第1367話 ゴドウィン伯爵邸に到着。(まずは玄関前での話し合い。)
武雄達はゴドウィン伯爵邸がある街の城門に到着した。
今は街に入る審査行列に並んでいる。
「着いたぁ~!」
「「「んん~~!!」」」
武雄と子供達は一旦幌馬車を降りて体のコリをほぐしている。
「さて・・・ここが今日と明日泊まる街ですよ。
とは言っても明日は1日休養ですが、皆が街に出れるかはわかりません。
迷子になっても私達が探せませんし、ご厄介になるのにご迷惑をかけられません。
家でのんびりと過ごしてくださいね。
本が読みたかったりするなら買ってきますからね、言ってください。」
「「はーい。」」
子供達は昼食で機嫌が良くなっているのか、武雄達の言う事を良く聞いている。
と、門の兵士が武雄達に気が付き数人がやってくる。
「失礼します!
キタミザト子爵様でしょうか?」
「はい、そうですよ・・・貴方は前に居ましたね。」
「はっ!キタミザト様、無事の到着何よりです。
最初に来られた際に対応させて頂きました。
覚えて頂きありがとうございます。
屋敷から連絡を受けておりますので
人数だけ確認させて頂きます。」
と一緒に来た兵士が人数を数え始める。
「それで問題は?」
「ありません。屋敷の方より直接来て貰うようにと伝言が来ております。」
「わかりました。
では、屋敷の方に向かいます。」
「はい、お願いします・・・人数確認は終わったか?
・・・よし、どうぞお通りください。」
「はい、皆乗るよ~。」
「「は~い。」」
子供達と武雄が荷台に乗り込むのだった。
・・
・
そしてゴドウィン伯爵邸に到着。
「「「いらっしゃいませ、キタミザト子爵様。」」」
玄関先で執事とメイドに出迎えられていた。
「「「・・・」」」
馬車を降りた子供達はその光景にポカンと口を開けている。
「はい、今日と明日お世話になります。
部下共々よろしくお願いいたします。」
「はい、お任せください。
我が家のようにお過ごしいただいて結構でございます。
それでは皆様、一旦お部屋に行っていただき湯浴みを行って頂きます。
えーっと・・・キタミザト様、お子様方の洋服は?」
「あの服一組だけですね。」
「畏まりました、部屋着と寝間着の用意は出来ております。
そちらに着替えて頂いてよろしいでしょうか。」
「ええ。
では、子供達、湯浴みにいってらっしゃい。」
「「湯浴み?」」
数人の子供達が首を傾げる。
「昨日、水で体を拭きましたね?
あれを贅沢にもぬるま湯で用意してくれています。
たぶんメイドのお姉さん方が手伝ってくれますので隅々まで綺麗にしてらっしゃい。」
「「ええ~??冷たいの嫌だぁ。」」
数名の子が冷たい水を思い出したのか嫌がる。
「ぬるま湯ですよ・・・ここにいる家主の奥様は私の妻の姉です。
これから挨拶をしないといけません。
お腹に赤子がいますからね。
土埃が付いたまま会えないのですよ、ほら綺麗にして貰ってらっしゃい」
「「はーい・・・」」
子供達のうち数名が渋々承諾し、メイド達に連れられて行く。
「アリスとクゥはどうしていますか?
迷惑はかけていませんか?」
「はい、迷惑などまったくありません。
毎日奥様とお話をしたりして頂きまして、奥様も気分を和らげている様子。
やはり妊娠中は親族等々と話をしている事が精神的に安定するようです。
こちらこそ今の時期に来て頂きありがたく思っております。」
「そう言って貰うと来た甲斐があります。」
「それと早馬が到着しておりまして、のちほど主が戻られるそうです。」
「ゴドウィン伯爵が?
・・・あぁ・・・耳に入っちゃったのですね。」
武雄が子供達の後ろ姿を見ながら言う。
「はい。町の方で聞いたようで、本日中に戻るとの伝達がありました。」
「・・・方針は決まったので?」
「なんとも言えません。キタミザト様にお話しする前に、主への説明と考えを聞かない内はなんとも・・・」
「まぁそうでしょうね。
では、とりあえず私達も湯浴みですね。」
「はい、ご案内いたします。
幌馬車に乗っている物はどういたしますか?」
「食材は使ってください。
明後日の出立時に新たに少し融通して頂ければ嬉しいのですが・・・」
「畏まりました。
あ、それとジェシー様に教えていただいたキタミザト様からのマヨネーズのレシピは素晴らしかったです。
野菜や肉に合いますね。」
「口に合ったのなら良かったです。」
「エルヴィス家での販売開始を機に我らも売り出そうかと考えて、エルヴィス家に連絡を入れております。
いつ頃になりそうでしょうか?」
「はは、それはエルヴィス家からの連絡を待ってください。
私としては大まかには知っていますが、延期するかもしれませんし、前倒しするかもしれません。」
「畏まりました。
連絡は絶え間なくさせていただきます。
他に何かありますでしょうか?」
「荷台に敷いてある物は、出来れば水洗いで良いので洗濯をして頂けるとありがたいです。
明後日にも敷いて出立します。」
「畏まりました。
対応いたします。」
「よろしくお願いします。
マイヤーさん、ベイノンさん、ビエラも初雪も湯浴みです。」
「「了解しました。」」
「あ~♪」
「わかりました。」
武雄達も自分の持ち物を持って部屋に一旦戻るのだった。
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エルヴィス伯爵家の客間にて、エルヴィス爺さんとフレデリック、ヴィクターが話をしていた。
「・・・6名とな。」
「そうですね。
とりあえず受け入れは良いのですけど・・・
ヴィクター、キタミザト家の予算はどうなっていますか?」
「はい、キタミザト家の現在の固定収入である貴族報酬だけでは6名も追加で雇えません。
試算上、金貨44枚しかありません。
動産収入を見込んだ場合は問題はありませんが、現状の動産収入に頼るのは些か心許ないというのが現状です。
しっかりと固定の収入が見込めるのなら良いのですが・・・」
「ふむ・・・ウォルトウィスキーとウスターソースは確実じゃな?」
「ですが、まだ数が出ておりません。
あれの収益はこれから増加はしますが・・・その費用がいつ振り込まれるのかはまだ様子見になっています。」
ヴィクターが報告する。
「フレデリック、そうなのかの?」
「はい、どちらも納入していただけるというのは確約を頂いていますが、現状ではキタミザト家への支払いよりも『素材の調達や、従業員への支払いを優先させる為に保留も可』としており文官達でその辺は管理させています。
支払いは絶対に行われますが、まだ先になる見込みです。」
「ふむ・・・タケオが帰ってきたら協議じゃの。」
「「はい。」」
フレデリックとヴィクターが頷くのだった。
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