第1408話 ローチ工房にて。2(武雄の評価は?)
会議も終えて皆で夕食となったのだが。
「今日の会場はここだね」とモニカやベッドフォード、ローやラルフ、ベルテ一家やステノ技研も加わり、キタミザト家お抱えの皆での懇親会となっていた。
「・・・キタミザト様ってどんな方なのぉ?」
クローイがワイン片手にガックリとしている。
「本当にな・・・
聞けば聞く程、発案の才覚が恐ろしい方だな。」
ダンもワイン片手に呟く。
この2人自己紹介ながら全員と挨拶をしたのだが業種が多岐に渡り過ぎていて混乱していた。
「あはは!キタミザト様一派にようこそ!
これから頑張ろうねー!」
モニカがクローイを抱きしめながら言う。
「モニカさん~、キタミザト様ってどんな方なのですか?」
「え・・・どんな?・・・言い辛いわね。
温厚な方よ。
やり方がエグイけど。」
「モニカ様・・・主はエグくはないかと・・・」
近くで見守っていたヴィクターが訂正してくる。
「ヴィクターさん、もう仕事いっぱいなんですよ~。
さっきキャロルさんに聞いたら特注依頼がかかるって聞きましたよ?
今は黒板やチョークで次々に仕事が来て大変なんです!
それに耐火板の研究を始めたばかりです!
1つが順調にいきそうな時に新たな提案をしてくるってエグくないですか!?」
「ほぉ、では主にそのようにお伝えしても?」
ヴィクターがそう呟く。
「すみません!今のなしで!
いつでも来て頂いて結構です!キタミザト家関連の追加注文はいつでも可能です!」
モニカがヴィクターに泣きつく。
「はい、わかりました。」
「やりくりしますから納期を延ばさせてくださいよ!」
「そこはキャロル様やローチ様と打ち合わせをしてください。」
「はーい。」
モニカが口を尖らせながら返事をする。
「おっと、モニカ様のお酒がないようですね、お持ちしますね。」
ヴィクターが離れていく。
「・・・キタミザト様って?」
クローイがモニカに聞く。
「発案力が高すぎてダメと言うと違う所に話を持っていきそうで・・・
ついでにどれも儲けが期待出来てしまうので、他の店が儲かるのがわかるとしたくなるし、何気に職人達がキタミザト様の話を聞くとやる気になってしまって・・・」
「本当、キタミザト様の話を聞いた職人達のやる気は困った物ですね。」
ラルフがやってくる。
「ラルフさんもですか?」
ダンが聞いてくる。
「ええ、うちもですね。
もう今年の夏物と冬物の新しく発表する物が決まっていましてね。
また、王都とのやりとりも順調でして・・・はぁ・・・休まる暇があまりありませんね。」
「ですよね~。」
ラルフの愚痴にモニカも頷く。
「今一番大変なのは・・・」
ラルフが顔を向けると。
「あぁ、ベッドフォードさんですね。」
モニカがそう言うとダンとクローイも見る。
「あそこは今絶賛大変な所の一角ですよね。」
「まぁ・・・相当注文が来ているので順次対応という事で収まっているとさっき言っていましたよ?
作ったら作った分だけ捌けるのです。
ある意味やりがいはあるでしょうけどね。」
「3伯爵領+魔王国向けでしたっけ?
大変だろうねぇ~。」
「「魔王国向け?」」
ダンとクローイが聞いてくる。
「そ、キタミザト様は領外からの金銭獲得を狙っているのよ。
私達はアズパール王国内向けがほとんどだけど、ベッドフォードさんとローさんは国外に向けて輸出も担うからね。
まぁローさんに聞いたら実際は魔王国向けの輸出入はヴィクターさん達キタミザト家が一括でやるような事を言っていたけど、キタミザト家に納入するのはあの2つだからね。
なので、ベッドフォードさんは今大忙しで大量生産をさせる方法を模索中なの。
もちろんエルヴィス家が品質管理をしていて品質を落とさせないように検査しているようだけどね。」
モニカが言う。
「品質を落とさずに量をですか?」
クローイが言う。
「そ、ここにいる面子は皆同じ事を言われているわ。
どの商品も『品質は落とさずに量を作り出せ』とね。
だから大変なのよ。」
「それは船もですか?」
「当然!今は研究や試作でしょうけどいつか領外に売り出す日が来ます。
そうなった時に一定の品質を保てる製品になっていないといけないのです。
こっちの商品は1週間で壊れて、こっちの商品は4年も壊れない。
それは品質の一定とは言いません、安定して数年・・・例えば3年は保つような物を作る事が必要なのです。」
ラルフが言う。
「ん~・・・木材の品質がなぁ。」
「部材の選定がぁ。」
ダンとクローイが悩む。
「え!?米が来たのですか!?
あ!そういえば武雄さん、そのためにどこかに行ったのでしたか?」
「はい、私達の所に米が納入されています。
殻が付いていますけどね。」
エンマが鈴音に言う。
「やった!米だ!
あ~・・・でも武雄さんが帰ってこないと食べれないだろうなぁ。
私白米しか食べた事ないし・・・」
鈴音が悩む。
「・・・スズネさん、米って美味しくないですよね?」
「え?米は美味しいに決まっているじゃないですか?
毎日食べないかもしれませんけど、普通に食べてましたよ?」
「「ん?」」
鈴音とエンマが顔を見合わせる。
「・・・武雄さん待ちですね。」
「そうですね。」
結局は武雄が帰ってこないと食べれないのを確認するのだった。
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