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第1430話 164日目 試験小隊の野宿訓練。(野宿訓練じゃなくて防御訓練になっているよ。)

試験小隊の野営場所。

「「・・・」」

ケイとパメラは疲労から食事が進んでいなかった。

「「・・・」」

アニータとミルコはゆっくりとだが食べている。

「ははは、今回も発見してしまったな。」

オールストンが笑いながら言ってくる。

今回はオールストンとアーリスが敵役、で昨日の新人組2つが監視をし、アンダーセンが全体を見て、時雨とブレアが昼の用意をしていた。

「だから今回は監視の体験が出来ればそれで良いと言っているのに・・・追撃したがるんだからなぁ・・・

 で・・・今日の反省は?」

アンダーセンが呆れながらブルックとアーキンに聞く。

「昨日と同じく。」

「右に同じ。」

ブルックとアーキンが神妙な顔つきで言う。

「今日は地上をアニータ達、木の上がケード達だったな。」

「両方とも慣れてないのがバレバレだった。

 木の上での監視は慣れてなければ短所ばかりだからなぁ・・・・普通はしないんだが、ブルック、何も言わなかったな?」

アーリスがブルックに聞く。

「はい、考え付いたのならさせるべきだと思いました。

 結果はああでしたけど、今は監視の技術よりも自分達で思い立った監視方法を実践し、任務の難しさを体感するべきだと思いました。

 監視は同じ状況というのが本当の意味でありません。

 柔軟に考えその場その場で適切な監視方法を編み出さないといけないと教えるつもりです。」

ブルックが頷く。

「そうか。

 俺ら以上の世代は『監視とはこうやる物』という教えから入った。

 今思えば、かなりの理不尽だったが、早期に新人をある程度の監視任務が出来るようにするには有効な教育方法の1つというのは間違ってはいないと思う。

 まぁその考えに固執しすぎると使えない隊員になるんだが・・・早期に下地を作るという意味では今でも内容に不備があるとは思わないな。」

アンダーセンが言う。

「俺の意見としては所長の下で仕事をするにはそういった概念より自らが考え出すやり方を模索する方法を取る有効性は認めよう。

 だが、その上で俺らが習った事も教えないといけないと思う。」

オールストンが言う。

「隊長の言う事はもっともですし、オールストンの意見が一番落としどころとしては無難でしょう。

 アーキンとブルックの教育方針はわかったが、教育方法が確立されていないな。

 そこはどう考える?」

「これからは『こうやる物』という教本と自ら考える自主性の両方を同時に教える事が隊員の能力を伸ばす方法だと考えています。

 教育方法は実践しながらという所でしょうね。

 監視の教育中は前半は確立された監視方法の講義をし、後半の演習では状況のみを教え、自ら考えて実行させ自ら良し悪しの確認と報告をさせるのが良いかと思っています。」

アーキンが言う。

「なるほどな。

 だが、今回の事で言うなら2日で2回ともすぐ見つかってしまった。

 発想は大事なのは認めるが些か見つかるのが早すぎると思う・・・そこをどうしたものか・・・ん~・・・ん?

 もしかして新人達に敵役をさせてみるというのも手なのか?」

オールストンがアンダーセンに聞く。

「その意味は?」

アンダーセンが聞き返す。

「いや、もしかしてどんな感じで見られているのかわかっていないかもと思ってな。」

「「あ~・・・」」

ブルックとアーキンが頷いている。

「なるほど、どう見えているかわからないから隠れる方法がわからないか。

 うん、確かにその辺の教育もした方が良いな。」

アンダーセンが頷く。

「「・・・」」

アーキンとブルックは難しい顔をさせて考えている。

「ん?どうした?」

「いや、研究所の作業服あるじゃないですか?」

「緑の服か?」

「はい、あれ、試験する際に所長が私とアーキン相手に隠れまして・・・完敗でした。」

「確かそんな報告があったな・・・それほど優れているのか?」

「服自体は普通に服なんですが、あそこまで溶け込まれると見分け辛かったですね。

 それに所長ですよ?」

「・・・所長は監視の訓練なんて受けてないだろう?

 なんで見つからない?」

オールストンが言う。

「・・・そう、素人なんですよ。」

「だから、見つからないんです。」

ブルックとアーキンが呆れながら言う。

「どういう事だ?」

「私達がされたのは、私達が隙を見せたら襲うと事前に通告され、1本道を歩きながら所長を見つけるという課題です。

 ただし、道から逸れてはいけませんし、目視のみで所長を見つけるのが条件です。」

「普通だな。」

「それで?」

オールストンとアーリスが興味深そうに聞いてくる。

「襲う側の所長が飛び込みやすくするために罠を仕掛けているんですよ。

 身を潜められるような窪みを作って潜んでいたり、紐を使って違う所の木を揺すって攪乱したりと・・・やりたい事をしてきます。」

「ちなみにブルックは開始1歩目に襲われ、私は周囲の木々が動かされ精神的に疲労した所を襲われました。」

ブルックとアーキンが苦々しく言う。

「うわぁ・・・」

「1歩目かぁ・・・」

「考え付かないな。」

オールストン、アーリス、ブレアが呆れている。

「・・・所長が合流したら一度監視の方法を見せて貰おうか・・・」

アンダーセンが考えながら言う。

「一度体感してみると良いですよ。

 あれは概念を吹き飛ばしますから。」

「絶対所長面白がるでしょうね。

 そして敗北するんです。」

ブルックとアーキンが諦めながら言うのだった。


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移動中の武雄達の幌馬車。

「タケオ様、うたた寝ですか?」

幌馬車内で武雄が横になって寝ているのをアリスが聞いてくる。

ちなみに今はヴィートとビエラが馬に乗っている。

「・・・今日も寝ずの番をしますからね。

 仮眠をしようかと。」

「え?今日もですか?」

「はい、今日もです。

 マイヤーさんとベイノンさんは御者ですからね。

 無理はさせられませんよ。

 それにどうせ明日には試験小隊の面々と合流しますからね。

 そうすれば寝ずの番もしなくて済むでしょう。」

武雄が説明する。

「・・・そうですか。」

アリスが若干不満気味に言ってくる。

「アリスは昨日はルフィナの横に寝たのですか?」

武雄の言葉にルフィナがビクッとしている。

「はい、起きたら居ませんでしたが。

 ・・・何かあるのですか?」

「いえ?

 ただ日替わりで誰が抱き枕になるのかなぁっと。」

「日替わり・・・ルフィナちゃんは抱き心地良かったですよ?」

「へぇ・・・じゃあ今日も?」

武雄の言葉にアリスに見えない所でルフィナが首を振っている。

セレーネ、ルアーナが「ルフィナ、どうしたの?」と聞いている。

「そうですねぇ・・・皆に平等にした方が良いのですよね?」

「出来るだけですね。」

「ならセレーネちゃんかルアーナちゃんを抱いて寝ます。」

アリスが答える。

「子供なんですから強く抱いてはいけませんよ。」

「わかっています。」

アリスが答えるのをルフィナが「キタミザト様にお願いしてケアの魔法をまず覚えよう」と真剣に考えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 成人ならまだしも何が有るのかわかってて子供を生贄にするとか、ケアが間に合えば良いけどね…… [一言] 次話に期待。
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