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第1346話 ゴドウィン伯爵領の関に到着。4(慣例の戦争予定地について。)

「マイヤーさん達の現地視察はどうでしたか?」

「開けていますね。

 地形も隆起しているような所もなく平坦です。」

「今までの戦争方式である横一列での戦闘には適した場所と言えるかと思います。」

マイヤーとベイノンが武雄に答える。

「平坦ですか・・・

 地形を使って待ち受けるとかなら考える時間もありますが、逐一変わる状況に臨機応変に対応させるのは私には頭の回転が追い付かないでしょうから出来ないでしょう。

 なので開けた平地では私の戦術は価値が低そうですね。」

武雄が難しい顔をさせながら呟く。

「となると私達は偵察が主目的になるでしょうか。」

「平坦なのでしょう?

 皆と同じ所から見ても偵察にはなりませんよ。

 かといって平坦な戦場で敵地に近づくのも難しいでしょうけども。」

「そうですね。

 エルヴィス伯爵軍が展開する位置を見ましたが、後ろ側に小さな林がある程度でしたが、魔王国側には開けた土地が広がっています。

 所長が言う通り魔王国側に潜入するとかは難しい状況です。

 なので、敵地には近づかずに戦場を見渡して現状でどうなっているかを確認する程度しか出来ません。」

「・・・マイヤーさん達ならどうしますか?」

「そうですね・・・木の上に登って敵側の監視ですかね。」

「ふーん・・・木の上に拠点を作るんですか。」

武雄が感心しながら言う。

「え?・・・所長・・・違いますよ?

 登って監視です。」

「木の上で?でも地図を見ながらでしょう?

 それに2、3人で見るのでしょうから・・・拠点化が必要でしょう?」

「木の上に拠点って・・・したことありませんが?」

「なら道具を試作しましょうか。

 誰に頼むかなぁ・・・あ、これに成功したら各貴族に買わせましょう。

 拠点監視用の使い捨て(・・・・)商品として売れば良いのかなぁ。」

「所長・・・出来ると思いますか?」

「ツリーハウスという考え方をもっと簡素で素早く出来るようにすれば良いのでしょう?

 あ、落下の事を考えれば安全帯の開発が急務かぁ・・・腰タイプは衝撃で腰骨や肋骨が折れるんだよね、フルハーネス型にした方が良いかぁ。

 でもあれトイレが大変なんだよなぁ・・・」

「所長・・・本気ですか?」

マイヤーが呆れている。

「用意はしておかないとね。

 地上から見るよりも上から見た方が良いのでしょう?

 なら更に仕事場の快適性を良くするために簡易拠点が望ましいと思うのは当然です。

 他に高い所から見る方法案がありますか?」

「や・・・櫓を立てるというのはどうでしょうか?」

ベイノンが苦し紛れに言ってくる。

「・・・櫓かぁ・・・現地で一から作るのは時間がかかってしまいますね。

 ならタワークレーンやはしご車みたいにして移動式で現地で組み立てられるようにすれば・・・

 ん?待てよ、伸縮式垂直方向のタワーというのも・・・いやいや、荷重をどう受け止めれば・・・だが、この案も悪くない。

 いや、むしろ木の上に作るより良いのでは!?

 高所作業車のような物が馬車で作れれば・・・」

武雄が真剣に考えている。

「所長・・・帰ってから考えましょうよ~。

 今考えても始まりませんって。」

「・・・そうですね。

 ここで話をする事ではないですね。」

ベイノンの言葉に武雄が頷く。

「はは、タケオ達の方も実りがあったようだな。」

「実りというよりも事実確認ですね。

 あとは何が出来るかを帰って皆で考えれば良いのですから、これからでしょう。」

「そうだな。

 と、タケオさっき言っていた関正面の蛇行した通路だがな。

 あれをこっちで実施して良いか?」

「蛇行した通路なんて5年とか10年とかかかる話ですけどね。

 今から検討を始めても良いかもしれませんね。

 ですが、実際問題として案としては良くても自分達の出入りが面倒になっては意味がありません。

 そこは地域色にも寄ります。

 部下の方々と十分に検討してください。

 そこで良し悪しを決めれば良いのではないですか?」

「それはそうなんだが・・・

 はぁ・・・すぐに何でも上手く行くような方法はないだろうか・・・」

「ないですよ、そんな物。」

ゴドウィン伯爵の呟きに武雄が即答する。

「それに今準備しても実際は役に立たなかったり、役に立たないと思っていたことが意外と効果があったりと準備したから必ず良い結果が得られる訳ではありませんしね。」

武雄が横目で小隊長達の会議を見ながら言う。

「まぁ・・・だから事前の協議が大事だという事だな。」

「その通りかと。」

ゴドウィン伯爵と武雄が頷きながら話している。


「よし!お前達議論はここまでだ。

 キタミザト子爵(お客様)の相手をせずに議論に耽るなよ。

 キタミザト子爵はあくまで関と現地視察に来たのだ。

 ここでこれ以上検討する事ではない。」

ゴドウィン伯爵が皆を落ち着かせる。

「「はいっ!失礼しました。」」

「ははは、活発な議論というのは良い物だと思いますが、一応締めましょうか。

 ゴドウィン伯爵殿、お願いします。」

武雄が「もっとしていいのに」と思いながらゴドウィン伯爵に振る。

「タケオ、すまないな。

 ・・・よし、今回はキタミザト子爵のおかげで関周辺の強化が始まる。

 ここに付随するように関自体の強化案とさっきキタミザト子爵が提案された撤退時の被害低減案の検討も同時にする事。

 我らが最前線だ、仲間の命を最大限拾えるような提案をしてくる事を望む。

 軍務局が主体となり財政局と予算の話も詰めてから提案書を持ってくる事。

 以上だ、皆ご苦労だった。」

「ゴドウィン伯爵様並びにキタミザト子爵様に対し敬礼!」

参加者達が敬礼をして会を終わるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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