第1382話 ちょっと他の様子を見てみよう。1(散歩ですか?)
ルーク・マイヤーの部屋。
「はぁ・・・疲れた・・・」
ルークはコートニーと一緒に王都守備隊の魔法の訓練を終えて夕食と湯浴みを終え、ベッドでグッタリとしていた。
ジーナとの直接の接触は王都守備隊の方で日程調整を実施して貰っており、今の所避けさせて貰っている。
ジーナが借りる予定日付近では訓練場に近づかないようにする事が決められていた。
まだジーナが王都守備隊相手に訓練をしていないので訓練場には来ていないのだが。
「・・・魔法師専門学院に行かなくて良かったかも・・・」
ルークがプルプル小刻みしている自分の腕を見ながら言う。
「あ~・・・ん?・・・・さてと寝るか。」
ルークは窓の外に知り合いの顔があったように思ったがすぐに顔を反対側に向けて無視を決め込む。
「おーい!ちょっと待ちなさいよ!
今目が合ったでしょう!
こんな麗しい女性が夜中に部屋にくるのよ?もっと感謝しなさい。」
リュックを背負ったコートニーが窓を開けて体を部屋の中に入れてツッコんでくる。
「・・・麗しい女性は窓から入ってきませんよ。
出口はあちらです。」
ルークが扉を指して答える。
「あ、一応扉から出させてくれるんだね。
でもそっちから出ると明日には宿舎中で噂になっちゃうよ?
まぁ、私は・・・ルークがどうしてもと言うなら付き合ってあげるわ!
感謝しなさい!」
コートニーがルークを指差す。
「そかそか。」
ルークは顔を向けずに返事をする。
「ちょっと~!ルーク~!驚くなり怒るなりしてよ~!
最近私の扱いがおざなりよ!
私の相方でしょう?しっかりしてよ~。」
「小芝居終わったか?」
「小芝居違うし!
ってそうじゃない。
ルーク、父さんの店に行こう。」
「コートニー、一応確認するけど門限というのがあるのは知っているかい?」
「許可は取ってあるわよ。
ルークの分も。」
コートニーがルークにリュックから書類を出してルークに投げる。
「・・・投げるな・・・うわっ本当に許可を取ってあるよ。」
ルークが書類を見て呆れる。
「さぁ行こう、それ行こう、どんと行こう。」
「・・・コートニー・・・さっきまで王都守備隊で魔法の訓練してたよな?」
「してたね~。
ルークがボロボロになってたけど。
私は平気よ。」
「・・・俺は疲れたんだ・・・寝かせてくれ・・・」
「ルーク、軟弱よ。
このぐらいでへこたれてどうするの!
常在戦場!いつでも戦えるようにしないと社会に飲み込まれて終わるわよ!」
「あ~・・・下着も常在戦場か?」
「当然!お姉様方に一から教え込まれていつでもその時が来て良いように毎日ちゃんと色違いを・・・何で知っている?」
コートニーが真顔で聞き返す。
「俺も言われたよ、あの店のお姉さま方に。」
「え!?嘘!?男の子も勝負下着ってあるの!?
ルークも毎日!?いつでも!?」
「違う、そうじゃない。
『ルーク君、ごめんねぇ、コートニーちゃんをちょっとばっかし仕込んじゃった、頭でっかちだけどあれかなり純情だからフォローよろしく』だとさ。
コートニーはこの部屋に何回もその窓から来てるが、事前に1人で予行をしてくるんだってな。
それもちゃんとお姉様方に相談してまで・・・自室でどんな予行をしてくるんだ?」
ルークが振り向かないで話している。
「お・・・お姉様方ぁ・・・・」
コートニーが身もだえている。
「・・・で?」
やっとルークが起き上がりベッドに安座しながらコートニーの方を向く
「ん?」
「なんであの店に行くんだ?」
「定期報告。
流石に女1人だと危ないでしょう?
ルーク来てよ。
他に頼れないしさ。」
「はぁ・・・飲み物はコートニー持ちな。」
「・・・父さんにお願いしようっと。
ルーク行こう。」
「とりあえず着替えたいんだが?」
「うん、早く。」
「男の着替えが見たいのか?
出てけ。」
「減るもんじゃないわよ。」
「俺の自尊心がゴリゴリと削られるんだ。」
「ほらほら時間もないんだし、着替えるといってもズボンと上着でしょう?
ちゃっちゃと着替えなよ。
私は窓の外を見るからさ。」
コートニーが窓の方を向く。
「・・・」
ルークが立ち上がり服を着替え始める。
「・・・」
「コートニー、涎拭けよ。」
「そこまで到達してないわよ!
あ、ルーク、可愛らしいトランクスね。」
「がっつり見てんじゃない。」
ルークが呆れるのだった。
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ジーナの部屋。
「・・・新入生の生徒2名が外出しようとしている?
この時間にですか?」
ロロの報告にジーナが懐中時計を見ながら呟く。
「シャー」
「ええ、部下を付けるという判断で問題ないです。
その生徒がもしかしたら媚薬を買いに行っているのかもしれませんね。
ロロ、すぐに追加の部下を増員して付けてください。
磯風はロロにスライムを同行させてその生徒が入っていった建物等の常時監視を実施しましょう。
この時間ならそう遠くない所でしょうしね。
場所がわかったら私に場所を教えるために何体か戻らせてください。」
「はい、すぐに。
ロロ、連れて行ってください。」
「シャー」
ロロがスライムと部屋を後にする。
「私も教師に言って外出の許可を取ってきますし、スミス様に説明してきます。
動くのはもう少し後ですが・・・すぐに行動しましょうか。
えーっと・・・小銃改1は不要として警棒と小太刀・・・どっちかなぁ。」
ジーナが武雄から貰った武器を見ながら考えるのだった。
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