第1349話 160日目 昼過ぎのとある東町にて。1(さて、なんでしょうか。)
ゴドウィン伯爵邸がある街の東の町にて。
「・・・着きましたね。
時間も平気そうです。
朝早く出て良かったですね。」
武雄が町の門を過ぎて左右を見回している。
「所長・・・とりあえず昼食べましょう?
馬達も頑張りましたから休ませないと。」
ベイノンが疲れた顔をさせながらいう。
「まぁ、緊急時並みに走ったからな。
今日はこのままこの町で休む事にしましょう。
この町なら明日の朝普通に出立すれば昼過ぎにはゴドウィン伯爵邸がある街に到着しますよ。」
マイヤーは苦笑しながら言う。
「じゃ、まずは宿探しっと・・・どこにします?
近い所で良いですよね?」
「「まぁ、所長が良いなら。」」
武雄達が宿屋を探し始めるのだった。
・・
・
冒険者組合の事務所の入り口が見えるカフェにて。
武雄、ミア、パナ、初雪、マイヤー、ベイノンが遅めの昼食をとっていた。
ちなみにビエラは成獣状態で上空からゴドウィン伯爵達の護衛をしている。
「主、ビエラがこの町に着いた途端に散歩と称して飛んでいきましたよね。
ゴドウィン伯爵の上を飛んで監視するとか言っていましたけど。」
ミアがリンゴを食べながら聞いてくる。
「ビエラもビエラなりに心配しているのでしょう。
初雪、牛肉のトマト煮込みはどうですか?」
「タケオ、やはり残飯の方が栄養価が高いですが、これも他の物に比べていろいろな栄養素が入っているようで良いです。」
初雪がゆっくりとした動作で1口ずつトマト煮込みを口に持っていっている。
「トマト煮込みのスープは煮詰めれば煮詰めるだけ美味しくなるというのが普通ですからね。
それに毎日肉と野菜を入れて追加追加で味が濃くなっているのでしょう。
さて、私も食べますかね。」
武雄は頼んだソーセージを挟んだパンを食べ始める。
「・・・ふむ・・・ここのソーセージは味が良いな。」
「そうですか?
あ、ハムも何か違った味がしますね。
塩加減ですかね。」
マイヤーもベイノンも昼食を満喫しながら過ごしている。
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ゴドウィン伯爵の一団は最初の村に着いていた。
「・・・」
ゴドウィンが村の入り口で空を見上げていた。
「伯爵様、上を見上げても変わりません。
さ、村長の用意も出来ましたので行きましょう。」
文官が声をかける。
「・・・はぁ・・・なんでドラゴンが2体いるんだ?
レッドとホワイト・・・確かタケオとアリスの挙式で見たか・・・」
「なぜ居るかなんて知りませんよ。
キタミザト子爵様の知り合いなのでしょう。
完璧な戦力の供与をされていますが・・・何かあれば私達ごと消されそうですね。」
「皆に言ってくれ・・・決して・・・決してビエラ殿達を怒らせるな!
どっちがビエラ殿かわからないが!」
「平気ですよ。
皆上空を見てわかっています。
ドラゴンに手出しはしませんよ。」
「そうか。
タケオは警護をこっちに・・・いや、ビエラ殿に警護はさせてなかったな。」
「はい、自由でしたね。
何かに制限を付けてもいませんでした。」
「そうだった。タケオはそういう奴だった。
部下の自主性を重んじるんだった。」
「危ういやり方ですね。」
「試験小隊に集まっているのが上位人ばかりだからな、下手に口出しするよりも経験からやらせる方が良いと思ったんだろう。
うちもするか?」
「やめた方が良いでしょう。
他人の事より自分の事です、今は村長との会談に集中してください。」
「ああ・・・わかった。」
ゴドウィン伯爵が意を決して進むのだった。
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再びゴドウィン伯爵邸がある街の東の町の冒険者組合。
昼も過ぎておりまばらに人が居る。
「ここがこの町の冒険者組合ですか。」
「人、これでいっぱい?」
「久しぶりの感じですね。」
「最近野宿ばかりでしたしね。」
武雄と初雪、マイヤーとベイノンが入ってくる。
「えーっと・・・まずは、掲示板ですか。」
武雄達が掲示板に向かう。
・・
・
「ん~・・・これと言って面白そうなものはないですよね。」
「そうですね。
魔物の討伐と薬草・・・ですかね?採取ですね。」
「あとは低ランク用に町中の清掃等の雑用ですね。
どうしましょうかね~?」
武雄達3人とも「伯爵が気にする依頼」というのが見当たらず首を傾げる。
「あ~・・・おっちゃん達、もうすぐ時間なんだ、掲示板前を空けて貰えるかい?」
青年が武雄達に声をかけてくる。
「ん?・・・これからですか?
でもこういった依頼は朝貼られて夕方仕事を終えるのが普通なのでは?」
「その通りだが、午後に貼り出されるのもあるんだ。」
「へぇ・・・私でも出来ますか?」
「おっちゃん達が?・・・出来ると思うが・・・
おっちゃん達は他所から来たのかい?」
「ええ、今日着きましたよ。
明日には出ていきますが。」
「根ざす気がないのならお勧めしないな。
地元の冒険者がした方が良い依頼もある。」
「ふむ・・・では、内容だけでも教えて貰えませんか?」
「気になるのか?」
「そりゃ、お兄さんがもったいぶるからね。
それに他所の人間が向かない訳も知りたいですしね。
他の町に行っても同様の依頼があった際の参考になるかもしれないですしね。」
「じゃあ、俺がその依頼を取れたら見せよう。
今日は俺もする気で残っていたからな。」
「はぁ・・・じゃあ、待って・・・ん?」
と冒険者組合の入り口から小さな子が入ってきて奥のカウンターに行く。
「おっちゃん達、あれがこれからの依頼だよ。」
「「「??」」」
武雄達が首を捻るのだった。
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