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第1380話 さて子供達の話をしよう。5(子供達を勧誘しよう。)

子供達は軽く湯浴み場で体を拭いて気持ちをスッキリさせたようで眠気が飛んだ顔をさせて客間に入ってくる。


「おかえりなさい。

 とりあえず、お茶を飲みましょう。」

「「「はーい。」」」

子供達がアリスの言葉に従いお茶を飲む。

武雄は何も言わずに自身もお茶を飲んでいるが横目で子供達を観察していると緊張したり微かに震えたりしている子もいるようだ。

武雄は「まぁ無理もないか」と何も言わずに観察を続ける。

「さて・・・この中から2名をゴドウィン家(うち)で執事かメイドの仕事をして貰う為に雇わせてほしい。」

ゴドウィン伯爵がそう言い、勧誘のプレゼンを始める。

「我が家としてはまず月々金貨1枚の給金で執事見習いから始めて貰おうと考えている。

 段階的に給金は上がっていく、これは種族とかは関係なく規定通りだな。

 15年の勤続だと通常業務での班や特務のリーダーになれるだろうな。

 先程の話の子供の専任だが、あれは確定ではない。

 俺達夫婦の願望だ。

 最終的には他の候補と比較し選定する事になる。

 専任と言ってもやる事は通常業務とそこまで変わる事はないだろう。」

「また専任の執事とメイドの中から将来は王都にある王立学院に子供が入る際にお付きとして同行して貰う可能性があるわ。

 これは13才の4月から16才の3月までなの。

 もしうちに来てくれて、この子の専任になり、王立学院に行ったとしたら卒業と同時に首輪から解放します。

 勿論、王都で解放は出来ないからこの地に戻ってからとなるけどね。

 引き続き勤めてくれるなら雇用継続をします。

 退職するなら15年勤続だと退職金として金貨22枚と銀貨5枚ね。

 これは我が家の文官達の規定にある通りとなります。

 タケオさん、大丈夫?」

ジェシーが武雄に聞いてくる。

武雄は答える前にアリスの顔色をチラ見すると・・・アリスは敗戦濃厚を示唆させる顔をさせている。

武雄は「エルヴィス家、大変なんだなぁ」と心から思うのだった。

「・・・毎月銀貨1枚を貯めて1年経つ毎に銀貨3枚を追加すれば良いのでしょう?

 同水準にするというのはキタミザト家とゴドウィン家が合意している事です。

 退職金とかも何とかします。」

武雄は諦めた顔で言うが、心の中では「見習い後の給金を言わないのはせめてもの助けなんだろうなぁ」と思っている。

「給金については種族問わずに同賃金だからな。

 上を目指すとそれと同じくして給金も増えていくので安心してくれ。」

ゴドウィン伯爵が言う。

「「・・・」」

子供達は今の内容を自分なりに一生懸命に考えている。

「あの・・・」

エルフのルフィナが武雄を見ながら手を上げている。

「どうしましたか?」

「伯爵様の方はわかったのですがキタミザト様の方はどういった条件なのでしょうか。」

「・・・」

アリスの顔が諦めの表情をしている。

「ん~・・・まぁ見習いの際の給金が月額金貨1枚というのと退職金が15年で金貨22枚程度というのはわかりましたのでそれは合わせます。

 ですが、見習いが終わってからの月々の給金は研修先でもあるエルヴィス家に準ずると考えて頂いて結構です。

 キタミザト家として多少は手を入れるかもしれませんが、現状ではそう思って頂いて結構です。

 ちなみに・・・アリス、ジェシーさん、エルヴィス家の執事とメイドの給金は知っていますか?」

「現在の状況はわからないけど・・・」

「答えたくないですが・・・ある程度は・・・」

ジェシーもアリスも言い辛そうに答えてくる。

「「「?」」」

子供達が首を傾げる。

「私も実情は知りませんけどね。

 多分ゴドウィン伯爵家より1割程少ないです。

 もしかしたら2割行くかも。」

武雄がにこやかに言う。

「タケオ様!もっと言葉を選んでください!」

アリスが涙目で答える。

「はぁ・・・エルヴィス家(実家)は大変だもんねぇ・・・」

ジェシーがなんとも言えない顔をさせてため息をつく。

「・・・」

ゴドウィン伯爵もなんとも言えないようで目を瞑り何も言わない。

「・・・キタミザト様、エルヴィス家はその・・・お金に苦労しているのですか?」

ルフィナが心配そうに聞いてくる。

「ええ、ですが、食べるのに苦労はしていませんよ。

 そのやりくりをしているのでまぁ贅沢は出来ませんが、普通に生活が出来ていますね。

 普通の民達が思うような煌びやかな生活というのはしていませんね。」

「んん~・・・」

ルフィナが考えてしまう。

他の子達も目が右往左往している。

「給金は確かに少ないですけどね。

 私の所に来ると他とは違う特別な物があるかと問われると・・・アズパール王国で2か所しか食べれない食材があったり、私の研究所に来る兵士達は王都出の者達ばかりなのでそこら辺の騎士達とは練度が違いますので戦い方の習得は出来るでしょう。

 また、私は貴方達に執事やメイドの教育を実施しますが、それのみを15年させる気はありません。

 他にやりたい事があったりこちらで他の事をさせたい事があった場合は配置転換をしますので、協議しましょう。」

「やりたい事があったら?」

「させたい事があるのですか?」

子供達が食いつく。

「ええ、私は領地持ちではありませんけど、部下には農業をする者もいますし、魔王国との輸出入・・・物の売買をしたり、物を作り出す為の設計をする者も居たりと多岐にわたっています。

 したい事があったりさせたい事があるならそっちに労力を回すのが普通だと考えています。

 もちろん適性は考えて配置しますけどね。

 まぁまずはエルヴィス家で執事とメイドの見習いからです。

 そこで必要な能力と知識を得る場を用意はします。

 貴方達がどう成長するかは私が決めるわけではなく、貴方達がどう行動するかで決まるのです。

 だから真面目に仕事をすればそれ相応の能力と知識が身に付きますし、手を抜けばそれなりの能力と知識が身に付きます。

 もちろん能力や知識が向上すれば給金が上がるのはどこの職場でも同じですね。

 まぁ私の方はゴドウィンさん達と比べられると給金では見劣りしちゃうとは思いますけどね。」

武雄が苦笑する。

「「んん~・・・」」

「伯爵様の所は執事として15年働き給金も良さげ、キタミザト様の所は給金は若干低いが自分に合った仕事を探せる・・・ん~・・・」

「どっちが良いんだろう・・・」

「ええぇぇ・・・」

「美味しい物食べたいなぁ。」

子供達が悩むのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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