第1426話 新商品は気になる物です。(タンポポ茶と試験農作物。)
エルヴィス伯爵邸のエルヴィス爺さんの執務室。
「・・・昼過ぎ開始じゃったの、もう始まっているの・・・
駆け込んで来る者が居ないという事は順調という事か。」
エルヴィス爺さんが書類を見ながら机の前にいるフレデリックに聞く。
「担当の者からの事前内容ですので問題ないかと。
あくまで主要な穀物生産をしないという事と作物の改良を行う試験場としての役割であるという所を強く推すという話でしたので許可はいたしました。」
「ん~・・・あとは担当者に任せるかの。
タケオが居ないが・・・上手く事を運んでくれる事を期待しようかの。
あの地にした際にそれなりに説明はしておるのじゃろ?」
「ええ、しておりますので今回の話合いは親睦会のような物でしょう。
私は楽観しております。」
「そうか・・・フレデリックがそういうのじゃから問題はないのじゃろうがの・・・
心配じゃぁ~・・・」
「平気ですよ。
契約上も問題なく、周辺農家への事前説明も終わらせての初顔合わせです。
農業をする事を誰も問題にはしないでしょう。
逆に問題になる事があるとするなら・・・」
「エルフと獣人・・・そして奴隷じゃの。」
「その辺の問題ない地区を選んだつもりなのですが・・・事前説明でも文官達の調査でも問題ないとはなりましたが、実際に住んで貰ってからでないと本性は出てこないでしょう。
それにこればっかりは力で抑え込むような物ではありませんので、成り行きを見守り、酷い場合は私達が出て行くしかないと思います。」
「そうじゃの・・・夕霧どうじゃ?」
「ん、さっきドナートの横に居る男が話をしていた。」
夕霧は伯爵と一緒に執務室におり、数分毎にくるスライムを吸収しておりベルテ一家と近隣住民との話し合いのモニタをしている。
「ドナートの隣かの・・・」
「うちの者ですね。
上手く説明をしていると良いのですが・・・
あ、あとニルデとジルダですが。」
「うむ、何かあったかの?」
「ヴィクターを通じて注文はしておりませんが、今の納入量ではタンポポ茶が些か不足気味です。
本来はタケオ様に相談して増産の依頼をしようかと考えておりましたが、ヴィクターに要請してニルデとジルダに増産をお願いしてもよろしいでしょうか。」
「うむ・・・致し方あるまい、今回はタケオには事後報告にするしかないの。
ちなみにもうないのかの?
わしは1日3回じゃが・・・・」
「私は朝と退勤前に頂いています。
屋敷の者達も飲んでいるようではありますが・・・多分日に2回か3回かと。」
「確かに足らないの・・・」
「王都への輸出品なので量に限りがあるのは重々承知しているのですが・・・」
「エルヴィス家だけで足らないとなると王都でも足らないと言い出すじゃろうの。」
「はい、それにタケオ様が気に入って来て頂いているので戻られたら消費量がさらに増えるでしょう。」
「増産してくれと言って直ぐに増産できる物ではないからのぉ。」
「はい、その通りかと。
なので早め早めの生産計画を提案していくしかないでしょう。」
「そうじゃの。」
フレデリックとエルヴィス爺さんが話し合うのだった。
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ベルテ一家の家の離れの喫茶店。
ここで話合いが催されていた。
「では、問題ないという事で。」
司会と説明をしていた文官が列席者達を見ながら言う。
「ああ。」
「問題ない。」
「元々が作る物が被ったとしても前と同じだから問題ないしなぁ。」
「それよりも試験をここでしてくれる方がありがたいよね。」
「場外でもしているとは聞いているけど、やっぱり場内での試験も必要だしな。」
「後ろ盾が伯爵様とキタミザト様だから保証も確かだし。」
「うちらもだがベルテさん達も問題も起こしそうにないな。」
「当たり前だが、変な問題を起こして追放されるわけも行かないだろうしな。」
「そうそう。」
皆が口々に言う。
「1つだけ良いか?」
男性が手を上げる。
「はい、どうぞ。」
「ベルテさん達もニルデとジルダの嬢ちゃん達も問題はないし、農業をするのも平気だ。
だが、試験する作物というのは検討しているとさっき説明してくれたな?」
「はい、致しました。
実施内容についてはベルテさん達と我々で確認しています。
また、こちらの収穫物は量がある程度出来たならば、農家相手の種の販売を実施予定と説明しましたが・・・」
「販売してくれるのはありがたい。
だが・・・実際問題、どんな種類をする予定なんだ?
俺らが今作付けしている物とは全く違う物を売られても買うかわからないし、準備も出来ない。
それは無意味だろう。」
「ふむ・・・そう言われると・・・・準備ですか・・・
ドナート殿、よろしいですか?」
「はい、構いません。」
文官の問いかけにドナートとボーナが頷く。
「一応、今現在ではトマトとジャガイモが決まっています。
他のもありますが、この街や領内での作付け内容も見て話し合っています。」
「「トマトとジャガイモ」」
皆がざわつく。
「はい、どちらも皆さんが親しまれている物です。
こちらの収穫量を上げられるような品種を研究して頂く予定です。
他の作物についてはまだ検討中です。」
文官が説明する。
「収穫が多くなるのは助かるな。」
「ああ、多くなるのは良い事だな。」
「楽しみだなぁ。」
皆が好意的に受け止めているのだった。
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