第1403話 まぁ順当な結果だよね。(本当に何も起きないね。)
「ん?」
「あ?」
「へぇ・・・」
クゥが子供達の方に行くのをアリスとビエラが不思議そうに見ていた。
「ビエラちゃん、クゥちゃんはあの状態で戦えるのですか?」
「あ~?」
アリスの問いかけにビエラが眉間に皺を寄せながら首を傾げている。
「あの状態のクゥがアリスと戦うとは思えないわね。」
コノハが呟く。
「となると、ビエラちゃん対策ですね。
確かにさっきはことごとく子供達を捕まえていましたし・・・
これからはその前にクゥちゃんが来るのですか。」
「あー!」
ビエラが「対策あるならやってみろー!」と言っている。
「ビエラはやる気だけど、さて、クゥはどうやってビエラの動きを抑制するのかしらね。」
コノハが考えるのだった。
「という訳で、クゥがビエラの相手をします。」
ミアが子供達にクゥの役割を話していた。
「「「んん~・・・」」」
子供達が難しい顔で考えている。
「きゅ?」
クゥが「どうしたの?」と聞いてくる。
「それって狙われたのを横から体当りで止めるって事でしょう?」
「つまり失敗すればあの抱きつきをされるんだよね?」
「あの抱きつきをかぁ。」
子供達の反応が鈍い。
「きゅ♪」
「クゥ曰く、6割は抑えられると言っています。」
ミアが説明する。
「半分かぁ~・・・」
「なら敢えて抱きつかれる役割を与えてみたら?」
「それは良い案かもしれないけど・・・誰がやる?」
「来るとわかっていたら耐えられるかな?」
「「ん~・・・」」
「かなり痛いよね。」
「「「うん。」」」
「なら2人とクゥ殿でビエラ殿、あとの4人でアリス様にする?」
「・・・男女でわける?」
「「「えええええ・・・・」」」
皆が嫌な顔をさせるのだった。
・・
・
結果。
「「疲れたぁ~・・・」」
「無理~・・・」
「「「・・・」」」
「きゅ~・・・」
子供達+クゥが仰向けになっていた。
「まぁ・・・こんなものですかね。」
「あ~♪」
アリスがため息をつきながら、ビエラは「まだまだだね~♪」と言いながら仰向けになっている子供達を見ている。
「はい、お疲れ様です。」
「キタミザト様!なんでこっちに入ってくれなかったの!?」
「キタミザト様が入ってくれてたら変わったかもしれないのに!」
子供達から非難される。
「ははは、他力本願過ぎますね~。
それに私は今日全力を1回しましたからね。
精神衛生上、こういうのは1週間に1回と決めているのです。」
「むぅ。」
子供達が口を尖らせながら怒っている。
「きゅ?」
「主、クゥが『主が入ったら変わった?』と聞いていますよ。」
ミアが通訳する。
「さて・・・どうでしょうかね?
アリスとビエラ組ではなかなか上手く立ち回らせてくれなかったでしょうね。」
「きゅ~・・・」
クゥが「タケオでも無理なら、成獣状態の方で戦った方が良いんだね」と呟く。
「むぅ・・・キタミザト様でもあの2人は難しいのですか?」
「簡単ではないでしょうね。
まぁとりあえずこの国の最高峰と手合わせ出来ているんですから良かったではないですか。
次がある時までに戦い方を考えておけば良いのでしょうね。
それにまだ1対6でやって勝てる程度なんですから。
これから1対4、1対2、1対1で勝って行かないと意味はないですよ。
仕事も剣技もこれからなんですからね。
ゆっくりとで良いから努力していきなさい。」
「「「「「「はーい。」」」」」」
子供達が返事をする。
「じゃ、そろそろ室内に戻りましょうか。」
ジェシーが皆を屋敷内に招くのだった。
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マイヤーとベイノンはというと。
「えーっと・・・毛布は買った、食器も買った、土産も買った。
これは伯爵邸に輸送をお願いして問題ないっと。」
ベイノンがメモを見ながら確認している。
「この地方の地図も買ったな。」
「そうですね。」
「あと、この地の現状の地図と古書店での古地図とこれだな。」
マイヤーが古い冊子を持ち上げる。
「なぜか気になる中身が読めない本ですね。」
「正確には文字が読めないんだがな。
所長への土産という所だろう。」
「マイヤー殿メガネ持ってきてないのですか?
王都で皆で作りましたよね?」
「所長の横に居る時は携帯しているがな。
今は必要ないと思って荷物の中だ。
ベイノンだってそうだろう?」
「俺の場合は壊しそうなんで。」
「俺も同じだ。
慣れない物を持っていると壊したり無くしたりしそうでな。」
「まったくです。
なら、あとは・・・ありませんね。」
「そうか、なら戻るか。
あまり買う物はなかったな。」
「足らなかったら途中で買えば良いでしょう。」
マイヤーとベイノンが伯爵邸に向かって歩いて行くのだった。
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客間では皆がのほほんと過ごしている。
「ねぇタケオさん、これどう思う?」
ジェシーが読んでいた報告書っぽい物を武雄に渡して指で箇所を指す。
「えーっと・・・」
武雄がメガネをかけて読む。
「・・・現状は監視のみで良いのではないですか?」
「タケオさんもそう思うかぁ。」
「どうしたのですか?」
アリスが聞いてくる。
「冒険者の動向を調べた報告書なんだけどね。
どうも変な事を言っている連中が居るみたいなの。」
「変な事ですか?」
「うん、要約すると『種族、性別関係なく生き物は平等であるべき』だそうよ。」
ジェシーが困った顔をさせて言う。
「???今と何が違うのですか?
冒険者に種族も性別も関係ないですよね?」
アリスが首を傾げる。
「そこはね~・・・タケオさん、これって遠回しの私達への批判とも考えられるでしょ?」
「私もそう読みました。
でもこれ唱えるならアズパール王国よりウィリプ連合国で言えば良いと思うのですけどね。」
武雄が呆れながら言う。
「あっちで言ったら首が物理的に飛ぶわよ。」
「でしょうね。
だから緩いアズパール王国で言っているのでしょう。」
「当分は監視して追従する者が居ないか確認しておくわ。
タケオさんの方もお爺さまにお願いして噂関係の動向は掴んでおいた方が良いわよ。」
「わかりました。」
武雄が頷くのだった。
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