第1421話 武雄の暇つぶし。4(盾と歓迎会。)
「では、他部隊向けの盾はどうしますか?」
マイヤーが聞いてくる。
「標準的な盾は1m×1.5mらしいですね。
それの鉄製の改良で考えています。」
武雄が考えながら言う。
「そうですか。
改良となると・・・普通に考えれば厚さですか?」
「・・・厚さ・・・それも1つの方法なのは確かですね。
ただ、エルヴィス家では毎年、100個で金貨110枚前後だそうです。
なら・・・素材価格と加工費と利益を合わせても販売価格は同じ程度が良いでしょうね。」
武雄がボーっとしながら言う。
「ん~・・・同じ価格で防御力を高める・・・私の頭ではわかりかねますね。」
「そうだな。
私達は今の常識に固められているからなぁ・・・所長の発案を聞くとそういうやり方もあるとは思わされますが、自身が発案はなかなか出来ませんね。」
ベイノンとマイヤーが言う。
「端から見ると開発なんてそんな物ですよ。
全くの新しい事なんて早々思いつきませんからね。
現状の物を改造していく方が一般的でしょう。
改良だってやっている人達は現状の不満からというのが一番多いと思いますけどね。
多くの人は現状で満足してしまうというのも改良、開発が進まない要因ではあると思いますけど・・・」
「現状に不満があると改良に繋がるというのは・・・なんとなくはわかるのですけど。」
「改良と言っても剣の握る所を自分なりに布を巻いたりや削ったりするくらいです。
やはり私達では開発は難しそうです。」
2人して首を振っている。
「剣のにぎりでも十分改良ですよ。
時間がかかるから早く着きたいとか、もっと多くの物を1回の輸送で運びたいとか・・・
建物、装備、服、輸送、料理なんでもそうです。」
「ん~・・・不満ですか・・・」
「・・・何かありますかね。
現状満足なんですけど。」
2人が考える。
「まぁ2人は・・・違った、ベイノンさんは気にしなくて良いですよ。
戦術と試験と偵察が任務ですからね。
物の発案はあまり重要ではありませんよ。
もちろん試験等々での改良は大歓迎ですし、戦術も発案と違うでしょうが頭の柔らかさは必要でしょうかね。
その辺は追々頑張りましょう。」
武雄がベイノンに言う。
「あの~・・・所長?私は?」
マイヤーが恐々聞いてくる。
「マイヤーさんは総監という役職ですからね。
皆を監督して指導しないといけません。
私の補佐なので、上がってくる発案を否定するのではなく褒めるやり方を学ばないといけません・・・というより叱って能力を延ばすなんて最初だけでしょう?」
「まぁそうですね。
素行や態度が悪いのは最初の時点で指導しますけど、王都守備隊は真面目な・・・真面目な・・・仕事には真面目な者達ですから怒る事もほとんどありませんけどね。」
マイヤーが言ってくる。
「試験小隊の教育、指導内容は度が過ぎないなら私は口を出しません。
マイヤーさんとアンダーセンさんとで内容の確認と実施をしてください。」
「所長は試験小隊には口を出さないのですか?」
ベイノンが聞いてくる。
「出しますが直接は言わないようにする気でいます。
私はマイヤーさんからアンダーセンさん達の教育の実施状況や戦術の検討結果の報告を受けて、新たな方針を打ち出して行けば良いんです。
あとは催し物かな。」
「「催し物?」」
「日々単調な仕事には飽きが来ます。
なので新たな刺激だったり、褒美を与えたりしてやる気を起こさせないといけません。」
武雄が人差し指を上げて言ってくる。
「・・・褒美はわかります。」
「ええ、所長なら食事会を催せば問題ないですね。
新たな刺激とは何ですか?」
2人が訝しげに聞いてくる。
「ビエラ。」
「「ダメです。」」
即刻否決されました。
「クゥ。」
「「ダメです。」」
「コラ」
「「要検討。」」
「あ、この辺は良いのですね。」
武雄が驚く。
「流石にドラゴンはダメでしょう。」
「慣れといた方が良いと思ったのですが。」
「「なぜに?」」
「だって最上位種でしょう?
滅多に出会えないのに手加減もしてくれるんですよ?
雰囲気に慣れるには十分ですし、最上位種と対峙するだけでも度胸は付きますよ。」
「・・・確かに他の魔物や事件が起きても臆する事はなくなるでしょうが・・・」
「些かまだ早いような気が・・・」
「新人さんとアニータやミルコにはさせませんよ?
元王都守備隊向けです。」
「「・・・」」
「アーキンさんとブルックさんには提案しておいてと言ったのですが・・・あれ?あれはコラ達でしたかね?
ほふく前進は皆に体験させるように企画案を出してと言ったと思うんですが・・・あれ?言わなかったですかね。」
武雄が考えながら言う。
「・・・アンダーセン達と合流したら確認しておきます。」
マイヤーが呆れながら言ってくる。
「ええ、お願いします。
あと、研究所が稼働したら1階の喫茶店でご家族も含めてちょっとした歓迎会ですね。」
「研究所の1階だと所長考案の料理が並ぶという事ですね?」
「それ良いですね。」
「そこは何を作るかはまだ何も決まっていないので戻ってから考えます。
何か注文があるなら言ってください、作るかはわかりませんが、検討はしてみます。」
「「はい。」」
2人が頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




