第1433話 また悪巧み。(最初に経験させれば仕事は真面目に受けるかも。)
移動中の武雄達はというと。
「所長・・・本気ですか?」
幌馬車の荷台でマイヤーと武雄が話し合いをしていた。
「今までの経緯を見るとうちの部下達は部下になった際に戦闘させたりしていたりするんですよ。
そしてその後の雇用で真面目に働いてくれています。
それに倣うとこの子達にもさせないとね。
オーク程度なら4人で何とかなりませんかね?」
「ん~・・・まぁ生き死にを経験させるのはその後の生活に活かされると思いますが・・・
些か危険ではありませんか?
この子達は戦闘をしていたわけではないのですよ?」
「だからこそ、今の境遇がどういう事なのか・・・このまま売られていたらどういう未来が待っていたかの確認が出来ると思うのですよね。」
「・・・ベルテ一家がそうですね。」
「ええ、あれを見させられると・・・本格的に執事等の教育が始まる前に経験させたいのです。」
「ん~・・・強烈な刺激を与えて今の好待遇を実感させるというのは、意味はわかります。
街では出来ませんか?」
「オーク戦を街の横でする訳にも行きませんよ。
最近襲われたばかりなのですよ?再び近くに現れたとなれば不用意な混乱を招くかもしれません。
こういった町や村から離れていてあまり人目に付かない領境はやりやすいと思うんですよね・・・
ちなみになんで領境かと言えば、今回のエルヴィス伯爵領からゴドウィン伯爵領に向かう際に確認しましたが、領境は居る確率が高いと思ったからです。
それに初雪から報告を受けましたが領地の境に試験小隊が来ているんですよね。
子供達に大人を付けて出来ませんか?
ジーナの時はヴィクターが付いて居ましたし、1体以外は私とアリスとビエラで片付けますから。」
「試験小隊にも新人が居るのですよね。」
「となると2体必要かぁ・・・
確かに2か所で同時に戦闘させるのは危険ですし、やらせるなら1体ずつの方が大人達が補助に付きやすいですよね。」
「ええ、どうしますか?」
「1体だけなら今はこの子達に集中しましょうかね。
試験小隊の子達の教育は試験小隊に任せ後日にすれば良いですし。」
「・・・はぁ・・・
まぁ子供達に1人を付けて後は周りから見る者を付けるのなら出来るかと。」
「戦闘の経験だけさせられれば良いです。
命のやり取りとはどういった物なのかを感じ取ってくれるだけでね。
私とアリスとビエラで呼び込んだのを討伐しますから試験小隊の面々は子供達や新人さんの見守りをお願いします。」
「例のネックレスを使いますか?」
「ええ、巡回では見落としているかもしれないオーク達を一網打尽にしましょう。
これで領境の魔物の遭遇率も下がって皆が幸せになるんですからやっておきましょう。」
武雄がにこやかに言う。
「子供達に先に説明しておいてください。
そこで1人でも拒否したら実施は不可にしましょう。
仕事をする前に心を折ってはいけません。」
「・・・確かにそうですね。
全員が了承しないといけませんね・・・」
武雄が頷くのだった。
・・・
・・
・
小休憩時に武雄が計画している戦闘訓練の説明を子供達にしているのだが。
「「「「わかりました。」」」」
武雄の説明に子供達が承諾していた。
横にいるマイヤーが微妙な顔をさせていた。
「ちゃんと兵士が付いてくれるならやりやすそうだよね。」
「奴隷になった時に戦闘は覚悟してたからね。」
「うん、ちゃんと働く前にこっちの適性も調べとかないとね。」
「だよねー。
4人なら何とかなるだろうし、こんなに安全面を見てくれながら経験する事もなかなかないよね。」
子供達はあっけらかんとして話している。
「装備としてはショートソードではなく、買い与えたナイフを使っていきます。
一撃で倒せるものではありませんので、時間をかけてゆっくりと手傷を負わせていく事が重要です。
向こうも必死なのでこん棒や腕で殴りかかってきますが、そういった時は受けるのではなく、後ろや横に飛び、避ける事が重要です。
ナイフで攻撃を受ける事は致命的です。
攻撃が来たら避ける。相手の隙をついて切りつける・・・これのみをして戦闘とは命のやりとりとはどういう事なのかを感じてもらえたらと思います。」
「「「「わかりました。」」」」
子供達が頷く。
「あの~、タケオ様、実施するのが決定されたのでそこに異議は差し込みませんが・・・
残るオークを私とビエラちゃん、タケオ様で切り伏せるのですよね?」
「ええ、今回は1体以外は即討伐です。
出し惜しみはする気はありません。
私は初回から小銃改3を使って数を減らします。」
「スーちゃんも使って良いですか?」
「当然良いですよ。
今回は早さこそ肝要です。
すぐに終わらせて万が一、追加が来た際には即座に排除します。」
「わかりました。
ビエラちゃんも問題ないですか?」
アリスがビエラに聞くと。
「あ~♪」
マイヤーにならったように素振りをする。
「頼もしいですね。
初雪殿、アンダーセン達に連絡をお願いします。」
「はい、わかりました。
すぐに送ります。」
初雪が3体のスライムをその場で出し、時雨に向けスライムを放つのだった。
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