~・・・言い辛いのですけど・・・東町は最前線ですし、それも相まって旅人が来ないようでして、結局は兵士の駐屯が多く商隊は少ない事が予想されていました。」
「・・・東北部ですからね。
人も来ませんし。」
アリスが口をへの字にして拗ねる。
「まぁその当時はですね。
この案も一旦ウィリアム殿下達に提案してみます。」
「そうですね。
で、エリカさんがお城を作ってみるのですか?」
「一から十まで作る気はないですよ、中身は専門家に任せて全体は監修してみたいですね。」
「エリカさんが考えるお城ですか・・・凄いのが出来そうですよね。」
「アリス殿の期待値が凄いですが・・・なぜ私が作ると凄い物が出来ると思ったのですか?」
「だって、カトランダ帝国でお城住みで今はアズパール王国のお城住みですよね?
2か国の王城に住んでいたなんて誰もした事ないと思うんですよね。
なら両国の良いとこ取りが出来るのではないですか?」
「ん~・・・そう言われると確かに貴重な経験中ですが・・・
カトランダ帝国風味のお城があると異彩で観光名所になりますかね。」
「なると思いますよ。
でも外観はいろいろ言われるかもしれないのでアズパール王国内のお城を真似るとして・・・寝室とかの内装がカトランダ帝国のお城っぽく出来れば異国情緒を味わいたい人達が来るんじゃないですか?
もしくは王城を真似た内装にして貴族を体感してみるとか♪」
アリスが楽しそうに言う。
「なるほど・・・確かにそういう趣もありですね。
ウィリアム殿下達と話し合います。」
「上手く行ったら泊まる際は格安でお願いします。」
「アリス殿なら無料にしますよ。」
「やった♪」
「でも最上級の部屋かぁ・・・
貴族を体験と言われても・・・陛下やウィリアム殿下達の寝室のような感じですかね?
でも・・・アリス殿が言うのはそういうじゃないのでしょうかね。」
「陛下の寝室ですかぁ・・・
王家の寝室は見た事ないんですけど・・・どんな感じなのでしょうか?」
「・・・割と質素ですよ。
お客様達の部屋の方が煌びやかです。
アリス殿やタケオさんが泊まった部屋がありますよね。」
「はい。」
「あれを基準にするともっと調度品が少なくて地味ですね。
本人達曰く『煌びやかな物の中に居ても休まらない』とか言っていますからね。
多少の贅沢はしていますけど、金に囲まれていたりとかはしません。」
「そうなのですね。
となると・・・でも一般向けには客室の方が良いのでしょうかね?」
「そうかもしれません。」
アリスとエリカが未来の宿屋の話を膨らませていくのだった。
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