第1427話 子供達は農作業を。(話し合いは無事に終了。)
皆が集まっている喫茶店の外、ベルテ一家の農場では。
「・・・」
「・・・」
ニルデとジルダが黙々と畑を耕している。
「ニルデ~、ジルダ~、お茶持ってきたよ。」
「お菓子も持ってきたよ。
2人も休憩しよう♪」
エンマとフローラがお茶セットを持ってくる。
「「は~い。」」
ニルデとジルダも手を止め2人に近寄っていく。
・・
・
畑の隅で4人で車座に座りお茶会をしている。
「今の所、半分くらいかな?
順調ね。
あとで私も手伝うわよ。」
フローラが言ってくる。
「それと頼まれていたタンポポの種は入手は出来なかったわ、やっぱり持って来てくれた種のみね。」
エンマが2人に言う。
「いたし方ありませんね。」
「タンポポを売る人なんていないよねー。」
2人とも売っていると思っておらず、普通に答える。
「今ある種の半分を水のみで、もう半分を緑スライムの体液をかけるんだよね。」
エンマが聞いてくる。
「はい、あっちの奥が水のみでこっちの手前をスライム液を使います。
浜風の緑スライムが今耕した所を動いて混ぜているみたいで、ここを耕したらもう一度耕します。」
「そうかぁ。
じゃ、私も手伝おうっと。
種まきは予定通りで良いのね?」
「えっと・・・ドナートとボーナと話して明後日の予定?
ニルデだったよね?」
「はい、明後日に実施です。」
「よし、ならこっちも予定通りに明日はウィリプ連合国で買ってきた種の4月種まきの物に取りかかろうか。
あと文官の方に依頼されている既存の肥料に緑スライムの体液を混ぜた高性能肥料の実験も準備するらしいよ。」
「「わかりました。」」
ニルデとジルダが頷く。
「さて・・・ん?話合い終わったみたいだね。」
フローラが離れの喫茶店を見ながら言う。
「そうだね。
おっとじゃあ、お茶は私が片付けておくね。」
エンマが皆から食器を回収する。
「よし、ニルデ、ジルダ、やろうか?」
「「はーい。」」
フローラとニルデとジルダが耕し始めるのだった。
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ベルテ一家の家の離れの喫茶店。
「はぁ・・・何事もありませんでしたね。」
ドナートが安堵のため息をつく。
「ええ、なにもなくて良かったです。」
文官が頷く。
「お疲れ様でした。」
老夫婦がお茶をドナートとボーナ、文官に出してくる。
「はぁ・・・美味しい。」
「緊張したわね。」
ドナートとボーナがゆっくりとお茶を飲んでいる。
「場所をお借りして申し訳ありませんでした。
根回しの件もありがとうございました。」
「ご協力ありがとうございました。」
文官とヴィクターが老夫婦に頭を下げる。
「いえいえ、この街で農業をする仲間になるのです。
このぐらい当然ですよ。」
「私達がした事はこの店に来てくれる近所のお母さん達との世間話程度ですよ。
皆さんベルテさん達に興味津々で話が盛り上がってね。」
老夫婦が楽しそうに話す。
「「ありがとうございます。」」
ドナートとボーナも頭を下げる。
「いやいや、それよりもこれからが重要だろうね。」
「そうね。
作物の改良は長い目で見る物だけど、なかなか良い成果が出ない期間が長いといろいろ言われるからねぇ。」
老夫婦が心配する。
「そこは主であるキタミザトも長い目で見ているようで雇用側としては問題はないのですが、周りの方がどう言われるか・・・こちらは様子見だと思われます。」
「そうですね。
おっとあまり長居はしてはいけませんね。
では、ベルテさん達の家に移動しましょうか。」
「「はい。」」
文官がそう言うとドナートとボーナが立ち上がり店を出て行く。
老夫婦達からは費用は不要との事を言われていたが、ヴィクターは今回の打ち合わせの場代として謝礼を渡すのだった。
・・
・
ベルテ一家の客間にて。
文官とヴィクターはドナートとボーナと客間で軽く話をした後、帰って行き、
2人が帰ったのを見計らってエンマ達が戻って来ていた。
「はぁ・・・」
ドナートが疲れた顔をしていた。
「「どうだった?」」
エンマとフローラが話合いの事を聞いてくる。
「「・・・」」
ニルデとジルダは農作業の後でゆったりと席にすわりボーっとしている。
「まぁ、何とかなったか。」
「ええ、そうね。
皆さん好意的でしたが、これから何かあるかわからないから。
気を緩めずに生活する必要があるわね。」
ボーナがそう言いながら皆にお茶を配膳している。
「フローラ、何とかなったんだね。」
「そうみたいね。
これでここでの暮らしも安泰ね。」
エンマとフローラが頷きあう。
「ただいま戻りました。」
玄関からアスセナが入ってくる。
「あら?おかえりなさい。
今お茶を淹れたとこなのよ、すぐ出すから座っていてね。」
「アスセナ、おかえりー。」
「おかえりなさい。」
ボーナがお茶を淹れに行き、ジルダとニルデが手をひらひらさせて出迎える。
「そろそろ終わる頃だと思って、お菓子も買ってきました。
ボーナさん。」
「はいはい、取り分けるからこっちに持って来て。」
アスセナがボーナの元にお菓子を持っていくのだった。
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