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第1361話 160日目 その頃の魔王国王城。3(緊急会議。)

魔王国王城の大会議室。

集まっている。第1、第2、第4軍の幹部達の議論が白熱していた。

大きい地図や小さい地図等々いろいろ机の上に並べて皆で話し合っている。


「しかしこの情報を元に動くにしてもこの男を捕らえないといけません。

 えーっと・・・背中にある、このマークを皆に覚えさせるのは難しいです。

 ある程度の兵力を持ってパーニ伯爵領の関に向かわなければ逃げられてしまいます。」

「連れていく兵士を多くするというのは私も同意します。

 ですが、関では男1人の確認なのだから2人で十分だ。

 実際に体を見る者と後ろから紙を見ながら確認する者で良いじゃないか。

 むしろその後の尾行については、冒険者風を装って近づき情報を得る班と尾行をする班に分けなければならないし、そもそも町か村毎に尾行を変えた方が良いと思う。

 その為の人員の配置で結構な量の兵士を待機させるべきだろう。」

「そうだな。

 実際どうやって向こうの組織と会うかというのはわからないから接触があった者は数日の監視をしなくてはいけないし・・・

 これは結構な問題ですね。」

「直接そのブリアーニ王国の森に行ってくれたら良いんだが・・・

 最悪は森には行かないでデムーロ国に向かうという事ですが・・・

 陛下、どこかで追跡か話し合いかの線引きが必要です。」

出席している幹部が言ってくる。

「皆の意見、懸念事項・・・全部が全部その通りだ。

 我々は今回すべての要素を考えなくてはならん。

 なので・・・通る街道をこちらから指定してやろうではないか。」

ヴァレーリが地図上を棒で指していく。

「街道の閉鎖ですか?」

「閉鎖ではない、検問だ。身分の確認と行き先の確認を実施しておけば良い。

 我も昔は旅人だった・・・検問というのは面倒でな。

 心理的に避けたい物だ。

 場所は・・・パーニの関から太い街道に抜ける道で実施する方が楽だろう。

 関からの街道沿いなら検問をしていてもさほど不自然ではないし、どの検問所を通ったかによって移動経路がわかる。

 更にいえば、『この先で検問実施』という情報を町や村で旅人に話をさせておけば、冒険者風を装う班がこの時に接触出来、あわよくば一緒にデムーロ国方面に向けて行けるかもしれない。」

ヴァレーリが考えを言う。

「となると・・・検問はここと・・・ここは必須ですね。

 脇道に入る前に作るのが良いのではないでしょうか。」

男性がパーニの方からの街道を見ながら考えている。

「脇道・・・主要街道と脇道がわかる地図を!」

他の者が何か閃いたようだ。

「はい!こちらです!」

すぐにその場に地図が用意される。

「・・・脇道はいつかは主要街道とぶつかるものです・・・

 となるとデムーロ国に向かうというのがわかってるなら・・・デムーロ国側から見て最短の距離で関に行けるこの小道ではないでしょうか。

 この小道の沿いにはブリアーニ王国方面と分岐する道が1本あります。

 このデムーロ国とブリアーニ王国との分岐点での検問が必要かと。」

「なるほど、ならここに1つで良いだろう。

 それと大半が主要街道で行くとしたら?」

ヴァレーリが頷く。

「陛下、主要街道のみで行くと若干遠くに出てしまいます。

 相手は奴隷商です。最短もしくは最も危険がない経路を選ぶと思います。

 それで・・・えーっと・・・主要街道に出る数ある分岐点の中でどれかの小道を行く可能性もありますが・・・結局は主要街道に出れます。

 なので・・・主要街道を南下してきて・・・ここまで検問の位置を下げれるのでないでしょうか。」

とある者が地図の中間を指す。

「面白い位置だな。

 町が近くにあるのか。

 ここに検問する兵士の拠点を設置するか。

 そうすれば・・・少し遠回りでもさっきの2か所に交代要員を送れるな。」

ヴァレーリが頷く。

「先程の提案の修正で分岐点の前ではなく、少し後ろにした方が陛下の言われる心理が働き、小道を行くのではないですか?」

「いや、それだと小道に入ったのを見落としてしまう可能性がある。

 一度、本人を確認して動向を見ておかないと余計な時を検問に費やしてしまう。」

「どちらも捨てがたいですが、私は後ろにして最短の経路を使わせたいですね。

 最短の経路に入った瞬間に先回りすれば結果的に検問の数も少なくて済みます。」

「そうは言っても明らかに怪しくないか?

