第1437話 アリスと武雄は余裕です。(子供達は試行錯誤を繰り返しましょう。)
「「「グォォォォ!!!!」」」
森の中から雄叫びが聞こえる。
「始まりましたね。」
「全く・・・ビエラが1人で行くと言い出すとは・・・
余程鬱憤が溜まっていたんですかね・・・」
アリスと武雄は森との境界線近くでビエラがオーガ達を追い立てるのを待っている。
アリスはバスタードソードを構え、武雄はしゃがみ込み今撃った小銃改3をリュックにしまっている。
「あ~・・・ビエラが戦っていますが・・・残りの3体は出てきそうですね。」
ミアが武雄の胸ポケットから顔を出して報告してくる。
「よしっ・・・じゃあ、こっちを使いますか。」
武雄が小銃改3をしまいリュックを背負うと腰に付けた拳銃をホルスターから取り出し、両手でグリップし、いつでも構えられるように待機する。
「タケオ様、それ初めて見ます。」
アリスが興味津々のように武雄の拳銃を見ている。
「ん?あれ?そういえばアリスは王都で試射した時はいませんでしたか。
それに戻ってからも試験小隊の訓練場のみで練習していましたかね。」
「どうですか?」
「・・・私は気になりませんが、魔力消費が最初に500で1発撃つと75使っていきます。
それに腰に下げているだけでも強化をかけているので1日で50消費しますよ。」
「の・・・呪いの魔法具ですね。」
アリスが呆れている。
「威力としては小銃とほぼ同じ威力ですね。」
「えーっと・・・前にハロルドに打ち込みましたか。」
「ええ、フルプレートが凹むくらいです。」
「はぁ・・・結構な威力なんですよね?」
アリスが基準がわからないようで首を傾げながら言う。
「私のファイアより高威力ですね。
さて、ビエラは上手くするでしょうか?」
武雄は成り行きを見守るのだった。
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「「「「!?」」」」
子供達が雄叫びの声を聞き、顔を森に向ける。
「「「「オークから目を逸らすな!退避!」」」」
補佐している大人達が一斉に言い、子供達が急いで下がるが、一瞬遅れたルフィナにオークの腕が向かってくる。
「あっ、ぐぇ!?」
ルフィナはベイノンにいきなり襟を引っ張られ、ベイノンに襟を持たれたまま2mくらい後退、オークの腕は空振りに終わる。
ちなみにオークは腕を斬り付けられ過ぎていてこん棒が持てなくなっており、今は腕のみで子供達と対峙している。
「ルフィナ殿、危なかったですね。
退避と言われたらすぐに後退をするのをお勧めします。」
ベイノンがルフィナを地面に下ろし優しく言ってくる。
「ゴホッ・・・いきなりは苦しいです。
・・・あれが生死の境なんですかね・・・腕が来ると思ったら体が動きませんでした。」
「ははは、そうですね。
怖いと一瞬体が固まりますね。
ですが、あそこで動けるようになるというのが訓練なのです。」
ベイノンがルフィナにケアをかける。
「なるほど・・・でもあの腕も当たると痛そうです。」
「痛いですよ~。
なので避けるに限ります。」
「ん~・・・どうやってあの腕を掻い潜るべきか・・・」
ルフィナがオークを見ながら考えるのだった。
「目を離すだけで攻撃してくるんだね!」
「ルフィナ、危なかったね!」
セレーネとルアーナがオークを見ながら言う。
「戦闘中に目線を外すのはある程度戦闘を熟してからだ。
今は、目の前に集中しないと命に関わる。
今回はオークだから避けられたものの・・・もっと上の魔物だったら大惨事だ。」
「ついでに斬りつけた後も気を抜かない事も重要ですよ。」
オールストンとアーリスが小言を言う。
「「はーい。」」
「では、先程上手く行った2人同時攻撃をもう一度してみましょう。
今度も脇を通ってです。」
アーリスが提案してくる。
「「わかりました。」」
セレーネとルアーナが戦闘態勢を取るのだった。
「・・・減点?」
「ええ、大減点です。
戦う最中に目線を外すのは余程の実力の違いがなければしてはいけません。」
ブレアが呆れながら言う。
「・・・叫び声が・・・」
「気にしない、あっちは王国最強の2人組なんです。
難なく倒します。
今は目の前の初陣を乗り切らないといけません。」
「わかりました・・・今度は足を斬り付ければ良いのでしょうか。」
「確かに武器を落として素手の相手・・・少し難度は上がりますが・・・やれなくもないでしょうか。
一気に走りぬ・・・セレーネ殿とルアーナ殿が何かしそうですね。
ならその後に足を止めてしまいましょう。」
「はい!」
ヴィートがセレーネとルアーナの様子を見ながら自身も走りこむ準備をするのだった。
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「せいやっ!」
アリスがオーガに燕飛の突き上げを繰り出し、返しの袈裟斬りで一刀両断する。
「おー・・・凄まじいですね。」
後ろの武雄がアリスの周囲にすぐにシールドをランダムに展開し、他2体から攻撃をさせないようにしている。
「ジーナちゃんのを見ていて、面白そうだと思ったのでこっそり練習していました。」
「・・・はぁ・・・」
アリスの言葉に武雄が呆れる。
「見よう見まねのアリスがこれだと、マリの指導を受けているジーナはどんなに凄いんでしょうかね。」
「恐ろしく速いんですよ。
特に返しの一刀両断が!」
アリスが言ってくる。
「・・・はぁ・・・王都に行ったらジーナと木剣か真剣でするのが予想されるのですけど・・・」
「タケオ様、前に使った腕を振り上げた際に振らせないようにするのはどうですか?」
「あれ、1回使っていますからね・・・次もしたらジーナが不貞腐れそうですから却下です。
まぁ・・・次までに考えておきましょう。
と、あと3体ですか。」
「タケオ様のシールド突破されませんね。」
「ええ、常に発動していますからね。
ビエラの方は・・・」
「殴りあってますよ?」
「ナイフを持ちながら殴るって・・・まぁビエラの好きにさせましょう。」
「はーい、タケオ様、右と左どっちをしますか?」
「・・・左のシールドをアリスが用意出来たら切ります。
合図は任せます。」
「はい・・・今です!」
アリスが1歩を踏み出すと武雄がすぐに左のオーガを止めていたシールドを解除するのだった。
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