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第1392話 争奪戦・・・(趣味とは。)

再びゴドウィン伯爵邸がある街の冒険者組合事務所。


「では、お世話になりました。」

「今後とも私達冒険者組合をよろしくお願いします。」

「失礼します。」

武雄とアリスが冒険者組合事務所を出て行くのを所長と数名の組合員が見送る。

・・

カウンター内にて。

「さて・・・手元には鮮紅殿のサイン入りの本が4冊あります。」

「所長!鮮紅殿が書かれたのは5冊だったはずでは!?」

組合員が驚きながら聞いてくる。

「職権濫用により私が1冊頂きます。

 提案したのは私、場を設けたのも私、異議を唱える事も許可しません。」

所長がさも当然のように言い放つ。

「それはあんまりでは!?」

「ははは、それが嫌なら早々に上役に昇進すればよかったのですよ。

 それとも・・・分配なし・・・でも私は構いませんが?」

所長がにこやかに言う。

「ぐぬぬぬ・・・4冊で手を打ちましょう・・・

 それで分配はどうされますか?」

「ふむ・・・先ほど不埒な輩が居ましたが早急に対処し、お二方の機嫌を損ねませんでしたね。

 あれもあっての入手です。

 これは良い働きでしょう。

 3名前へ。」

「「「はい!」」」

女性が3名がすぐに立ち上がって所長の前に来る。

「では・・・2冊贈呈しましょう。」

「「「え!?」」」

3人が顔を見合わせる。

「ふふふ・・・」

「負けないわよ。」

「・・・貰うわ。」

3人ともやる気だ。

「くじを作りましたので、どうぞ。」

所長が3本の棒を端を握り3名の前に出す。

「あ・・・」

「はぁ・・・」

「わかりました。」

3人が毒気が抜かれたような顔をさせて頷く。

当事者以外の皆が「いつの間に用意を・・・」と思いつつも、固唾を呑みながらくじ引き見つめる。

「負けた者は当たった2名からスイーツ1個ずつね。」

「恨みっこなし。」

「・・・」

3人が目配せをして確認している。

「「「せーのっ!」」」

冒険者組合事務所で軽く慰労会が実施されるのだった。


------------------------

武雄達はというと。

「タケオ様、冒険者組合事務所では今頃本を奪い合っているのでしょうかね?」

「奪い合い・・・まぁアリスのサイン入りだと希少価値があるでしょうね。

 ですが、そこまでなのですか?」

「王都でもしたんですけど、この間もジェシーお姉様に連れられてクゥちゃんと一緒に本屋で大量にサインをしたんですよ。

 あの人だかりを思うと人気みたいなんです。

 あそこに居た人達は来ていなかったように思います。

 なのである程度は欲しいと思うのですよ。

 もしくはお子さんとかに渡すのでしょうかね?

 本屋の時もお子様が多かったですし。」

アリスが思い出しながら言う。

「居残っている間にそんな事をしていたんですね。

 ご苦労様でした。

 アリスのおかげでお茶休憩が出来ましたね。」

「私頑張りましたよ。」

「はい、頑張りましたね。」

「で、タケオ様、どうでしたか?」

「ん~・・・まぁ普通ですかね。

 依頼内容が一般的と思われる討伐内容でしたし、何か特別な物があるとは感じませんでした。」

「そうでしたね。

 面白そうな物はなかったですよね。」

「ええ、そうですね・・・ただ・・・」

「ただ?」

「いえ、あの子達はテンプル伯爵領とエルフのブリアーニ王国の間にある森から来たと言っていました。

 蟲に襲われたと言っていたので、蟲やそれに一緒に生息しているスライムもあるかと思ったのですが、ありませんでしたね。」

「それは確かに・・・ですが、そういったのならゴドウィン伯爵領の南町や東町に行かないとないのかもしれませんね。

 大規模や面倒な物でない限り、地場の冒険者組合事務所で依頼と掲示がされると思いますし。」

「なるほど・・・地場の産業だけでなく、そういった依頼内容も地域の特色と考えれば良いのかもしれませんね。

 ちなみにエルヴィス領では違いはありますか?」

「さて・・・私は存じませんね。

 あ、東町では魚を釣る依頼があると聞いた事あります。

 誰に聞いたんでしたか・・・料理長でしたかね。」

「へぇ・・・魚釣りですか。

 紅魚の養殖が上手く行けば養殖の稚魚をある程度放流しても良いかもしれませんね。」

「そうすると人工湖の南側・・・南町かゴドウィン伯爵領の西側で依頼が出てきそうですね。」

「もしくは釣り堀を作りますかね。」

「釣り堀?・・・とは何ですか?」

「ええ、早く言えば養殖している所に釣りが楽しめる場所を設けて使用料を貰おうという事です。」

「・・・ふむ・・・それは商売として成り立つのですか?

 釣るよりも買った方が楽なのではないですか?」

アリスがいまいち釣り堀をする事へのメリットがわからず聞き返してくる。

「商売としてはトントンでしょうかね。

 趣味の領域になると思います。」

「趣味ですか?」

「ええ、釣りを楽しみたいという人はある一定数は存在するだろうと思っています。

 それに趣味関係の施設は儲けはあまり出ない物です。

 好き物同士の憩いの場であれば良いのですよ。」

「ん~・・・タケオ様も憩いの場を設けたいですか?」

「設けたいというよりもテイラー店長の店が私の憩いの場ですが?

 あそこにいると楽しいですからね。」

「あぁ確かにタケオ様は楽しそうにされていますね。

 趣味ですかぁ・・・」

「アリスも何かしてみたら良いのではないですか?」

「ん~・・・私の趣味ですか・・・

 あれ?私って趣味ないですね。」

「まぁゆっくりと探していけば良いのではないですか?

 いろんな事をしてみて、その中で楽しいと思った事をやり始め、気が向いたら仲間を探してみるのも楽しいと思いますよ。」

「わかりました。

 趣味について探してみようと思います。」

アリスが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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