 普通は分岐点の前もしくは分岐点自体で封鎖をするもので、後ろにしていたら『その道を通って』と言っているようなものだ。

 危険を感知するのが上手そうな奴隷商だ。

 いつもしている方が良いと思う。」

集まった者達が議論をし始める。


「・・・」

ヴァレーリはそんな部下達を横目に席を立ち、壁にかかってる魔王国全体の地図の前まで移動し、腕を組んで見上げる。

「・・・おい、すまんがキタミザト殿の伝言書はあるか?写しで構わん。」

ヴァレーリが壁際に立っている者に言うとすぐに持ってくる。

「陛下、こちらになります。」

「ああ。」

ヴァレーリは受け取ると腕を組んだ上側の手で持ち、もう片方の手は持っている手の肘の内側において、伝言書と地図を見比べている。

と朝課の鐘が鳴る。

「・・・諸君。」

鐘が鳴り終わり、ヴァレーリが地図を見たまま静かに言うと、皆が議論を止めヴァレーリを見る。

「議論をもう少ししたい所だが・・・時間だ。

 第4軍指揮官に問う、現段階で我々がなすべき事は何だ?」

「はっ!アズパール王国側より越境してくる

奴隷商の追跡および聞き取りを行い、奴隷の入手経路および販路の解明をし、わが国及び同盟国の国民が違法に奴隷とされてないか確認する事にあります。」

「うむ。

 第2軍指揮官に問う、現時点で決まっている事はなんだ?」

「はっ!・・・現在、決まっている事は冒険者風を装って近づき情報を得る班と尾行をする班を多数関に配置させ、彼の者を追跡及び監視する事まで決まっています。」

「そうだな。

 第1軍指揮官に問う、キタミザト殿が今朝の段階で彼の者に聞き取りをし、ゴドウィン伯爵領の東町を昼過ぎに送り出したとする・・・パーニ伯爵領の関に到着するのは最短でいつと見る?」

「はっ!・・・明日の昼過ぎかと推察します。」

「そうか・・・」

ヴァレーリは指揮官達が述べていても一瞥もしないで地図を見ながら聞いていた。

「今、優先すべきは送り出す事だな。

 第2軍および第4軍に命令!」

「「はっ!」」

「第2軍より関にて確認する班を2班、冒険者に装う班を3班、尾行班を6班作れ。

 第4軍はそれらを輸送する事。

 確認する班2班、冒険者を装う班2班と尾行班2班も関で待機だ。

 それ以外は最短経路の分岐付近にて待機。

 関へと向かったワイバーン部隊は即座に帰投、最短経路の分岐に向かうワイバーン部隊はそのまま検問の真似事をして来い。

 第2軍は至急人員を手配、送り込む準備をさせろ。

 それと冒険者を装う人員に新品の防具は渡すなよ?

 くだらないことで見破られないよう使い込んだ防具と安い武器を渡しておけ。

 第4軍も同様だ、人員輸送と検問の準備をしろ。

 検問は盾を数個立てて聞き取りする方法で構わん、あくまでそれらしく見せれば良いからな。

 それと検問の理由は『ブリアーニ王国までの街道整備状況の確認の為、幹部が来るから』とでも言っておけ。

 それと第2軍と第4軍で共通の目印を話し合っておけ。

 友軍の印は必要だからな。

 以上だ。

 まずは担当者動け!」

「「はっ!」」

第2軍と第4軍の者達が動き出す。

「担当者以外の他の者は検問の方法と実施個所の話し合いの続きだ。

 先行する者達には追加情報が発生したら何かしらの方法で伝える。

 あ~・・・それと菓子とお茶の用意を全員分だ。

 のんびりとはいかないが、お茶をしながら話し合うぞ。

 余裕をなくしたら良い案も出ないからな。」

「はい。すぐに厨房より持ってまいります。」

「うんうん、とりあえず小休憩だな。」

ヴァレーリが席に座ってお茶を待つのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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