第1435話 オーク・・・本来は強いんだよ?(子供達の戦闘準備。)
武雄達が居る位置から森との境界線まで距離は200m程度、武雄は伏せながら小銃改3を構えていた。
ミアが武雄の肩に乗って森を凝視している。
「主、来ました。」
「撃ちます。」
「はーい。」
武雄が引き金をひくと「ドンっ」と音と共に「ドガッ」と森から出てきたオークの後ろの木が燃えながら倒れていく。
ちなみに射線にいたオーク2体が吹き飛んでいた。
「「・・・」」
試験小隊の面々が目を細めなんとも言えない顔をさせている。
子供達は「凄い音だね。」「凄いねー。」「良く当たる物だね。」等々、武雄の結果に驚いている。
「追加は?」
武雄がミアに聞く。
「左手から3体です。」
「アリス。」
「わかりました、2体ですね。
アニータ、ミルコ、行きますよ。」
「「はい、アリス様!」」
「3人ともこちらには入らないでくださいね。
あと1回撃ちますから。」
「・・・タケオ様が撃ち終わってから動きます。
あ、ミアちゃん、ネックレス取りましょうね。」
「アリス様、お願いします。
あ、主・・・奥から2体追加です。」
「・・・タケオ様、横に置いておきますね。」
「ええ、お願いします。
・・・後ろの2体は私とビエラでしますか。」
「あ~♪」
「アニータもミルコも無理はしないように。」
「「はい。」」
「さ・・・次が来ましたか。
出来るだけ外さないように・・・」
武雄が狙うのだった。
・・
・
「んしょ。」
アリスが勢い良く踏み込み、右に薙ぎ払いオークが切り飛ばされる。
切り口から炎が出ており、ダメージを追加させている。もちろん絶命しています。
「アリス様!」
「左です!」
アリスの後ろでエアロウォールをアリスにかけながら追従しているアニータとミルコが声をかける。
「はいはい!」
アリスは切り伏せた勢いを殺さず、右に体を回しながら左から来るオークの左下から切り上げる。
「せやっ!」
見事に切り裂くとともに炎が出る。
「アリス様!2体目です!」
「奥に移動を!」
「わかりました!アニータ、ミルコ行きますよ!」
「「はい!」」
アリス達は奥のオークに向かっていく。
「あー!」
ビエラが怒りながら走っている。
「すみませんね。
まさか2発目を撃った直後にアリス達が突入するとは思いませんでした。
そして小銃改3をしまう時間で一気にあの3人が1体を片付けるとは・・・」
武雄はビエラの後ろを走っている。
「あー!」
「主、もっと早くしろだそうです。」
武雄の肩に乗るミアが通訳する。
「これでも全速力なんですけど・・・ケアしっぱなしです。
ほらほら見えてきましたよ。」
「あ~♪あ!」
ビエラが左を並走するアリス達に気が付く。
「あー!あー!」
ビエラがアリスを指さしている。
「ビエラが怒っていますよ。」
「はいはい、もうそのまま突っ込みなさい。
ビエラ、今のビエラは小柄です、手持ちはナイフしかありません。
狙うのは?」
「首!」
ビエラが答える。
「はい、それがわかれば良いです。
戦闘は長引かすものではありません、一撃を以って屠りなさい。」
「はい!」
ビエラが腰からナイフを取り出し、逆手に持って戦闘態勢を取るのだった。
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「あ~・・・」
「わぁ~・・・」
「へぇ・・・」
「ほぉ~・・・」
子供達が武雄とアリスの戦闘を見て最初は興奮していたがあっさりと倒していくのを見て若干呆れていた。
「はい、あのように参考にならない戦い方をする方々も居ると知りましたね。」
アンダーセンが手を叩きながら子供達に言っている。
「ベイノン、アーリス、オールストン、ブレアは担当の子に付き添い補佐と補助、そして回復に専念を。」
「「「「了解。」」」」
小隊の面々が頷く。
「はい!」
セレーネが挙手する。
「はい、セレーネ殿。」
「あの、さっきの打ち合わせでオークの攻撃は基本は横か縦の攻撃になると言っていましたが、それ以外はどうなのですか?」
「それ以外は突きという攻撃が考えられますが、流石にこれは私達が無力化します。
ですが、万が一もありますので、基本は横だろうと縦だろうと突きであろうと、オークの攻撃を避け、隙が出来ていたら、腕ないし足に切りつける事に専念してください。
貴女達が負わせられるのは細かい傷でしょうが、多くを与えれば倒せます。
あそこの参考にならない方々と比べると派手さはないですが、今回は戦闘の体験をする事が重要です。
本気の命のやり取りというのを体験しましょう。」
「「「「はい!」」」」
「では、自分達で装備の最終確認をしなさい。」
子供達が服やナイフを確認するのだった。
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左の残り1体はというと。
「ケード、もう少し強くして良いかも。
左肩の辺りをストーンでおちょくりなさい。
痛みを与えるより小突く感じにしてね。」
「了解です。」
「コーエン、まずは落ち着け。ゆっくりで問題ない。
今度は右わき腹にファイアを擦らせよう。」
「はい!」
ケイとパメラがブルックとアーキンの指導の下、子供達の方にオークを引っ張ってきていた。
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残りのマイヤーはというと。
「マイヤー、記録取れているっスか?」
「大丈夫?」
焚き火の所で時雨と初雪がマイヤーの記録を見ながら言ってくる。
「新人2人と子供達は何とかなりそうですね。
それより所長とアリス殿が早いですね。
えーっと・・・アリス殿は右に払い切りしてから回転して左下部から右上部に向けての切り上げと、すぐに奥に追撃に移行、そして先行していたビエラ殿がオークに飛び掛かり、あ、終わりましたか。
・・・時雨殿、奥の3体の撃退の手順は見ていましたか?」
「平気っス、今速報が来たっスよ。
詳しくはまた来るっス。」
時雨がスライムを吸収する。
「ならあとで答え合わせをしましょう。」
「了解っス。」
「あと、周囲にオークはいますか?」
マイヤーがクゥと初雪と時雨に聞く。
「きゅ?」
その言葉にクゥが周辺を見回す。
「周囲には他にはいないかな?」
初雪が首を傾げる。
「そうっスね。
居るには居るっスけど、ちょっと遠くっスからこっちまでは来ないかもっス。」
「マイヤー、一応監視しとく。」
「お願いします。
さて・・・えーっと、ビエラ殿が飛び掛かったあとはアリス殿も横の1体を」
何気に一番大変なのは記録を付けているマイヤーなのかもしれない。
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