第1414話 寄宿舎生活。1(エイミーの食い付き方。)
王都の寄宿舎の玄関。
「ジーナ、今日も無事に終わったね。」
「はい、スミス様。
ですが、些か宿題が多いですね。」
スミスとジーナが寄宿舎の玄関から入ってくる。
「そうだね。
まだ始まったばかりなのにね。
と、そうだ、イーデンやカイルはお付きの用事で一緒に買い物に行ったけど、ジーナも欲しい物があったら言ってね。
女性の服とかは買いに行っても店内までは行けないけど、なるべく時間は取るからね。」
「スミス様、ありがとうございます。
ですが、今の所欲しい物はないですし。」
「ですし?」
スミスが首を傾げる。
「あ、エルヴィス殿、ジーナ殿、ご実家から荷物が来ていますよ。
あとで取りに来てください。」
通りかかった職員が2人に伝言して去っていく。
「わかりました。あとでお伺いします。
・・・エルヴィス家とキタミザト家は過保護の感があって送ってくるので。」
ジーナが職員に頭を下げてスミスに言う。
「そのようだね。
ジーナは知っていたの?」
「はい、(夕霧の)伝言は頂いています。
中身までは知らされていませんが、日用品を送ったとの事です。」
「そうかぁ・・・じゃあ、また下に来るのも何だし、今持っていく?」
「はい、畏まりました。
取りに行ってきますのでフリースペースでお待ちください。」
ジーナが職員の部屋に向かいスミスがフリースペースで腰を下ろす。
「はぁ・・・最高学年だと試験ばかりで大変よね。」
「エイミー殿下、余裕でしょ?」
「試験はねぇ。
私の就職先どうしますかね?」
「それこそ余裕でしょ?
ん?エルヴィス殿?」
エイミーとドネリーが入ってくるのだった。
・・
・
「ジーナ、お疲れ様。」
スミスの対面に座っているエイミーが職員の部屋から大きい木箱を持って戻ってきたジーナに手を振って出迎える。
「エイミー殿下、おかえりなさいませ。
労いありがとうございます。」
「ジーナ様、随分と荷物が大きいですね。」
エイミーのお付きのドネリーが聞いてくる。
「ええ、そこまで重たくはないですが。
スミス様の部屋で開けますか?」
「そうだね。」
「じゃあ、私達もスミスの部屋に行きますか。」
「そうですねぇ。」
スミスとエイミーが席を立つ。
「ん?」
ジーナが首を捻るのだった。
・・
・
スミスの部屋にジーナとエイミー、ドネリーが集まって荷物を空けていた。
「ジーナ!そそそそれ下着よ!?
スミスを前にやめなさい!」
エイミーがジーナが目の前で広げている物を見て赤面させている。
「ですねー。
ジーナ様、それは?」
ドネリーは主を気にせずジーナに聞いてくる。
「これはトレンチコートを作っている工房が運動をする人達向けの下着を作ったのです。
ちなみにスズネ様発案です。
あ、スミス様のはこちらです。」
「はい、ありがとう。
ブリーフとボクサーパンツですね。
あ、報告書を書かないと。」
「私も書かないといけませんね。」
「ジーナ様、報告をされているのですか?」
ドネリーが聞く。
「はい、スミス様も私も試作を穿いています。
女性用はそろそろ販売すると言われていますが・・・エイミー殿下?」
「ひゃい!?」
エイミーがジーナのスポーツブラとパンツをまじまじと見ていた。
「欲しいなら頼みますけど?」
「え?良いの?開発中でしょう?」
エイミーが驚きながら聞いてくる。
「ええ、そろそろ先行販売した物が手に入ると思いますし、私もアリス様も試作に付き合っていますので、融通は利きますが。」
「そぉ?ジーナ肌触りはどう?」
「お手に取ってみますか?」
ジーナが勧める。
「お言葉に甘えて・・・へぇ・・・なるほどぉ・・・」
「エイミー殿下、エイミー殿下、私も欲しいですよ?」
ドネリーがエイミーにおねだりしてくる。
「貴女・・・サイズあるの?」
エイミーがジト目でドネリーを見る。
「うぅ・・・ジーナ様、ありますよね?」
「アリス様も着ていますからあると思いますが、念の為に採寸しますか。
えーっと・・・パラス、アル、頼めますか?」
「良いよ。」
「私も手伝うわ。」
それぞれの肩にチビ状態で実体化したパラスとアルが頷く。
「なら、エイミー殿下も採寸しますか。」
「え゛!?・・・私も?」
「はい、その方が合った物を送ってくれますよ。
それに極秘にしますから。」
「そこまでしなくても良いけど・・・はぁ・・・採寸かぁ。」
エイミーが暗くなるのだった。
「ジーナ、変わった鉛筆が入っているよ?」
スミスが荷物の中から箱を取り出し中を確認して言う。
「変わった鉛筆ですか?」
「うん、赤いんだよ。」
「へぇ・・・商品化されたのですね。
あ、説明書きが付いていますよ。」
ジーナが箱に付いている紙を取って中を読む。
「ジーナなんだって?」
「えーっと・・・用途は色々、鉛筆で書いている文章で気になる部分に下線を引いたり、四角で囲んだりと注目する箇所への色付け、文章等の校正でコメントの記入に使用するのが目的ですが、自由に使ってください。
以上です。」
「へぇ・・・色を変えるかぁ。
ん?エイミー殿下?」
エイミーが今度は黙り込んで考え込んでいた。
「ジーナ、スミス、それ買える?」
エイミーが聞いてくる。
「ええ、頼めば買えます。
工房は鉛筆や黒板を作ってくれている所です。」
「あそこか・・・わかったわ。」
「エイミー殿下?」
「ああ、学院の子達にもこれは売れると思うわ。
だから手に入れようと思うのだけど・・・どうせなら王都で卸す所を指定させた方が良いか・・・となると文官達と話をした方が良いのかも。
あ、スミスとジーナは気にしなくて良いわよ。
こっちでまとめて発注されるように仕向けるからね。」
「「はぁ・・・」」
ジーナとスミスは生返事をするのだった。
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