第1404話 ついに本命が来たよ。(エルヴィス家にご挨拶。)
エルヴィス伯爵邸の前にて。
「ダン、ここだよね?」
「クローイ、紹介状は忘れてないな?」
「うん、大丈夫。
一旦、深呼吸しよう。」
「ああ、そうだな。」
ダンと呼ばれた男性とクローイと呼ばれた女性が建物の前で緊張していた。
「失礼します。
こちらには何か御用で来られたのですか?」
「「ひっ!?」」
2人の後ろから声がかかる。
2人は驚きながら振り向くと執事服を着た男性とメイド服を着た獣人の女性が立っていた。
「あ!はい!用事がありまして!」
「こちらの伯爵様に面会をお願いしようかとお伺いしました!」
2人が緊張しながら答える。
「さようでございますか。
面会のご予定もしくは紹介状はお持ちですか?」
「はい!面会の予約はありませんが、テンプル伯爵様よりの紹介状があります!」
「「テンプル伯爵様・・・」」
言われた男女が呟く。
「こちらです!」
クローイがヴィクターの前に紹介状を出す。
「なるほど、そちらはご挨拶の際に伯爵様にお渡しください。
アスセナ、フレデリック様にご予定を伺って来てください。」
「ヴィクター様、畏まりました。
失礼いたします。」
アスセナが2人に挨拶してエルヴィス伯爵邸の玄関に歩いていく。
「しばらくお待ちください。」
ヴィクターがにこやかに2人に言う。
「はい、あのエルヴィス家の方なのですか?」
「いえ私はキタミザト家の者になります。」
「え!?」
「失礼しました!」
「いえ、主はただいま出張中でして申し訳ありません。
あ、私はキタミザト家の家令兼執事のヴィクターと申します。」
「私はクローイ・ベックリー、こっちが旦那のダン・チャーチです!」
「よろしくお願いします!」
2人は頭を下げる。
「遠方より主の要請に応えて来て頂きありがとうございます。」
ヴィクターが礼をする。
「いえいえ!私達の力が必要だと言って頂いて感謝しております。
ですが・・・どういった船をご要望なのか・・・」
「あぁ、その事ですが、申し訳ありませんが私も詳細を知らされておりません。
ですが、協力業者達には詳細を話しているようですのでそちらで意見交換をして頂く事になるでしょう。
それとエルヴィス家の文官方も貴女方の到着を待ち望んでおりましたのでそちらもよろしくお願いします。」
「文官の方々ですか?」
「ええ、その辺はこれから説明があると思われます。
気になりますか?」
「はい、とても!」
「これからエルヴィス伯爵様もしくは家令の者より説明があるはずです。
その説明を聞いてご判断ください。」
ヴィクターがにこやかに言う。
「ちなみにお着きになったのは今日でしょうか?」
「はい、先ほど着きましてまずは挨拶をと伺いました。」
クローイが答える。
「お荷物等々は幌馬車で来られたのですか?」
「商隊の人達と一緒に来ました。
荷物も幌馬車も宿に置いてきています。
テンプル伯爵様からその辺の費用も頂きましたので使わせて頂きました。」
ダンが答える。
「ふむ・・・わかりました。」
ヴィクターが答える。
「失礼します。
ヴィクター様、フレデリック様より客間にお通しするようにとの指示がございました。
エルヴィス伯爵様は今の執務が終わり次第、面談されるとの事です。」
アスセナが戻って来て報告する。
「アスセナ、ご苦労様です。
それとローチ様に設計士のご夫婦が到着された旨を説明して来てください。」
「畏まりました。」
「ダン・チャーチ様、クローイ・ベックリー様、こちらにお願いします。」
ヴィクターはダンとクローイをエルヴィス伯爵邸に先導するのだった。
・・
・
エルヴィス邸の客間。
ダンとクローイが緊張しながらお茶を飲んでいる。
2人とも味がほとんど感じないくらい緊張していた。
と客間の扉がノックされ、エルヴィス爺さんとフレデリック、文官達数名が入ってくる。
「失礼する。」
ダンとクローイが起立して迎える。
エルヴィス爺さんは中央の席に行き、その後ろにフレデリックが立つ。
「わしがエリオット・ヘンリー・エルヴィスじゃ。」
「お初にお目にかかります。
ダン・チャーチです、こちらが妻のクローイ・ベックリーです。」
「伯爵様、クローイ・ベックリーです、お初にお目にかかります。
いきなりご訪問して申し訳ございません。」
「うむ、構わぬよ。
要請をしたのはこちらなのじゃからの。
さ、座って話をしようか。」
「「失礼いたします。」」
エルヴィス爺さんが座ると2人も座る。
「伯爵様、こちらがテンプル伯爵様からの紹介状になります。」
クローイが机に置く。
「うむ、フレデリック。」
「はい、失礼いたします。」
フレデリックが置かれた紹介状をエルヴィス爺さんの元に持ってくる。
「失礼する。」
そう言ってエルヴィス爺さんが中を確認する。
「・・・ふむ・・・船の製造をしてからの設計とな、頼もしい経歴じゃの。」
「恐縮です。」
ダンが礼をする。
「奥方の方も設計をされていたのかの?」
「はい、と言ってもどちらかと言うとダンの方は製造を経験してからの全体設計と組立方法を管理をしておりまして、私は経理上がりの部材選定と加工する為の部品設計をしておりました。」
「ふむ・・・全体の設計と詳細の設計という事かの?」
「はい、その認識で問題ないかと思われます。」
クローイが頷く。
「いろいろと細分化されておるのじゃの。
こういった知らない話というのは面白いのぉ。」
「主、とりあえずその辺は今後また話をする場を設けましょう。
今は今後の予定を言わないと。」
フレデリックがエルヴィス爺さんに言う。
「そうじゃったの。
では2人の今後の予定を少し話をしておこうかの。」
エルヴィス爺さんが説明をするのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




