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第1391話 武雄とアリスは休憩を楽しむ。(子供達はまったりです。)

ゴドウィン伯爵邸がある街の冒険者組合事務所。

少し訪問時間が遅かったのだろう、事務所内は閑散としており、冒険者も数人が居るのみだった。

そんな中、武雄とアリスはオーク2体を売る事にして市場価格の調査と隣接地域の魔物情報を確認していた。

「ん~・・・タケオ様、これと言って面白そうな依頼がないですね。」

「面白い?・・・オーク・・・ゴブリン・・・狼・・・ん~・・・至ってエルヴィス領と変わり映えがしませんね。」

武雄とアリスは掲示板を見ながらこの地の依頼内容を確認している。

「おい!おっさん!なに綺麗なねえちゃ・・・・ふがっ!!」

「「ん?」」

男に何か声をかけられたと思った武雄とアリスが振り向く。

「キタミザト様、エルヴィス様、私が当事務所の所長をさせて頂いておる者です。

 当事務所にようこそお出で下さいました!」

そこには初老の男性が深々と頭を下げていた。

「すみません、オーク2体という少ない数の買取りをお願いしてしまって。」

武雄が申し訳なさそうに言う。

「いやいや、全然構いません。

 こちらとしてもオークの肉の買取は積極的に行っておりますし、数が多い少ないではなく討伐する事にも意味がございます。

 どうでしょう、今から何か討伐等をされますか?」

「いえ、ゴドウィン伯爵の屋敷にお世話になっておりますが、明日には出立ですので申し訳ありませんが、依頼は受けられません。」

「そうでしたか。

 日程が詰まっているのでしたら無理強いは出来ません。

 カードの方の変更が終わりましたので受付にお越しください。

 カードの方には1体ずつの金額を入金しておきました。」

「はい・・・で・・・」

武雄とアリスが隅の方を見ると組合員の受付をしていた女性3人が男を肉体的にも精神的にも叱りつけている。

男の方は正座しガクガク震えながら頷いている。

「えーっと・・・」

「ははは、気になさらないでください。

 当方の事務所ではああやって指導をする事もありますので・・・日常風景です。

 ええ、お気になさらずに。」

所長さんがにこやかに言う。

「まぁ・・・所長さんがそういうのでしたら・・・」

アリスがそう言うと所長を先頭に受付に向かうのだった。

・・

「こちらがキタミザト様、こちらがエルヴィス様のカードになります。

 カードの下に入金されている金額の証明書も置いてありますのでご確認をお願いします。」

受付の女性がにこやかに言う。

「「・・・」」

武雄とアリスが自分のカードを仕舞い、残高を確認して証明書をカウンターに戻す。

「処理させて頂きます。」

受付の女性がその場でファイアを使い燃やしてしまう。

「燃えカスも残らないのですね。」

アリスが感心している。

「キタミザト様、エルヴィス様、応接室の用意が出来ております。

 先駆と鮮紅のお話を聞かせて頂けますでしょうか?」

「私は平気ですが・・・タケオ様はどうされますか?」

「私も平気ですよ。

 まぁ買取もして頂きましたし、お茶を頂きますか。」

「あ、出来ればエルヴィス様には本にサインを頂きたいのですが・・・いかがでしょうか」

所長が恐縮しながら聞いてくる。

「5冊までなら。」

アリスが許可を出す。

「そちらで構いません。

 すぐに用意させます。

 おい!お茶とスイーツと本を至急!」

「はい!すぐに!

 行ってきます!」

組合員の女性が走って玄関を出て行くのだった。

「では、こちらになります。」

所長が2人を案内するのだった。


------------------------

ゴドウィン伯爵家の客間。

子供達が思い思いに過ごしている。

寝ている子、本を読む子、お茶を飲みながらぼーっとする子、リバーシをして勝負する子・・・皆がのんびりとしている。

「ふふふ。」

ジェシーがそんな子供達を見ながら微笑んでいた。

「奥様、楽しそうですね。」

ルフィナがそんなジェシーを見て聞いてくる。

「ええ、楽しいわ。

 貴女達みたいな子供達が居るのを想像して過ごしてきましたからね。」

「?」

ルフィナが首を傾げる。

「良いのよ、気にしないでね。

 それで・・・決まったの?」

「ん~・・・」

ルフィナが難しい顔をさせる。

「まぁ・・・難しい選択かな・・・

 酷な事をさせているのはわかっているわ。

 でもしなくてはいけないと私達は考えているのもわかってほしいの。」

「そこはわかります。

 奥様も伯爵様もキタミザト様もアリス様も私達の事を考えてくれているのはわかります。

 でも・・・誰が残るか・・・難しいです。」

「うん、そうね。

 どちらを選択しても・・・キタミザト家に行く方も残る方も何かしら思いが残ってしまうでしょうね。

 でも唯一の救いはまた会えるという所かしらね?」

「え?会えるのですか?

 私達越境はダメと言われましたけど。」

「ええ、魔王国へは15年待って欲しいけど。

 ある程度仕事が熟せるようになったら皆をまた会わせようかとタケオさんに持ちかける気でいるわ。

 ちょうど、8か月後ぐらいに会う機会があるからね。」

「??」

「この地域・・・魔王国方面の貴族領ではちょっとした大きいイベントがあってね。

 領主やタケオさんが一堂に会する予定があるの。

 その時に皆を連れて行ければと思ってね・・・でも仕事を真面目にしてくれないと提案も出来ないのよね。

 これは私達の方に残る方だけでなく、キタミザト家に行く方もなのよ。」

「そうなのですか・・・そうかぁ、ここでお別れだけどまた会える機会があるのですね。」

「ええ、その頃はまだ見習いかもしれないけど、家に仕えるメイドや執事という仕事でだけどね。

 自由時間は設けるつもりでいるわよ。

 だからどちらで仕事をするにしても真面目にしなさい。」

「はい、奥様。」

ルフィナが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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