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第1357話 その頃の魔王国王城。1(飲んだくれへの報告。)

魔王国領空。

「こちらは魔王国 王軍 第4軍です!ドラゴン殿!速度をこちらに合わせてください!

 繰り返します!こちらは魔王国 第4軍です!ドラゴン殿!速度をこちらに合わせてください!」

ビエラに並走して飛んでいるワイバーン部隊のうちの1つに騎乗している兵士が叫んでいる。

「グルゥ。」

ビエラが速度を緩め、軽く鳴く。

「はっ!陛下宛ですか!?

 ご予約はされておりますか!?」

「グルルゥ。」

「されておらず・・・至急ですか・・・

 陛下への事前連絡なしでの面会は叶うかわかりません!

 他にドラゴン殿を知る者はおりますか!?」

「グルゥ?」

「お名前はビエラ殿ですね!

 この間アズパール王国に来たフレッディとタローマティ・・・了解しました!

 王城にて審議させます、面会が叶うかは現時点ではわかりません!

 また王城は魔法で飛行物の防御がされています!

 城門前の広場があります!

 そちらに着地の程をお願いします!

 以上、了承をお願いします!」

「グルゥ。」

ビエラが頷く。

「第2班は先行し報告してこい!」

「「了解!」」

数名が囲みから離れていく。

「ドラゴン殿!我々が先導します!

 付いてきてください!」

ビエラは順調に魔王国の王城を目指すのだった。


------------------------

魔王国王城のヴァレーリの寝室にて。

「ふーむ・・・今日の食後の会議はなし、カールラ達も引き上げて接待もなし・・・明日の昼食後から会議・・・ん~・・・これは深酒の日という事だな・・・」

ヴァレーリが予定を確認しながら呟く。

「なわけないでしょう。」

タローマティが呆れた声を出す。

「いや・・・これから明日の昼まで予定がないなんて滅多にないぞ?

 これは多めに飲んでも問題ないという事だ。」

「多めねぇ・・・

 あんなに大量に頂いたウォルトウィスキーが・・・」

タローマティが部屋の隅に目をやると積みあがっているウォルトウィスキーの箱が鎮座している。

「・・・まだ8本だ。」

「もう8本です。

 戻ってまだ3日ですよ?」

「・・・カールラも飲んだぞ。」

「一緒には2本ですね。そのあとも1人で1本飲みましたが・・・

 他の5本は?」

「2日で飲んだ。」

ヴァレーリが「何か問題でも?」という顔をさせる。

「あれが深酒でなくて何が深酒ですか!?」

「次の日に残っていない!あれは嗜む程度だ!」

「それは飲んだくれの言い訳です!」

「飲んだくれだと・・・ドワーフ共と一緒にするな!

 奴らは飲んだ数の数え方が瓶じゃない樽で数えるような奴らだ!

 あれに比べれば我はまだ嗜む程度だ!

 断じて飲んだくれではない!」

「世間一般では十分飲んだくれです!

 寝酒はだいたい1杯か2杯でする物です!1本、2本という単位でしません!」

「それは酒に弱い者がする寝酒の事だ!

 それになぜ今まで平気で今日は言うんだ!」

「退官間近です。

 この勢いで退官後も飲んだらすぐに破産です!

 いくら給料を貯めていると言っても限度があります!

 飲むなとは言いません、限度があると言っているのです!」

「じゃあタローマティは今日の寝酒は何本なら良いんだ!」

「だから本じゃねぇって言って・・・んんっ!

 良いですか?ダニエラ、毎日の寝酒は2杯まで、深酒をする場合は1本まで許可しましょう。」

「ぐぬぬぬ・・・それでは禁酒ではないか。」

「どこがですか・・・甘々な許可ですよ。

 それに量を飲んで酔いたいというのは子供のする事。

 大人は少量を楽しむものです。

 費用もかかるんです。

 今から慣れないといけないでしょう。

 そもそもダニエラは少量でも酔えるのです、それなのに酔ってからグダグダ飲み続けるのがいけないのです。」

「・・・」

「いい加減酒の飲み方を知ってください。

 相手を酒で潰すのが大人の流儀ではありません。」

「しかし・・・ん~・・・1本かぁ・・・ん~・・・」

「そう言えばキタミザト殿の飲み方にお湯割りがありましたね。

 あれなら酔いが回りやすいですし、量も抑えられますよ?」

「んん~・・・確かに少量でも酔いはする・・・費用の事も考えれば試してみるか・・・」

ヴァレーリが渋い顔をさせながら苦渋の決断をしている。


「失礼します!」

と寝室がノックされる。

「・・・入れ!」

ヴァレーリが許可をすると兵士が入ってくる。

今までしていた渋い顔はもうなくなっている。

「入ります!

 第4軍 王都警備隊です!」

「うん、ご苦労、緊急だな?」

「はっ!

 アズパール王国側警戒小隊が進行方向上、王都並びに王城に接近するドラゴンを発見、用向きを聞いた所『キタミザトより至急の報告をしに来た』との伝言を頂きました。

 現在、付き添いに残った者が王城前の広場に先導しているとの報告が参っています。

 第1軍指揮官殿に相談した所、陛下に直にお伝えするよう言われました。」

「ふむ・・・ドラゴンの名は聞いたか?」

「はっ!『ビエラ』と名乗ったとの事です。」

「・・・間違いないだろう。

 それにしてもキタミザト殿がするとなると余程の用件か・・・

 よし!至急、城門を開ける準備を実施しろ。

 我が出迎える。」

「儀仗兵は如何しますか?」

「いらんいらん、連絡係が来るだけだ。

 それに来る者とは先の視察で会っているから出迎えだ。

 簡素で良い。」

「はっ!了解しました!

 失礼します。」

兵士が退出していく。

「タローマティ、寝酒どころではなさそうだな。」

「はい、ですが毎日来てくれないですかね・・・酒の量が減って良いのですが。」

「量は少なくするように努力するから小言は言うな。

 まったく・・・うるさいんだから・・・」

「引きが早いですね。」

「もう何年の付き合いだと思っている。

 まったく・・・こういった小言は聞かなかったら夢にまで出てきて小言だからな。

 お互いの妥協は大事だ。」

「ええ、その通りですね。

 さ、最低限の身支度をしましょう。」

タローマティが楽しそうに答えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ・・・・・もしかして、たろーまてぃさんてば、 寝ている人の夢に出られるの? 深層意識を探るだけじゃなく、介入できるのなら、夢に現れて喋るくらいとーぜんかぁ・・・・・ ・・・・・。 …
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