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第1376話 さて子供達の話をしよう。1(まずは法令を変えてしまおう。)

ゴドウィン伯爵家の客間にて。

ゴドウィン伯爵、ジェシー、ゴドウィン伯爵家の執事長と執事、メイド長とメイド数名と武雄達が揃っていた。

ゴドウィン伯爵とジェシー、武雄達は円になるように座っている。

その後ろに執事達が控える形になっている。


「さてと・・・話を始めましょうか。」

ジェシーがそう話を始める。

「そうだな。

 もったいぶっていても何だしな。

 今回のごたごたについて、タケオ改めて協力を感謝する。

 それと対応は見事だった。

 ありがとう。」

ゴドウィン伯爵がそういうとゴドウィン伯爵家の面々が軽く頭を下げる。

「はい、ありがとうございます。

 それでどうしますか?」

武雄が続きを促す。

「うむ。

 まず最初に奴隷商の越境は本来なら関で止め魔王国側に戻らせるのが関の対応方法で、それを今回のようにすり抜けるのならばその場で拘束し、魔王国側に行かせるようにするのが正規の手はずなのだが、今回の事で少し手順に変更を加えた。

 『奴隷商が人間換算で未成年の奴隷を連れていた場合、交渉し一時的に保護をする事を許可する』とした。

 これは今関係各所で条文化している、近日中に各町、各村に通達する手はずになっている。

 また王都に同様に報告も実施する。」

「わかりました。

 その条文が出来次第、足並みをそろえる為エルヴィス伯爵家にも送付してください。

 同様な条文の作成は私の方からも依頼しておきます。」

武雄がそういうとアリスも頷く。

「あぁお願いする。

 それと・・・タケオ、事後になるとはいえ、これを王都で認められると思うか?」

「・・・関係のない者が見た場合、奴隷契約条項に抜け穴を作ったと言われかねませんね。」

武雄が微妙な顔をさせながら言う。

「そうだな・・・だが、そうしないと今回のような孤児院での対応は出来ない。

 あのような者を罰するのはおかしいと思う。

 院長も奴隷の子達も守りたいと考えた末の条文なんだが・・・」

ゴドウィン伯爵が腕を組みながら言う。

「そこは同意します。

 なら・・・まず最後の保護するという所に『保護もしくは雇用をする事を認める』としてください。

 そして『保護もしくは雇用をするのは特定の者(王族もしくは陛下に認められし貴族)のみ』として、続きに『保護をする場合は、特定の者が指定した職員が居る住居もしくは施設とする事。雇用する場合は雇用契約を結び、期間は奴隷契約条項に定めた範囲内で行う事』とするべきです。

 仕事をする際の最低給金の月額も規定とする事とした方が良いでしょうね。」

武雄が考えながら言ってくる。

「ふむ・・・保護か雇用か・・・これはタケオのしている事だな?」

「そうですね。

 保護をしただけでは財源が早々に底をついてしまう可能性がありますし、そもそも保護した子達の為になりません。

 まずは基本となる物を教え、その上でお金を稼ぐという行為をさせ、『仕事をする=生きていく』という事を学ばせようと考えています。

 そして仕事をして貰えば家の為になりますからね。

 片方が奉仕するだけの関係では長続きはしないと考えます。」

「なるほどな。」

ゴドウィン伯爵が頷く。

「最低給金は月額銀貨9枚が妥当だと思うわ。

 もちろん、住み込みの仕事でという条件は付きますけどね。」

ジェシーが言ってくる。

「ふむ・・・その辺は地域差があるように思いますが・・・

 出来れば穏便な文言にしてください。」

「わかった、内容を修正しよう。

 それと雇用主を王族と貴族に限ったのは・・・豪商相手だな?」

「ええ、そもそもの奴隷契約条項は豪商相手の牽制らしいですね。」

「あぁ、聞いたのか?」

「王都の局長達との話でそれとなく・・・

 それに保護対象は人間種換算で未成年者です。

 なら貴族が責任を持って管理するとすれば王都側も認めやすくなるでしょう。」

「わかった。その内容の条文を作成し、エルヴィス家と王都に報告と連絡、法の修正依頼をしておこう。」

「お願いします。

 それと王都に送られる際は、送る報告書と依頼書の写しを私にも送ってください。

 ゴドウィンさんが招集される事はないでしょうけど、私は定期的に王都に行くので、その際に話をしてきます。

 たぶん強制的に局長達と話し合いです。」

武雄が苦笑する。

「タケオ、すまんな。」

「いえいえ。私が率先した結果ですので、お互いに苦労しましょう。」

「そう言ってくれるとありがたい。

 それと指定した住居と施設というのは施設は孤児院というのはわかるが、個人の住居はあり得るのか?」

「突発的に奴隷商に会う可能性もありますし・・・

 あ~奴隷商かぁ・・・ゴドウィンさん、最初の所ですけど『特定の者以外が未成年の奴隷を連れていた場合』とした方が良いでしょうか。

 今回は奴隷商からではなく運送業者からの移譲ですからね・・・端から見て奴隷商か運送業かの違いなんて私達にはわかりません。

 なので私達施政者以外が連れているのを目撃し、なおかつ明らかに幼かった場合、話し合いを実施出来るようにするべきだと思うのですが。」

「・・・豪商に喧嘩を売るのか。

 魔王国側は奴隷を持っている豪商は居ない、これはゴドウィン伯爵領(うち)もエルヴィス伯爵領でもだ。

 まぁ同族が奴隷でこき使われているのを良く思う者はいないだろうからな。

 襲撃されない為にそういった豪商は居ないんだが・・・西側がどうなるかだな。」

「王都の手腕が気になりますね。」

「俺らはタケオが王都で上手く説明してくれる事を望むさ。

 万が一、何か言われたら俺も罰を受ける覚悟は出来ている。

 王都では言いたい事を言って来てくれ。」

「ゴドウィン伯爵、ありがとうございます。

 ですが・・・先の夕食時の会話ではありませんが・・・

 『文句があるなら自分自身でウィリプ連合国で成果を出せ』と、最終的に言えばいいだけなので苦労はないと思います。」

「タケオさん、あまり無理をしないでね。」

ジェシーが労うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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