第1445話 エルヴィス伯爵邸に帰還。(遠征終了。)
夕方、エルヴィス伯爵邸の前に幌馬車が着く。
コラ達はそのまま現地にて狼達と打ち合わせを実施をするみたいで居残っていた。
「あ~・・・皆~着きましたよ。」
武雄は馬を降りて伸びをしている。
試験小隊の面々はすぐに荷台の荷物を下ろし始める。
「「「「・・・」」」」
子供達は荷台から降りて伯爵邸を無言で見上げるのみだった。
「おかえりなさいませ、タケオ様。アリス様。
皆様もようこそお出で下さいました。」
「主、奥様、ご無事のお戻り何よりです。」
「「キタミザト様、アリス様、お帰りなさいませ。」」
フレデリックとヴィクター、執事とメイド達が玄関から出てくる。
「皆、ただいま~。」
アリスも伸びをしながら答える。
「では、所長。
積み荷も下ろしましたので私達はこれで警護任務を終えます。」
マイヤーが武雄に言ってくる。
「はい。ご苦労様でした。
明日以降の予定はマイヤーさん達に任せます。
研究所関係で詳しい日にちがわかり次第連絡しますからね。」
「はい。わかりました。
私達は基本的には訓練場に居ると思います。
じゃあ、行こうか。」
「所長に対し敬礼!」
武雄に試験小隊の面々がその場で挙手の敬礼し、武雄も答礼する。
「直れ!
では。」
試験小隊の面々が礼をして馬を引きながら敷地を出ていく。
「荷物が想定より少ないですかね。」
フレデリックが荷物を持って屋敷内に行く執事達を見て呟く。
「最低限でしたし、テントとかは試験小隊が持ってきたのでそれを利用しましたので、少ないのかもしれません。
子供達の部屋は大丈夫ですか?」
「はい、準備は出来ています。
で、この子達ですね。」
「はい、こちらからルフィナ、セレーネ、ルアーナ、ヴィートの4名です。
皆、こちらがフレデリックさんでこの屋敷の家令兼執事さんになります。」
「「「「お世話になります!」」」」
子供達が挨拶をする。
「はい、よろしくお願いいたします。
では、皆さん湯浴みにしましょう。
その後に夕食を取ってから今後の話をしましょう。」
「「「「はい。」」」」
子供達が返事をする。
「では、お子様方はこちらに。
1人に1人付きますので覚えてください。」
「「「「はい。」」」」
フレデリックが子供達とメイド達を引き合わすのだった。
「シグレ、ハツユキ、おかえり。」
入れ替わるように夕霧が出てきて2人を出迎える。
「ユウギリ、帰ったっスよ。」
「戻りました。」
「ん、2人共元気そうでなにより。
共有を。」
「はいっス。」
「はい。」
3人が手を合わせて各々の情報のやり取りを始める。
「大方理解しました。
タケオ、随分と無茶をするのですね。
オークとオーガとは・・・無事でなによりです。」
夕霧が武雄に言う。
「ははは、夕霧に怒られました。
まぁ何とかなりましたよ。
あとで試験小隊の訓練場にお裾分けにいきますね。」
「ん、わかりました。」
「こちらで何かありましたか?
初雪からは何も変わった事はなかったと報告は受けていますが。」
「特には・・・船の設計者が来て馬車の工房の所に行きました。
伯爵と面通しもして、各工房と話し合ったようです。
その場にヴィクターやスズネも話し合いに参加しています。」
夕霧が答える。
「来ましたか。
他には?」
「他?・・・研究所が出来て、今はモニカ達が毎日家具を入れています。
ヴィクターや料理長も毎日様子を見に行っているのでそっちに聞いた方が良いかと思います。」
「わかりました。
じゃあ、私達も湯浴みですね。
アリス、着替え等々用意をしててください、私はお湯張りに行ってきます。」
「はい、わかりました。
・・・ビエラちゃんもクゥちゃんも湯浴みですね。」
「はい!」
「きゅ!」
2人が手をあげ答える。
「じゃあ・・・あ~・・・メイドさん達がさっさと荷物を屋敷に入れてしまいましたか。
私達も行きましょう。
改めて、ただいま戻りました。」
「おかえりなさいませ、キタミザト子爵様。」
武雄が玄関横の執事に挨拶をして屋敷に入っていくのだった。
------------------------
試験小隊の訓練場、試験小隊の大人達が休憩所内に荷台にあった荷物をしまっていた。
「よし、幌馬車の中身は移し終えたな。」
「明日はこれの掃除ですね。」
「小まめに掃除しないとテントもすぐ破けるし、しょうがないですよね。」
「アニータ達は馬や幌馬車を戻しに行ったが・・・もうそろそろ戻ってくるだろうな。」
「この後はマイヤー殿の訓辞で解散。
・・・果たして家の夕食が残っているのだろうか。」
「・・・ないな・・・」
「うちもないな・・・」
父親達は暗い顔をさせる。
「家に顔を出したらどこかに集合か?」
「ん~・・・店知らないですよね。」
「最初に行った店に行くか。」
「あ~、あそこなら食事も美味しいので酒を飲みながら適当につつきますかね。
なら着替えて集合ですね。」
とアーキン達馬と幌馬車を戻しに行っていた者達が戻ってくる。
「ん?どうしました?」
ブルックが聞いてくる。
「いや、夕食がないんじゃないかと思ってな。」
「あ~・・・確かに事前に戻ると言っていませんしねぇ~・・・
どこかで打ち上げですか?」
「ああ、ここに来た時に最初に行った店あるだろう?」
「ええ、お勧め店ですね。
あそこかぁ・・・ん~アーキン、アニータ、ミルコ、どうする?」
「あそこの野菜炒め思いっきり食べたいんですよね。」
「うんうん、お肉というより野菜をお腹いっぱい食べたい気分です。」
ミルコとアニータは野菜を食べたいらしい。
「そうよね~、私も肉ばかりだったから野菜の気分だし、アーキンは?」
「俺は野菜でも肉でも煮込みでも良いな。」
「野菜炒めだとあそこの店だしなぁ・・・席離そうか。」
「おいおい、邪険にするなよ。」
「酒飲みの近くに子供達を置けませんよ。」
ブルックが呆れながら答える。
「ちなみにケードとコーエンには聞かないのか?」
オールストンが聞いてくる。
「うん?・・・何か食べたい物ある?」
「「何もありません!付いて行きます!」」
ケイとパメラが即答する。
「です。」
ブルックがオールストンに顔を向け言う。
「はぁ・・・仕込み過ぎだろうに・・・皆、同じ店だな。」
「しょうがないですね。」
「おっと、マイヤー殿とアンダーセン隊長も戻ってきたな。
終わったら私服に着替えてあの店だな。」
「「了~解~。」」
皆が返事をする。
「良し終わるぞ、整列!
マイヤー殿に敬礼!」
試験小隊も遠征を終えるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




