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第1379話 さて子供達の話をしよう。4(じゃあ、どうする?)

「まぁ、そんなこんなで・・・

 タケオさん、この子達の中から数名うちに預けて欲しいの!」

「タケオ、すまんが対応してくれ!」

ジェシーとゴドウィン伯爵が頭を下げると執事達も頭を下げる。

「・・・ふむ・・・

 アリス、これは4番目でしたか?」

「ほぼ4番目でしたね。

 ただ、人数がこちらに決定権があるようですね。

 子供達に決めさせますか?」

「ふむ・・・どうしましょうかね。」

「そうですねぇ・・・」

武雄とアリスがお互いに顔を見合わせて話している。

「「ん?」」

ゴドウィン伯爵とジェシーが不思議そうな顔をさせている。

「食前の時の子供達からの提案に似ているのですが、ゴドウィン家として何人を想定しましたか?」

「え・・・最大でも2人は任せて貰えるだろうと・・・

 1人だと孤立しちゃうだろうし、3人だと仲違いをした際に2対1になるだろうから2人なら切磋琢磨してくれそうだから一番受け入れ易いと思ったんだけど・・・どうかな?」

「なるほど。

 アリス、2名だそうです。」

「・・・この子達の中から他家に・・・私には選べなさそうです。」

アリスが子供達を見ながら言う。

「それが普通の感覚ですけどね。

 ルフィナ、セレーネ、ルアーナ、ヴィート、ラウレッタ、マヌエル・・・大丈夫ですか?」

「なんとか・・・」

「「ん~・・・」」

「らいじょうぶです。」

「平気です。」

「くぅ・・・」

子供達が返事をする。

「はぁ・・・タケオさん、今日はダメかな?」

ジェシーが苦笑しながら武雄に聞く。

「・・・ゴドウィンさん、ジェシーさん、湯浴みは出来ますか?」

武雄が子供達を見ながら2人に聞く。

「少し時間をくれれば用意は出来るわよ。

 入れる?」

「ええ、軽く体を拭かせる程度で構いません。

 体をスッキリさせれば眠気が少し収まるでしょう。

 さぁ入ってらっしゃい。」

「「「はーい・・・」」」

「では、皆さま、こちらです。」

「行ってきます。」

「「いってき・・・ます」」

子供達が執事達に連れられて退出していく。

・・

「随分と眠そうだっただけど・・・子供達には難しかったかな?」

ジェシーが苦笑する。

「・・・大人達は話をしていて、同席者が眠そうになっていた場合、飽きて眠くなったと思う事が多いですが、見方を変えれば難解な話を理解しようと頭を回転させていたから疲れて眠いという見方もあります。

 今回のように真面目に話を聞いていた場合、ほとんどの場合は彼らも眠くなりたくて眠そうにしているわけではありませんよ。

 一概に怒ってはいけません。」

武雄がお茶を飲みながら言う。

「そういう見方もあるのね。」

ジェシーが考えながら言う。

「ふざけた場合やイタズラをした場合は怒って良いでしょうが、それ以外は声を荒げる必要はないと思います。

 それに良い予行になりそうですね。」

「「?」」

武雄の言い方にゴドウィン伯爵とジェシーが首を傾げる。

「ゴドウィンさんに兄弟がいるかは存じませんが、少なくとも数十年はこの屋敷に子供はいなかったのですよね?

 そこに長男が誕生・・・執事やメイド達のほとんどは仕事での子供の扱いに慣れていないでしょう。

 そういった意味も込めてあの子達は良い予行になると思ったのですが。」

「「ああ」」

ゴドウィン伯爵とジェシーが納得する。

「そうね。

 確かに子供の悪戯や癇癪の経験はこの中だと私がスミスを見たぐらいかしら。

 あとは個人個人ではあるだろうけど、仕事先でというのはないわね。」

「うん、子供を見るというのは普通はない経験だからな。

 そうだな、あの子らをしっかりと教育しながら皆が子供の扱い方に慣れて貰う事にするか。」

「ええ、あの子達も皆に受け入れて貰えないといけないからね。

 ちょっとの失敗も叱らずに諭す方法を皆で考えて行きましょうね。」

2人が嬉しそうに言い、部屋に残っている執事やメイドも微笑みながら領主夫妻を見守るのだった。


「で、所長、どうされますか?」

マイヤーが武雄に聞いてくる。

「どうすると言われても・・・2人ですか・・・

 あの子達には選べないでしょうね・・・まず提示できる情報が足らなすぎです。

 こっちに残るのと私の方に来るのとで待遇がどう違うのか・・・私達ですら手探りなのですからね。

 その上でだと・・・たぶん・・・自分達では立候補出来ないはずです。

 あの子達に提案出来るのは、ここに残る2名を選んでもらう(・・・・・・)事でしょう。」

武雄がそう言い放つ。

「・・・決められないと思っているのね?」

「タケオ様、どうしてあの子達は決められないと思うのですか?」

ジェシーとアリスが聞いてくる。

「いや・・・自分自身に置き換えれば私は選べませんよ。

 子供達は親友という訳ではないのです、かといってここまで来た仲ではありますよね。

 旅の友ぐらいになっているはずです。

 お互いの事も十分にはわかっていない状況下において、率先してここに残ると言った者は皆を裏切ったと感じるでしょうし、誰かを指名すれば仲間を売ったと他の者に思われるかもしれない、こういう選択肢を与えられた場合、自ら手を挙げるというのはしない物ですよ。

 なので、最終的に採用者に一任するという結論を出してくるはずです。

 選ばれたのだから(・・・・・・・・)しょうがない(・・・・・・)と誰も非難をする事なく終えられますからね。」

武雄が考えながら言う。

「難しい物ですね。」

「いえいえ、案外思考というものは簡単な物ですよ。

 選択を迫られれば単純な選択肢を選びたい物ですし、出来れば誰からも非難されたくない物です。」

「タケオ様もですか?」

「当然そうですよ。

 選択肢を選ぶ側になりたくないので、選ばせる側になろうと努力はしていますけどね。

 まぁ今の所は無難に過ごせてきたと思いますよ・・・ふっ。」

武雄がニヤリと笑う。

「うわっタケオ様、悪い顔です。」

アリスが呆れる。

「さて、ゴドウィンさん、ジェシーさん、どの子をお望みですか?」

「ん~・・・タケオ的にはあるか?」

「子供達は原石です、これからの教育でどうとでも変わります。

 なので将来有望になる可能性は全員が等しく持っていると思っています。

 私はこの子達に対してこの子はダメだとか良いとか言う事はありません。」

武雄がにこやかに言う。

「「ん~・・・」」

ゴドウィン伯爵とジェシーが悩むのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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