第1411話 162日目 今日も1日濃かったね。(反省会。)
ゴドウィン伯爵邸の武雄とアリスの寝室。
ミアは先に寝ており、時雨達は寝る必要が無いようで明日の出立まで本を読むとの事で部屋の隅にゴドウィン家から貸してもらった大量の本を置いて読んでいる。
「とりあえず、子供達の行き先が決まって良かったですね。」
アリスが寝間着に着替えてお茶を飲んでいる。
「ええ、一安心ですね。
後はあの子達が真っ当に成長してくれれば言う事はないですね。」
「どうなるんでしょうね?
ジーナちゃんの場合、研修は上手く行きましたし、凄く優秀な執事になりましたが。」
「ヴィクターもジーナも元貴族という事で見ていた、されていたという下地があってからの自分で始めたという感じですからね。
苦労はあまりしなかったのでしょうけど、今度は違いますからね。
まぁ気長に本人達がしたい事をさせてあげましょう。」
「したい事をですか?」
「ええ、メイド、執事、事務員、販売員、研究者、農家、冒険者・・・冒険者はマズいかな?」
「あの子達が戦いをですか・・・
まぁアニータとミルコも居ますから育成の方法は積まれているのでしょうけども。
あとは住む場所と魔法の適正でしょうか?」
「ルフィナはエルフなので研修が終わればベルテ一家と住まわせますか。
魔法の適性もあれば良いですね。
セレーネとルアーナはエルヴィス家かアニータ達の下宿先、魔法については獣人なので魔法適性はあってもヴィクターやジーナと同じように発動は出来ないでしょうから、魔力量次第でケアの指輪程度ですね。
ヴィートは住む場所はセレーネ達と同じで魔法は・・・見た目が人間種なんですよね。
アリス、魔人とは何でしょうか?」
「魔人は確か、姿は人間種とほぼ同じで人よりも長寿で魔力量も多く持つ者の総称ですね。
角が生えたり、目が多かったりと色々居たと思います。」
「・・・アリスも魔人ですか?」
「私は人間です。
なぜにそう思われました?」
「魔力量の計測不可でしたよね?
確か魔力量10000以上で計測不可だったはずです。」
「・・・そう言われると私も人間を逸脱しているのかもしれませんが・・・計測不可は珍しくはありますが、少なからず居ますよ?」
「そうですか。
ならヴィートは魔力量が多く長寿の人間という事で良いでしょうね。
適性は後日計ってから考えましょう。」
「そうですね。
あと、気になるのは研修後の仕事の割振りですかね。
いくらなんでも最初から好きにして良いとも言えませんし、かといって4人同時に同じ仕事に従事させるのもキタミザト家としては難しいですよね。」
「エルヴィスさんやフレデリックさん、ヴィクターと話しながらでしょうか。
・・・いっその事、人材派遣でもするかなぁ。」
「人材派遣?」
アリスが首を傾げる。
「いや・・・なんでもありません。
エルヴィス家と協議しながら考えます。」
武雄がそう答えるのだった。
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ゴドウィン伯爵家の子供達の部屋。
子供達も寝間着になり、車座になって話している。
「明日でお別れかぁ。」
「でも奥様が今年の末にこの辺の貴族達が集まる事が予定されているから皆が良い成績なら集まれるようにキタミザト様に提案してくれるって言ってたよ?」
「じゃあ、また会えるんだね!」
「良い成績かぁ。
執事はした事ないからなぁ。」
「そうだねぇ~。
メイドは朝食や夕食を配膳するんだよね?」
「掃除もするし、お客様のお世話もだよ。
執事は政務も熟すけど主人の身の回りの世話でしょ。」
「それだけで15年?」
「いろいろ覚えなきゃいけない事もあるだろうし、それはそれで大変そうだよね。」
「キタミザト様の方はとりあえず執事とメイドの研修をして他にさせたい所に能力を見ながらさせると言っていたよね。」
「そう言えばキタミザト様、貴族なのに農業をしているって言ったよね。」
「キタミザト様、お金が厳しいって言ってたから細々と農業して食べ物を得ているんだよ。」
「キタミザト様可哀想。」
「私達で何とかしないと!」
「俺達が早く成長すればそれだけ仕事が出来るからな。
そうすればお金も稼げるようになるし!」
「救って貰ったんだもん、キタミザト家を盛り立てなきゃ!」
「それはゴドウィン家もそうだよ。
救って貰った恩は返さなきゃ!」
「よし!皆頑張って早く一人前になろう!」
「「「おー!」」」
大人達が知らない所で子供達が決意を新たにするのだった。
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エルヴィス伯爵領南町の宿屋の一室。
ケイとパメラ、アニータとミルコが同室で4人で反省会をしていた。
「・・・つまりはケアのタイミングがわからないんです。」
パメラが独白している。
「「うん、わかります。」」
アニータとミルコが激しく頷く。
「お二人はどうやって習得したのですか?」
ケイがアニータとミルコに聞く。
「僕達は強行軍の訓練として王都に行く際に馬で6日かかる所を2日半で行きました。
その時に付きっきりで習いました。」
「付きっ切り・・・」
「2日も?」
「はい、『そこ!そこ!』と横で言われ続けましたし。」
「ケアのかけすぎで魔力量が少なくなったらポーションを飲まされてずっとやっていました。」
「「・・・」」
アニータとミルコは思った以上に大変な訓練をしてきたようでケイとパメラが悲しげな顔をさせる。
「あ・・・明日も移動ですよね。」
パメラが気分治しに話題を振る。
「明日は領地の端で野宿を実施ですよね。
あとは所長が来るまで野営訓練です。」
「野営かぁ・・・魔法師専門学院でも少ししたけど・・・
お二人は経験は?」
「木の上なら数日は経験が。」
「「どういう事?」」
アニータの言葉にケイとパメラが首を傾げるのだった。
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